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202、眠れそうもない夜

 マルタのお土産のポプリは花の匂いなのか甘い香りがする。私のお気に入りとなった。

 きっと私の為に一生懸命選んでくれたんだね。


 結局私とサクラコが四階へ行こうとした件はうやむやになり、もう行かないことだけ約束させられアレスが開けた三階への道も塞がれた。


 これでお化けは大丈夫……? もう下りて来られない……だと良いな。


 そしてマルタを一応落ち着かせたロイドはフェルに傷を治してもらいに行ったようだ。


 一件落着ーーーーーーーーー!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?


いや、一件落着してないよ。


だって私ロイドにちゃんと謝らないと!


 なんか旅行まで中断させてしまって更に私の罪が増えたような……?


 夕食後、お風呂や寝る支度がいつも通りに済み寝る時間になった。


ロイドと話す機会がないままだった。どうしよう。




 アレスがいなくなってからずっとひとりで寝ているから問題ないと思っていたが夜一人きりになるとお化け……と言うより四階の王妃様の事が頭から離れなかった。

 大丈夫、穴は塞いだし四階はもともと封鎖されてる……。


そう思うが、天井突き破って来たりしないよね?


そんなイメージが何度も頭の中で繰り返された。



………。



 眠れそうもない……。

アレスの所に行っちゃう?

フェルは相手してくれないかな? 気まずいか……。


 アレスの棺桶で一緒に寝てくる?


 半裸のアレスを思い出した。

私は自分で赤くなったのが分かった。

まだ、今の私にあの刺激はダメだろ。

そう考える自分がエロいってこと?

 アレスは純粋にいいよって言ってくれた筈なのに。

ダメじゃん私!!



 私は起きてガウンを着た。


じっとしていられないので起きる。


 寝られないならロイドにちゃんと謝りに行こう。


 そして今は9時ちょっと過ぎ。

良い子は早めに寝かされるのだ。

前はフェルのお茶会に夜中行っていたので早めに寝るのはありがたかったし、自ら進んで早く寝ていた。


 大人はまだ絶対起きてるよね?

きっと起きてる!!


 私は部屋を出た。

薄暗い廊下に一体の屍戦士が立っている。

 その姿はアレスで慣れている筈だが中身が全然違う。

同じ鎧でもアレスが着ると輝いてカッコいいのに……。


 あいつは基本動かない木偶の坊だ。昼間サクラコを止めなかったし……。


 無視して通りすぎ階段を降りた。

ほらあの屍戦士は何も動かなかった(ホッ)


薄暗いけれど大丈夫。大丈夫。大丈夫。


 自分に言い聞かせながら進む。


薄暗い廊下を進み一番奥の部屋を目指す……


 屍戦士がズラリといるのは気にしない。気にしない。気にしない。

夜暗い中で見る屍戦士は、昼間見た時よりも何か嫌な感じだ。


大丈夫、大丈夫、気にしない、気にしない、自分に言い聞かせる。


 この廊下に沢山のLEDライトをつけてやりたい。

明るかったらここまで怖くない筈だ!!


 奥の部屋の扉の前まで来た。

後ろを振り返る。


 よし、お化けは無し。

ついてきてるお化けがいそうで思わず確認。

 でも帰る時またこの廊下をひとりで通るのキツそう。


すーーーーーっ

私は息を吸って深呼吸。

はーーーーーーー。


 追い返されたらどうしよう。と頭によぎったがドアをノックした。


いちゃついてるとこだったら速攻帰らねば……。

そんなに毎回イチャイチャしないよね?


ガチャ、扉が開く。


ロイドが顔を出した。


「姫様、どうされましたか? ご用ならベルでメイドをお呼びください」


あ、またやっちゃったかな私? 

よく考えたら時間外に押しかけるってどうよ!?










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