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253、二人の結婚式

 チビリルがバタバタと白い布を出して来た。


こんな布よくあったね、と思ったらよく見れば包帯状に切る前の魔包衣だ。


「花嫁さんは白いのを着る!」


「着ると言っても布だし……」

私が戸惑っていると、


アレスが魔包衣をくるくるっと巻いてバラのような形にした。

うわっ! 器用!!


それから大小の布で私に巻き付けて包帯で固定。

何だかドレスっぽくなるのが凄い!


「包帯男の花嫁だからこんな感じかな?」

アレスが照れたように笑う。


もう包帯男ではないアレスだが包帯男でも充分かっこよかった。


「器用だね、アレス……ちょっと鏡見せて……」


おお、周りが暗いせいか立派なドレスに見えます!


「ありがとうアレス。立派な花嫁さんのドレスだね。嬉しいかも!」

私がはしゃぐとアレスも嬉しそうに笑った。


「じゃあ結婚式をしよう!」

チビリルが嬉しそうに尻尾を振っている。


「チビリル結婚式の仕方知ってるの?」


「人間どもの結婚式なんて知らない、でも誓えばいいんじゃないのか? 自分の魂に! そうだろ? アレス」

テキトーなチビリルだ。


「そうだね、チビリル」


そう言ってアレスは私に向き直り両手をだした。


「リリア、両手を俺の手の上に置いて……」


「うん」

言われたままにアレスの手の上に両手をのせた。

身長差がありすぎて何か変だった。


 するとアレスは片膝をついてしゃがんでくれた。

王子さまだ!!


 顔が近くで見えるって良い。


「チビリルを証人として私達は結婚の誓いをいたします。神徳のもと、お互いを敬い、尊重し、感謝し、終生変わらずこのリリアの魂を愛することを誓います。」


アレスのきれいな瞳が私をまっすぐに見つめた。


「リリア、誓ってくれますか?」


「はい!誓います!!アレスの魂を愛しています!」


「アレスがやると霊獣契約みたい…」

チビリルが言った。


え? 何か色気の無い話だ。


「じゃあ誓いの履行として口づけを……」


誓いのキスってこと?


アレスが私を引き寄せた。


 アレスの顔が近づき唇が触れる。

アレスとキスするのは初めてでは無いはずだが、心臓が跳び跳ねるくらいドキドキしてしまった。

これが私達の結婚式だもん。緊張しますよ。


 私の身体をぎゅっとアレスが抱き締めた。

あれ? 誓いのキスってこんなに長くていいの?


幸せだった。

アレスに抱き締められてキスをしてもらってお嫁さんにしてもらえるんだ。


 大好きな和くんとの結婚だ。柚子だったら感動して泣くかもしれない。

リリアも泣きそうだ。


「チビリル、証人の言葉を……」


あくびをしていたチビリルが慌てて向き直った。


「わかったよアレス、

我、チビリルは二人の誓いを認め証人となります。これで二人は夫婦だよ!おめでとう!!」


「ありがとうチビリル」


ついにアレスと結婚してしまった!!


私は12歳の人妻だ。


















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