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247、行ってきます

 地下室に行くと何故かロイドもいた。

眼帯の姿にまだ私が慣れない。

その姿を見ただけで胸が痛む。


「アレス、お待たせ」


 私の支度を見てアレスが嬉しそうにかわいいと誉めてくれた。


ロイドを見ると何とも言えない複雑そうな表情で見ている。


「ロイくん、そんな顔をしないの、嫁に出すみたいになってるよ。」

フェルが笑って言った。


「別に……そんなことは……そんなかわいい格好をさせなくてもいいのに……マルタか……」

ロイドがテンション低めに言った。

マルタの仕業だとわかるところがスゴイです。


「じゃあお父さん行ってきます」

アレスがロイドに挨拶をした。


「お前分かってるだろうな、姫様は子供だからな!」

ロイドが残った片方の瞳でアレスを睨む。


「そんな何度も言わなくても分かってますよ」

私がいない間に何度も言われていたらしい。


「さあ行こう、リリア」


アレスが手を出してくれたので手を繋いだ。

嬉しいアレスの生の手。

繋ぐと手の温もりが感じられる。


アレスはもう屍戦士のアレスではない……

そんな実感が込み上げる。



ふふふ、手繋ぎデートですよ!


せっかくのデートだもん。楽しまないと!




お弁当を持ってのデートか、どこに行くのかな?


 地下室から抜け道を使い街に出て街でデート? と思ったら更なる抜け道で街の城壁外へ……


え? いったいどこへ行くのかな?


アレスが私を抱えて走り出す。


あっという間に王都から少し離れた草原に……

ここがデートの場所?と思ったら……


「あ、いたいた」


 見ると草原にバカデカイ蒼い犬が待っていた。


あの犬は!? チビリルの本体!?

フェンリルさんだ!!


「お待たせ、リル」


「うむ」

フェンリルさんが返事をした。


おお、何か迫力がある!

大きさが象並みってこともあるけどチビリルと犬種が一緒って信じられない感じ。


「あの……以前は助けていただきありがとうございました」

だいぶ前な気もするがご挨拶はちゃんとします。


「うむ」

フェンリルさんが返事をした。


 いつもチビリルを見ているせいか、渋いぜフェンリル!


と思ったら尻尾がブンブンと動いていた。

おお、分かりやすい。

さすがチビリル本体!


 しかし同じ尻尾をふる行為も大きさが違うだけでこんなに迫力があるものなのか……尻尾が振られると凄い風がおきる。

草原に風がおこる。草が舞い上がる。

うーーん、すごい!


 そしてフェンリルさんはふせをした。

その上に私を抱き抱えたアレスが乗る。


嘘! 乗せてくれるんだ!


「捕まっていろ」

フェンリルさんが渋めの声で言った。


「了解! 頼むよ」


アレスがフェンリルさんの毛をしっかり掴む。

私はアレスにしがみついていたがフェンリルさんとアレスにサンドされた形になった。


 いきなりフェンリルさんが物凄いスピードで走り出した。



景色がガンガン跳んで行くとんでもない速さだと言う事が分かった。


すごい! すごい! と思っていると途中あきらかに普通の空間じゃないよね? て所を走っていた。


なぜそう思ったかと言うと、空中走っていた。

虹色の空間だ。


そこには小さな生き物が翔んでいた。


皆こっちをチラチラ見て寄ってくる。


アレスの回りにキラキラしたなにかがまとわりついては消える。


目を凝らして見るとそれは妖精だった!


バシュウーーーー!!


 空気が割けるような音と共にフェンリルさんが止まった!


普通の空間に出たようだ。



 私はもう大興奮だった!!


「アレス妖精! 今の妖精だったよね!?」

生の妖精に大興奮の私!


「彼らの棲みかを通して貰ったからね」


「妖精! アレスにめっちゃ寄ってきてたよ!」


「うん、歓迎されてたようだ。ロイドパパの女性に好かれるのと違って俺は色んな神々や精霊に好かれるからね。動物とかが多い。」


え? どういう意味? なぜロイドと比べる?


「女の子にはモテないよ。ユズコ……いやリリアだけ」

そう言って笑顔を見せたがあきらかに嘘だよね?


絶対モテます。









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