22、妖精の小瓶
【10年に一度満月の光を浴びて美しく咲く花"ラフラン"
その花の匂いを嗅ぎ、幸せな思いを花に捧げると花から妖精が誕生する事がある。その妖精は一度だけ願いを叶えてくれる。】
昨日、帰るまえにフェルが貸してくれた本を読む…これかーーー!!
フェルが親切にしおりを挟んで貸してくれた。
読み終わって本を閉じる、
【著者 フェル·バーン 】
お前の書いた本かい!!!
と思わずつっこむ。
フェルはスゴいな~本まで出してたか。
今朝はマルタではなくサリーがわたしのお世話に現れた。
サリーは義務的に私の支度を手伝い、朝食を運び、
「今日の授業はお休みだそうです。」とひとこと言い足早に部屋を出ていった。
相変わらずマルタ以外の人の愛想の無さだ。
もう慣れたから良いけどね…
マルタが来ないのも、授業が休みなのも珍しい事だった。
昨日、温室までの大冒険をした私は正直助かった。
授業なんて受けても即効寝る自信がある。
マルタはどうしたかな…
昨日何か修羅場ってたし…
"だって私はリリア様が大事なの。まだ幼いの。誰かが守ってあげないと"
マルタが昨日ロイドに言った言葉を思い出す。
………。にやけてきた。
マルタは私が大事だと言ってくれた。
私を守ってあげるとも…
嬉しかった。なんか大変そうな状態だったがマルタの本心を聞けて嬉しかった。
いろいろ分からない事だらけだったが"リリア様が大事"と言う言葉が何度も私の中でリピートする。
私もマルタが大事だよ。
私は昨日フェルにもらった小瓶を出した。
その中には透明の妖精が入っている。月の明かりを当てないと見えないので、空の瓶に見えるが確かに入っているはず。
一度だけ願いを叶えてくれる妖精。
ロイドとマルタも"ラフラン"を見に来て妖精が欲しかったのだろうか?
何か叶えたい願いがあるのだろうか?
でも彼らは妖精を見つけられなかったようだった。
もしマルタが妖精を必要としているなら、この妖精をマルタにあげても良いと思う。
あ…でもあの場に私が居たの、バレるのはちょっと困るな………。




