表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/295

192、ワガママ姫

 夜になりアレスは出て行った。


 フェルは帰りをサポートするため姿を隠して抜け道で待つそうだ。


私も行きたい!!!!


「駄目ですよ、危ないですから」


それはそうかもしれないけどでも行きたい!


「私もフェルも身バレしないようにってのを聞いてました? 姫様が行ったら保護者の私はバレバレですよ。アレスでさえ一応顔を隠すのに……」


「え、顔を隠すの?」


「そうですよ。姫様の大好きな顔は隠します。だから見てもつまらないですよ」


つまらなくはないです。

だってアレスだから! キャッ!!


「どうしてアレスの顔を隠すの?」


「そりゃ知ってる人は知ってる顔ですからね。勇者が復活したのはバレても勇者が誰かを知らせてあげる必要は無いのですよ」


「ふーん」


そうか、顔は見えないのか……


「どのくらいの距離からだったらいい?」


「どのくらいの距離でもダメです。おとなしく部屋にいてください」


チェッ……つまらん。


「あ、本宮からだったら街の様子を見る事って出来る?」


「姫様、さらりととんでもないことを言いますね。見えたとしてもダメでしょう。街の城壁側ですから見えませんし……」


うう、ショック……


「だって、だってアレスの復活後……初のデビュー戦だよ! 私が見ないでどうするの? 行きたい!!」


 ロイドが呆れ顔になった。

こいつ何言ってるんだ的な。


 まあそうだよね? 分かってはいるよ、ワガママだって!

でもアレスを見たい心を止められない!


「やはり姫様も、あの姉姫様三姉妹と同じですね……」


は?


ロイドから冷たい空気が流れてきた。


「そうやって駄々をこねれば思い通りになると思っているところがそっくりです。こちらがどんなに困っても関係ないし考えない……」


いやいや、あの三姉妹と一緒にされるのはどうよ?


「わかりましたよ、そう言ってわがままでも何でも言えばいい。連れていってあげましょう」


え? ホントに?

でもロイドの目が冷たい?

いつも冷たいけど、こういうのじゃない気がする。


なんか私ロイドの地雷でも踏んだ?


 顔は無表情だが完全に怒ってる。

え? どうしよう、そこまで困らせるつもりじゃなかった。

ロイドには私がワガママな姉姫様達と同じに思えたんだ。


「あの……ロイドやっぱり……」


 ロイドが私を抱えた。


地下室の端の壁を叩くとクローゼットが出てきて、そこからマントのような物を出して羽織る。


「師匠のを借りましょう」


マントの中に私を隠してロイドは髪を乱してからフードを被った。


 これなら一見ロイドには見えない?


こ、これは、メイドさん達がいたらキャーキャーしてしまいそうな容貌です。

この人ってホントに顔が整ってますね。

ちょっと見とれそうになりました。


 更に隣の壁を蹴って抜け道をだした。

真っ暗な中に入っていく。真っ暗過ぎて私には何も見えない。

灯りくらいつけてほしいがロイドには必要ないのかどんどん進む。


 やっぱこれ怒ってますよね?


しばらくすると街中の何処かに抜けた。


前に通った道とはまた違うようだ。


ドカーン!! ドガガガッッ!!


何か爆発音がした!?


がらがらと何かが崩れる音!


叫び声や多くの足音、何かが蠢く音だ!!


「思ったより近いな」

ロイドがボソッと言った。


 私を抱えたまま屋根に上がり辺りを見回す。爆炎と煙が数ヶ所上がった。崩れた建物の下に屍兵が何体も崩れている。



 よく見ると道のあちこちに屍兵だったものが散らかっていた。


これってアレスがやったの?


「この辺りに人はもう住んでいない筈です。派手にやって大丈夫と伝えてあります」


すごい派手ですよ。


「アレスは彼処ですね」


 ロイドが指差した方から爆音が複数聞こえた。

500~600メートル先位か……でも建物で何も見えない。




 屍兵達のパーツが飛び散った。


 建物の破片も飛んできた。


ロイドが私をマントに隠して避ける。


 マントの隙間からジャンプしたアレスが見えた。



 屍戦士と違う変な形のデザインの仮面をつけて黒っぽいマントを着ている。大きな剣を振っていた。あれ? あの剣はエルシオンではない!? 見たことない剣だ。

黒い大きな剣。中心に赤で模様が入った禍々しい感じの剣だった。



 その時私達の隣に誰かきた。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ