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241、お大事なさい

 王宮でフェルを部屋以外で見るのは初めてフェルと会ったとき裏庭をうろついているのを見かけて以来?



 いつも地下室にいるイメージだけどやっぱり犬の着ぐるみでうろついたりしていたのか……


「ハイポーションを飲まないならどうしてボクのところに治療に来ないのかな? 本当に君はやせ我慢で我慢強いね!」


少し怒ったフェルだ。

でも格好は犬の着ぐるみのだけど……

ギャップが凄まじい。


「あ、マルタちゃん久しぶり、ボクの事覚えてるかな? ちょっとお邪魔するね」


 ちゃんとマルタにもご挨拶をしてから持ってきた治療の荷物を広げ始めた。


 マルタはフェルに会うのが久しぶりなのか、それとも突然現れた犬ぐるみ男に面食らったのか、頷いたあと少し固まっていた。


「フェル、フェルの身体は大丈夫なの?」

昨日のフェルよりは顔色がいいが、やっぱり以前のフェルより細くて弱々しい。


「大丈夫だよ。昨日は寝不足だったしね。あの後寝たから元気になったよ。リリアはアレスのところに行っておいで」


「俺もアレスの所に行く!」

チビリルが叫んで私の膝から飛び降りた。

そしてさっさと部屋を出て行った。


「チビリルは最近すぐにぷるるんと遊びに行っちゃうけどね」

フェルが言った。


「あの……フェル、ロイドは大丈夫?」


「大丈夫にするよ。ーーーーーーどうしてハイポーション飲まないの? リリアに渡したのに!」

フェルが怒り気味にロイドに聞く。


「最後の一本でしょう? 姫様かマルタに何かあったときの為に残しておきたいです」


「大丈夫だよ、今、材料集めてるから……また作るよ。だから飲んで! どこやった?」


マルタがテーブルの上のハイポーションを指差す。


フェルはそれを掴みふたを開けてロイドの口につっこんだ。


それから広げた荷物の袋から石を取り出す。


「前に魔導コアを研究してた時に集めたものだよ。急いで加工してきた」


 手に持った石は緑色の石で真ん中に赤と黒の模様があった。


「何ですか?その石……」

ロイドが嫌な顔をした。


「ボクの特製ブラットストーン、ロイくんの義眼にする」


「やめて下さい。そんなものつけて元気そうにしてたら、また実働部隊に手伝いに行かされる!」


「そんなことボクは知らないよ。マルタちゃん押さえて!」


「は、はい」


マルタが急いでロイドの上に乗っかり両手を押さえつけた。


「マ、マルタを使うとは卑怯ですよ! 無理に退かせない!」


「じゃあ、傷口消毒して義眼入れよう。君の我慢強い所見せて貰うよ」


「え? 師匠? 顔つきがいつもと違いますよ? 何か邪悪な顔になってます! そう言えば私が子供の時よくそう言う顔してましたね!? そう言う時はろくなこと無いときですよ!」


 面白そうだったが、そろそろアレスの所に行こう。


ロイド、お大事なさい……。











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