24、憧れの勇者様と二人きり
フェルが帰ってしまい、屍戦士のアレスと二人きりになってしまった。
………………。
どうしたものか…。薄暗い部屋で悩む。
せっかく憧れの勇者様と二人きりのイベントが発生しているのに嬉しくないとは…。
部屋の外に居た屍戦士をフェルが連れて行ったから(おそらく人数合わせの為)代わりとして部屋の外に出て同じ位置にいてもらった方が自然で良いよね?
………でも外に出しておいて大丈夫かな?アレスってバレたらまずい…バレなくても何かで連れて行かれても困る。
フェルの大事な大事なアレスに何かあったら大変だ。
嫌だけどここは私の部屋に置いておく方がアレスが安全なのでは?
チラッ…アレスを見る。
見た目は普通の屍戦士っぽい。
でも中身は、あの勇者なのだ!
絵で見た黒髪の少年を思い出す。思わず頬が熱くなる。
中はあの人…。
思ったより背が高い。180センチ位はありそう。いや?もっとデカいかも?
やっぱりかっこ良さそうな雰囲気がある。
本当、生きていればな~!!! 惜しい!!!
本当に惜しい人を亡くした! あんなに素敵なイケメンが屍………。
ーーそこはもう考えないようにしよう。
「アレス、私はもう寝るね。アレスは寝なくて良いだろうから…その…隅の方に居てね。」
わーっ何かひどい感じ?
ベッドに入る…。
壁際にアレスが立っている。
目をつぶる…眠れない…。
壁際にアレスが立っている。
布団を被ってみる…。隙間からチラッ
壁際にアレスが立っている。
うわーーーーーーーーん!!!眠れないーーーーーーーーーーーーっ!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
ほぼ眠れないまま翌日に…
「おはようございます。姫様。」
今日はまたマルタではない。サリーでもカーラでもなく、エリザだ。
授業以外のエリザは夜に1度呼んでしまった時以来、だからかなり珍しい。
エリザは部屋に入ると、少しぎょっとしたようだった。
屍戦士が壁際に立っているのをじっと見つめ、すぐに何もなかったように動き出す。
ま、気にされないのは助かるけれど…屍戦士を自分の部屋に引き込む変な子供だとでも思ったのだろう。
無言で私の支度を手伝い、無言で朝食を運んでくる。
そして「今日の授業はお休みです」と伝えてきた。
今日もか…助かるけど流石におかしい。
「マルタはどこ?」
下がろうとしていたエリザに聞いてみる。
「姫様がお気になさる事ではございま……」
「マルタはどこなの!?」
エリザの言葉を遮り、今度は強めに聞いてみた。
「……マルタは一昨日から体調を崩していると聞いております。」
そう言って下がるエルザ。
一応「ありがとう」と声をかけたが扉が閉まりエリザに聞こえたかは分からない。
振り返ると屍戦士が立っていた。
うわっビビる!慣れないっ
そして朝食をひとりで取る。食べながらまたアレスに目がいく。
「……。」
アレスは何も食べないよね? 何もあげなくていいのかな?
ちょっと心配。あとでフェルに聞きに行こう。
朝食を済ませ、眠くなったのか私はいつの間にかソファーで眠っていた。
気が付くと横に屍戦士が立っている。
うわっまたビビった! 慣れない!




