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238、約束通り10年分

 駄目だと思った。


今日ロイドはもう右目を失い出血している。


マルタに血を飲まれたら失血死してしまう!


なのに……血を吸われているのにロイドはマルタを抱き締めていた。


「マルガリータ、大丈夫だよ」


 血を吸われながらマルタを落ち着かせようと、話しかけて撫でていた。


そんなんじゃダメだよ、マルタが正気に戻ってもロイドが逝ってしまうでしょう!?


 助けて!! ロイドが死んじゃう!

ロイドが死んでしまったらマルタだってきっと死んでしまう!!


どうしてこんなことになってしまっったの!?



助けてーーーーーーーーーーーーーーーー!!

誰か! 神様! 何でもいいから助けて!!




私の胸元が明るくなった。


ーーーーーーーーーー!?


私の服の下から優しい温かさとともに空中に浮いてきた。


革袋に入れられた()()は以前妖精だった物が結晶化して虹色の石になった妖精の石だ。


フェルにもう少し持っていてくれと渡され革袋に入れて首から下げていた。


革袋から光がもれて光って浮いてきた。


使えるの!?


私の願いを聞いてくれるの?


妖精と私の姫巫女の力が結び付いて出来たんだよね?

私の汗と涙と姫巫女ダンスの結晶のようなものだよね?


じゃあ、私が使ってもいい?


私の願いを聞いてくれるなら私はマルタとロイドを助けたい!


宙に浮いた革袋を取ろうと手を伸ばすと……



「リリア、その力は使わないでくれ!」



 アレスが目の前に飛び出て来た。


「遅くなってごめん! こんなことになってるなんて!」


そう言ってアレスが私の骨折している腕に触れる。


みるみる痛みが引いた。


あれ? 痛くない……


私の身体を怪我をする前の状態に戻してくれたらしい。

時間を戻す便利な能力。


「アレス、マルタとロイドを助けて!」


「マルタさんの時間は先に止めておいた。今から戻す!」


「ロイドは?」


「私はいいので…マルタを…」

ロイドが弱々しく言った。


アレスがロイドに触れた。


「10分程戻しました。」


「私にまで使ったら…MP足りるのか?10年分だぞ!」


「たぶん大丈夫です。街に降りたついでに薬草やMPポーションの材料を探してたんですが、なかなか見つからなくて遅くなりすみません。」


ロイドが力尽きたのかズルズルと地べたに倒れ込む。


「アレス!ロイドを助けて!時間逆行で治せるよね?右目を戻して!」


「…やめて下さい。右目はアレスに対価として渡したんだ。戻して貰っても、また抉られるところからなんて冗談じゃない…。アレス、マルタを…約束を守ってくれ。」


「リリア、ごめんね。マルタさんを助ける約束なんだ。」


「でもロイドが、ロイドが…」


「ロイドパパは血が吸われる前の状態に戻したから大丈夫…死なない…」


「本当?死なない?ロイドはバカだよ!あのままマルタに血を吸われて死ぬ気だったの!」

死なないと思ったとたん死なないだけで重傷の倒れているロイドに文句を言ってしまう。


「そんなわけないでしょう…。落ち着かせてこっちを飲ませようとしてたんです。」

そう言って吸血鬼退治の時に見たマルタのおやつ棚にあった瓶入りの血液を見せて来た。


「いつの間にこんなもの…」ビックリだ。


「姫様が骨折した時に添え木代わりの木ベラを出した時です。姫様一瞬意識飛んでましたよね?私が手ぶらで来るわけないでしょう…」


そうだよね。この人が簡単に死ぬはず無かったよ。




固まっているマルタの頭にアレスの手が触れる。


「約束通り10年分、彼女が人間だった時まで身体を戻します」


倒れたままロイドが「頼む」とかすれた声で言い微笑んだ。


え? そんなこと出来るの!?

マルタが人間に戻れる!!

















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