267、世界のおわり?
最初は、あれ? 目がおかしい? と思った。
サクラコが笑っていた。
シーラもレイラも笑っていた。
だがドット絵のように崩れ出す。
あっという間にそれは回りじゅうに広がり砂のようにさあーっと一定方向に引き寄せられて去って行った。
ーーーーー世界の改変が始まったのだ。
アレスは成功したのか。
きっと成功した。
正しい世界にみんなが導かれる!
ただ……
ーーーーーーーーーー置いていかれた!!
さーーーーと世界だったものは消えた。
だが私だけが取り残された。
そんな馬鹿な!?
私はあの世界の人じゃないってこと?
"いらないよ"的な?
ひどい! おいてくなよ!!
この空間は私以外なにもない!
真っ白な空間になってしまった。
よく見ると自分の身体が透けている!?
中指のアレスの指輪も透けている。
消えてしまう!?
私はまだ身体の感覚があるうちに! と思い咄嗟に指輪を外した。
アイテムボックスオープン!
声にならない声で叫ぶ。
私の記憶が入っていたアイテムボックスは空の筈!
使ったこと無いけど指輪を消したくなかった。
急いで指輪をアイテムボックスに入れた。
もし生まれ変わっても引き継げるか!?
成功したのか分からないが、アイテムボックスも指輪も消えた。
たぶん上手く行ったと思う。
アレスが私を探すひとつの目安にもなるかも?
とにかく私が無くしたくなかった。
私にとって大事なものだ。
たぶんしまえた、大丈夫。
ーーーーーーーーーーーーー。
ーーーーーーーーーーーーーーー。
ただそのあとは何もおこらない。
!?
なに? どうすれば良いの?
私はどっちにいけば良いの?
どっちも何も方向が無い!?
上も下も無いような気もしてきた。
私は真っ白な大空間に放り出されたのだ。
何だよこれ……どうやって脱出すれば良いの……?
みんなどこに行っちゃったんだろう?
さっきまでの賑やかな感じは何だったんだ?
終わってしまったら全て夢だった気さえしてくる。
これは誰の夢?
柚子?
リリア?
私は誰だ?
不思議と涙が出ないしパニックにもならない。
ただただ何もないところで浮いていた。
しばらくぼーーーーーーーとしたあとに
みんなにはお別れさえしてないことに気がついた。
サクラコ……一緒にジャパネオで甘味ツアーしたかったね。
エリザ……冷たい感じと思っていたけどイケメン好きの気の強いお姉さんだったね。もう少し話せたら面白い人だったかもしれない。
シーラとレイラ……いつも二人で仲良しで息がピッタリだね。やっと最後に女子トーク出来たのに、もう少し時間があったら仲良くなれたかなあ……
そして……マルタとロイド……。
二人は私にとって家族のようだったよ。
マルタ……天然でうっかりさんだけど、美人で優しくて大好き。
ロイド……なんだかんだで一番わがままを言える相手だった。いろいろ助けてくれてありがとう。
世界が消えるのを知っていたんだからロイドにくらいにはちゃんと挨拶しておけば良かった……。
もう二度と会えない人達になってしまった……
私はまた何も考えずに浮いていた。
どうなっちゃうんだろう?
そのうち自分とか忘れて消えてしまわないかちょっと心配だな……
どのくらい時間が経ったのか全くわからない……
長いのか短いのかもわからない……
気がつくと白い空間に変化が起きた。
足元に夜景の街並みが出てきたのだ!
夜の街の上空に浮かんでいるような感じだ。
街がどんどん近づく!
やめて!! あれ現代日本じゃない? あっちに行ったらアレスに会えない!!
コンビニ前に救急車が二台来ている。
路上に若い男女が倒れている。
事故のようだ……
あれ……私達じゃない!?
柚子と和くん!?
「君、しっかり!」
「女の子は息をしているぞ!」
救急隊員の人が担架で運んでいる。
これは……私……? もしかして私、柚子に戻るの?
和くんを追ってたところから再スタート?
倒れている和くんを見た。
顔色が悪いがアレスの雰囲気を残した現代風のイケメンくんだ。
カッコいい……こんな時でも見とれてしまった……。
でも違う……中身がいない!? あれは抜け殻だ!
ここで柚子に生き返れたとしても和くんのいない世界だ
ここでは絶対にダメ!生き返らない!!
アレスのいる世界に戻らないと!!
私はアレスと結婚して魂で彼を愛すると誓ったんだ!アレスのいる世界が私のいる世界だ!
柚子には戻らないーーーーーーーーーーーーーーーーー!!




