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223、その行動何?

 アレスはよくいなくなっていた。


夜になると必ず帰って来るが昼間はほぼいない。


 一度だけフェルにアレスはどこに行ったのか聞くと、街を見て回ってるという答えだった。


 本人に聞いても同じ答えだ。


 たまに私の食事時にもやって来て一緒に食事をしたりもする。

エリザが喜んでアレスの分も用意してくれるので、アレスは遠慮もせずに食事時にやってくる。

こっちに来ないときはフェルと一緒に食べたりしているらしい。


 数日でアレスが後宮にいるのが皆の当たり前になってきた。


メイドさん達とも打ち解けて、コミュ力高ぇ……と感心してしまう。


本来国王以外は侍従頭のロイドしか入れない筈の後宮に簡単に出入りしているアレス……いいのか?


ロイドはそんなアレスを見て


「あいつ自由だな……」


と、呟いていたが、文句を言うつもりは無いようだった。


 でも綺麗なメイドさん達と仲良くされるのは私的に面白くはない!

メイドさん達も若い男の子が遊びに来るのが楽しい的なノリのようで皆さん歓迎してくれてるようだ。


出掛けているときも、誰かにモテていないか心配だ。


だって、だって、あんなにカッコいいんだもん!


"出掛ける時には顔を隠せ"とロイドに言われたアレスはちゃんと仮面を着けて出掛けているので素顔よりは安心だ。


 顔を隠せと言ったロイド、ナイスだ!


 何故か、アレスはロイドの言うことを聞く。

この後宮の主だと思って敬っているのかもしれない……?

(本来は王様が主だね。でもここってもうロイドハーレムじゃん。私は不参加ですが)


 今のところ平和だ。


と思っていた。



 マルタが私の髪を結ってくれているときにアレスが来た。

「あ、ごめん、まだ支度中?」


「あ、アレスさん、もう終わりますよ」


 そう言って私にリボンを結ぶマルタ、鏡越しにアレスを見ていた私はアレスがマルタを見ているのに気がつく。


ん?


「ルカレリアの人って色素が薄いよね」

アレスが言った。


「うん。マルタもロイドもそうだね」

私が答えた。


「すごく綺麗な一族だよね」

アレスが言った。


綺麗……!! たしかに見とれるほど綺麗なマルタ。


 勿論私だって、たまにマルタに見とれてしまう。そのくらいマルタは綺麗。

 このマルタをあれこれ好きに出来るロイドは羨まし過ぎると密かに思っている私。

(メイドさん達はロイドにあれこれしたいらしいけど……)


 でもマルタが綺麗なんてアレスに言われたら分かりきった事でも私的に面白くないですよ!

自分のコンプレックスに直撃ですよ!



「あら、姫様、血が出てます?」


マルタが私の手を見て言った。


本当だ。ちょっと血がにじんでいた。


 前にアレスの装備品だった指輪をフェルから受け取り中指に着けていた指輪。

 確か、なんか色んなものの耐性が上がるんでしたね?

横幅は自由に調節されるが縦の長さがあるので私には大きすぎた。でもアレスからだと思って無理に着けていた。


 ちょっと無理をし過ぎてぶつかっていたところから血がにじむ。言われて気がついたが、そうなると痛い気もしてきた。


「これは、はずした方が良さそうですね」


マルタが指輪をはずそうとした時、アレスがマルタの腕を掴んだ。


!?

え? 何?


「あ、あの……?」

マルタは戸惑いキョトンとして固まった。


「これは、はずさないでくれ!」


アレスが言った。


え? 指輪をはずしちゃダメなの?


 マルタの腕をつかんでしまったことに気がついたがアレスが、すみませんと言って慌てて手を離した。

 この場にロイドがいなくて良かった。キレられそうだ。


 そして私もキレそうだ。


アレスってば何気にマルタに触った? マルタを気にしていたし、私のような幼女より、大人で美しくて優しいマルタが気になってる?


 自分の醜い嫉妬心が爆発しそうだ!

こんな小さな事で!

自分に自信がないせいだ。

子供の自分にちっとも自信が持てない。

だってアレスに私は似合わないから……


 私は自分で指輪をはずした。


「リリア! それはずさないで!」

何故かアレスが慌てた。


「だって怪我して痛いし……」


「じゃあ反対の指に!」

アレスが指輪を取り反対の私の手に着けようとする。


何でムキなるの?


「アレスさん、リリア様にその指輪は大きいですよ。それではまた痛くしてしまいます」

マルタがアレスに注意する。


「あーーでもこれは着けててもらわないと……困る!」

アレスがちょっと挙動不審。


何? この指輪何かあるの?


「そうだ。フェルに傷を治して貰おう。指輪はつけてて!」


「そうまでして、私は何故この指輪をつけなければ?」

ヤキモチ心がどろどろの私はちょっと意地悪っぽく嫌な感じにアレスに言ってしまった。


 するとアレスが私を抱き抱えた。


「リリア様?」


「ごめんね、ちょっと連れて行くよ」


アレスは私を抱えフェルの地下室へ


「いきなり何なの?」


ムッとしたままの私はちょっと暴れる。

マルタに見とれていたアレスなんてキライ!!


「だって指輪無しでロイドパパに会うのはマズイ」


? 意味がわからない、ロイドに会うのがマズイ?


フェルを探すとフェルがぷるるん上で寝ていた。


 起こすのはかわいそうと主張し部屋に帰ろうとすると、またアレスに抱えられた。


もう! 何?

結構ムカついていきた!


 体格差ですぐに捕まるし、抱えられてしまう!

ちょっと怒り爆発寸前!


 アレスに対して、怒ったり泣いたりは絶対にしたくない!

ますます子供っぽくなってしまう。

彼に子供扱いされるのは絶対にイヤ!



 でも私の心の限界が来た。


 復活したアレスとずっと一緒にいられると思ったら直ぐにいなくなるし、


勇者の存在を内密にするためひっそりするのかと思えば堂々と後宮に出てきてるし、


メイドさん達とも普通に話しちゃうし、


私以外の女の子を綺麗(?)って、腕とか握っちゃう(?)し、


もうだめだーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

ムカつくーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!









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