191、疎外感だよ
遂にアレスが帰って来た。
もっと劇的な感じの再会を思い浮かべていたのにロイドを女子軍団で嵌めようとした現場を見られた。
しかし、これって私のせいじゃないよね?
よくわからない女性殺しのフェロモンを出して女の子を惑わせている人が悪いんだよ。
私はちょっと寝たふりしていただけですから。
それなのにロイドは私を子猫みたいに掴んで連れてった。
これが5センチ近く大きくなったレディに対する仕打ちか?
しかもアレスの前で!
恥ずかしい! なんて事してくれるんだ!
「姫様が早くカズクンに会いたいと思って連れて来たのですが、連れ帰ります」
連れ帰るって何処に!?
アレス行かないでーーー!
屍戦士の中身は笑いを堪えるのに必死で震えてるようだ。
その後フェルの地下室に移動し、アレスが声を出して笑った。
なんか涙も出ていた。こんなに笑うって言うくらい笑われた。
そんなに笑われると傷つきます。
一通り笑い終わって落ち着いたアレスは私に向き直って
「ただいま、リリア。ちょっとだけ大きくなったね?」
私は借りてきた猫みたいになってしまった。
久しぶりのアレスの笑顔に射ぬかれたのもありますが、恥ずかしさと嬉しさでもう顔がぐしゃぐしゃになりそうです。
アレスには私の1番可愛いところを見て欲しかったのにーーー!
「指輪ちゃんとはめてくれてるね? 良かった」
アレスが私の手を取り指輪にキスをした。
私の心臓が跳ねる。
そんな行動をされたらどうしていいのか分からない。
刺激が強すぎです!!
王子さまか? 行動が王子さまだ!!
アレスと私が話している間、フェルとロイドは何やら真剣に話していた。
「アレス出来たよ」
フェルがアレスを呼んでしまった。
あ~私まだ話せてないのに……
「ありがとう、見せてくれ」
何やら地図のような物を広げて3人で見ている。
う、疎外感。
「ここにあるからここから出て、帰りはこの辺り」
何の話?
「人に見られる心配があるから、此方でしょう。おそらくここに討伐隊が来ます。小隊がこの印をつけた12箇所に配置されています」
「今は騎士団じゃないんだね。小隊って編成何人?」
「30~40の屍兵に魔族の隊長1名がついているはずですね」
「だいたい40×12ってことだね。480は雑魚か」
「12人の隊長格が面倒ですね」
「住民を巻き込みたくはないから、町を出る寸前で動いてくれるのは助かる」
「帰り道さえ分かればあとは大丈夫だ」
もしもし? 3人で何のお話?
「アレス、本当に一人で行くのか?」
「問題無いよ。たぶん……」
「本当はボクとロイくんがついて行ければ良いけど……」
「二人は待ってていいよ。身バレするのはまだ不味いから」
アレスどこかへ行っちゃうの?
帰って来たばかりだよ! ろくに話もしてないのに!
「アレス!」
私がアレスをつつく
「どうした? リリア?」
「アレスまた何処かに行っちゃうの?」
「今日の夜ね。街から脱出する人達が手引きの人達と一網打尽にされちゃう計画があるんだって、だからそれを阻止しに街に行ってくる。終わったらちゃんと帰って来るよ。地図も見せてもらったし」
「ひとりで行くの?」
「そうだね。もしかしたら犠牲者出しちゃうかもだけど、ロイドパパを連れて行ったら武器や戦い方でバレると不味いだろ? 大きな魔法を使うフェルもバレる心配が高い。二人はまだここで生活しなくちゃだからね」
あれ? ロイドのあだ名が進化している?
「でも、ひとりでなんて……」
「大丈夫だよ。リリアにはこう言えばわかり安いかな。今の俺は2周目と同じだから」
2周目?
「正確にはちょっと違うけど……一度魔王倒してるから……そしてアレスになるのも二度目だから、そんな感覚かな?」
「じゃあ危なくない?」
「危なくない、屍兵は雑魚だし、ちょっとした無双になるね」
アレスが笑顔を見せた
それは超見たい!




