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265、楽しい旅路

 部屋に大号泣で戻った私をロイドが担いで馬車に向かった。


 もうアレスに見られないと思ったら遠慮なく泣けた。


馬車のベッドにポイッと置かれ出発した。


 何だよ、慰めてくれる訳じゃないのかよ! 冷たい!


おもいっきりロイドに突っ込みをいれながらグズっていた。


あまりに私がグズっていてしかもガラが悪い! アレスには絶対に見せられない完全アウトな状態だったのでマルタとサクラコが引きぎみで遠くから見ていた。


 若干落ち着いた頃に聞いてみた。


「……ロイドは?」


「今、御者台の方に……」

マルタが教えてくれた。


あいつ逃げたか……とか思ってしまう。


 私の大泣きグズりなんて何でもないって言うから前みたいに抱っこでもしてあやしてくれるのかとちょっと期待しちゃったよ。





ん? ダメだろ。よく考えたらそれってかなり恥ずかしい事だった!


私はもうアレスの嫁だし(ロイドが知らなくても)


そんな子供対応されたら赤っ恥!


ほっといてもらってよかったんだ!

グッジョブ! ロイド!!


セーフ!!



 そして時間の経過と共にかなり恥ずかしくなってきた頃


「姫様絡み具合が小さな酔っぱらいみたいでしたね」

サクラコに言われた一言が刺さった。


 気がつけばエターナルの街から離れて周りが暗くなっていた。


最後になるかもしれないエターナルの王宮や街を見ずに終わるとは!


 私自身の感情の起伏の激しさを反省しよう……


 ここはエターナル城にさよならとか言って感傷に浸るところだった筈なのに……  



 ふと見るとベッドの片隅でチビリルが丸くなって眠っていた。

このうるささでよくぞ眠っていたという感じだ。

 寝ていたなら後でアレスに告げ口されずにすみそうだ。よし!!


 暗い森の中を走る。


「姫様が大人しくなって良かったわね」


「子供の鳴き声ってうるさいです」

「姫様のロイド様に対する暴言うるさいです」


エリザ、シーラ、レイラが顔を出した。座席の方にいたようだ。


「あれ? この馬車に全員乗ってるの?」


馬車は二台あったはずだった。


「みんなロイドと一緒の馬車がいいって聞かなくて、あっちの馬車は荷物だけです」

マルタが困り顔で言った。


「でもこの馬車って簡易ベッドが4つでしょ? 寝るときどうすんの?」


「狭いので色々とぶつかったり絡まったりしてしまいそうですね。フフ……」

エリザが意味深に微笑む。


「私たちはロイド様の護衛として隣に控えさせていただきます」

「エリザさんはロイド様を狙うのはやめてください」

シーラ、レイラが言った。


「あんた達が狙ってるんでしょ? 一緒にしないで!」


「エリザさんは勇者好きでしょう!」

「ロイド様を狙うのは欲張りです!」


「あんた達、わかってないわね!アレス様は少年のかわいらしさがいいのよ! ロイド様は大人の魅力! どっちも良いに決まってるじゃない!」


 ここでケンカはヤメテクダサイ。

私のアレスを引き合いに出すのもヤメテクダサイ。


 そしてロイドも大人の魅力と言うほど大人ではない。時々凄く子供っぽい。


 でもマルタはちょっとキラキラしてうん、うん、と頷いている。

ロイドが誉められたと思っているのだろう。



 それにしてもよくもまあ、正妻のマルタの前で言い合えるな。



 ロイドが御者台に出たのはこのせいか……?


あれ? でも……

「エターナル……戻らないんだよね?」


「そうです! 最終目標は私の家でーす!!」

サクラコが手を挙げ嬉しそうた。


「別にあんたのうちじゃなくてジャパネオに向かうってだけだから、あんたんちに行ったからってロイド様をどうにか出来るとか思わないでよね!」

エリザのガラが悪い。


「皆さんだって下心丸見えですよ! 私はマルタさんの次の第二夫人を狙います!」

サクラコが高らかに宣言した。


「「「はあ!?」」」

マルタ以外全員が言った。


「一番新参者の癖に!」


「図々しいです!」

「あつかましいです!」


また、もめ始めた。


 でもエターナルに戻らないのを承知でついてきたってことは全員がロイドについてきたってってことだよね?



 このあとロイドのハーレム話になってしまうのか?


この旅は大丈夫なのか!?


そんなことを考えながらこの旅は楽しかった。


 みんなと食事摂っちゃダメとか厳しい事はもう言われない。皆でわいわい馬車を止めて自炊したりエリザとシーラ、レイラの喧嘩を見たりなかなか面白い。


 特にエリザは夜中に一人だった事が多かったらしく、みんなが起きているのが嬉しいようだった。


 何かから解放されたようにお祭り騒ぎで夜中じゅう起きていた。



 その騒ぎの中自称赤ちゃんのチビリルは寝続けていた。

マルタが心配して撫でたりしていた。

ロイドを呼んで見てもらうと何か力を溜めているようなので心配しなくて良いと言われた。


どうした? チビリル?




 朝方みんなが寝静まった頃、そっとロイドがマルタを連れ出したが邪魔はしないようにした。











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