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210、ロイドの不調

 ロイドがあまり喋れそうもないので勇気をもってシーラ、レイラに質問をする。


「王妃様が四階に復活していたんだよね? どんな感じだった?」

野次馬以外の何者でもない質問だ。


 シーラとレイラがロイドをチラリと見る。

ロイドが頷く。

喋っていいよ、と言うことらしい。


「かつて王妃様だったモンスターは只今四階に隠れて夜を待っているようです。何度か探り当て攻撃をしましたが霧散し逃げてしまうので実体化をさせてから攻撃を当てないとです」

シーラが説明をしてくれた。


「王妃様ってもうモンスターなの?」

ちょっと素朴な疑問。


「だってマルタは勿論、エリザだって普通に人間ぽいし……

30人殺した殺人鬼かもしれないが話し合い(?)の余地ってあるのかな?」


「ムリ」

ロイドが一言だけいって苦しそうに目を閉じた。


「無理ってどうして?」


「レイラ」

ロイドがまた一言。レイラに話をふったようだ。


レイラが頷き語り出した。


「人間性が喪失されています。大きな力に耐えられない肉体と精神に高位の吸血鬼の力を注いだために器である肉体は耐えられず崩壊と再生を繰り返しているようです。それでも10年の歳月で霧散していた肉体は集合し活動出来るまでにはなったようです。人間の血を吸えば力をつけ、更なるモンスターに進化する可能性が高いです」


進化って、ポ○モンか!

うわ、たしかにめんどくさそう!!


 隣で初耳のサクラコが吸血鬼って王妃様か、と呟いていた。

そしてマルタさんとエリザさん? とも言っていた。

サクラコの情報不足は私以上なので申し訳ない感じだ。


 それにしても吸血鬼の王妃様、グロそうな予感。

私、ダメかもしれない。

出来ればこのままお会いせずに済むといいけど……



「そろそろ行くか」

ロイドが立ち上がろうとした。


「ロイド様もう少しこのままお休み下さい!」

シーラが止めた。

「まだ動いてはダメです。お身体がもちません!」

レイラも止めた。


 この二人も本当にロイド好きだね。


「シーラの氷タオルとレイラの酔い冷ましのお陰でさっきよりはマシになったよ。ありがとう」

そう言って辛そうながらも微笑んで、二人の頭を撫でる。


出た! 天然たらしのハーレム男!!

シーラとレイラは頬を染めて嬉しそうに微笑む。


ん? ちょっと待て!!

今、"酔い冷まし"って言った!?


「まさかロイド!! 二日酔い!?」


具合悪そうなのってまさかの二日酔いですか!?


「え? ああ、まあ……」

ロイドがバツの悪い顔をした。


なんだよ! 王妃様討伐だって感じで飛び出して行ったと思ったらそれかい!?


「ロイド様、動いているうちにだんだん具合が悪くなってしまい、おかわいそうです」

シーラが言った。

「ロイド様、動けば動くほどお顔の色も悪くなり、おかわいそうです」

レイラが言った。


ええーーーーーーーーー?

何甘やかしてんの?


「二日酔いなんて自己責任では?」

私が言うと、シーラとレイラが二人同時にこちらに振り返り、ギラッと睨まれた。


「「姫様!冷たいですよ!!」」

二人同時に叫ぶ。

怖いっす。


「ロイド様がこんなに苦しそうにしているのに自己責任なんて言葉で片付けないで下さい!」

シーラが言った。

「身体の調子や苦しみは本人にしかわからないもの。簡単に二日酔い等と言う言葉で片付けないで下さい!」

レイラが言った。


怖いよ。この二人……


「ロイド様、冷酷な姫様の言葉等お気になさらずにお休み下さい! シーラがついています」


「ロイド様、鬼のような姫様の発言など気になさらずにお休み下さい! レイラもついております」


なんか前にもこんな事があった? デジャヴってやつ?


いや、あったよね?

そう言えば二人の中では私は冷酷で無慈悲な姫様だった。


 二人ほど甘くするつもりは無いけど、ちょっと苦しんでる人に対して冷たかったかな?


 忘れてはいけない、私は"ロイドに優しくしてあげようキャンペーン絶賛セール中"だった。


「そ、そっかロイド大変だったね~」


私はソファーに座るロイドの額に手を当てた。


「痛いの痛いの飛んでけーだね? 早くなおりますように!」

こんなオマジナイで治る筈もないが、ちょっとした優しさを見せようとする私。


「あ、」


「ん?」


「姫様、もう一度真面目にやってみてください」


「今の飛んでけを?」

もう一度やるのは恥ずかしい。しかも言われてやるのはなおさら恥っぽい。


「頭ガンガンしてたのが楽になりました。もう一度やっていただければ全快しそうです」


え、マジ? 気の持ちようじゃなくて?


「姫様、はやくしてさしあげてください!」シーラが言った。

「姫様、今こそ少しは役立つ時です!」レイラが言った。


 どっちが姫様かわからんよ。


 もう一度ロイドの額に手を当てる、こんなんでいいのかよ?

「痛いの痛いの飛んでけー!」


 驚いた事に私の手が光った、うそ?


ロイドが目を開けた。

うわ、綺麗な翠の瞳。


「まだ12歳なのに姫巫女の力が強くなりましたね。良く修行されてる……偉いですよ」


 綺麗なまっすぐな瞳で見られて、更に誉められて照れてしまう。

ロイドは私の頭を撫でて立ち上がった。

撫でられて私は赤くなった。


「シーラ、レイラ、すまなかった。倒しに行くぞ」


前髪をかきあげ、手櫛で髪を直し部屋を出ていく。

シーラ、レイラもそれに続く。


第二ラウンドスタートだ。


















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