188、デリカシーとか無い私
指輪がキラキラしている。
アレスの指輪。
どの指にしようか悩んで中指にした。
中指の関節が1番長い気がしたからだ。薬指と人差し指だと指を曲げられない。中指も微妙だがギリと言う事にしよう。
「リリア様指輪ですか?」
マルタが真っ先に気がついた。
「ずいぶんゴツい造りですね」
サクラコも見る。
近くにいたロイドが
「装備していれば以前のようにウォルター様の魔力に当てられる事も無いでしょうね。でも縦に大きいですね」
ロイドも指輪の事知っていたのか。
それにしても縦に長い。
太さは伸縮自由だから落ちる事はないが縦は元の大きさと変わらないから、指を曲げるのホントキツイ。
まさか指輪もこんな幼女に装備されると思ってなかっただろう。
あ、もう12歳だから幼女ではないよね?
この指輪をアレスがしていたと思うともうにやけてしまいます。
「嬉しそうですね、は! 姫様。まさかそれって"カズクン"から!?」
サクラコ鋭い!
「カズクン帰って来たんですか? 私も会わせてください!!」
帰って来たならもっと喜んでますよ!
そしてサクラコ、あんたには会わせたくない。
「カズクンて……屍戦士の……? 指輪なんてくれるの?」
マルタが不思議そうだ。
「遺品です」
サクラコが言った。
うわ、縁起悪そうな……
まあ以前装備していた物というならその表現でも間違ってはいない?
あれ。ロイドが震えてる?
あ、この人笑ってるわ……
「しかし、残念です。あんなに爽やかでかっこいいのにまさか勇者様が幼女趣味……」
ロイドがサクラコの口を塞いだ。
「サクラコ? 国に帰りますか?」
「今、勇者様って言いました?」
マルタがキョトンとしている。
「言ってません」
サクラコが否定した。
顔が赤くひきつっている。
さっきロイドに口を塞がれたのでかなり心拍数が上がったようだ。
「最近私、仲間外れっぽいです」
マルタがむくれた。
ほっぺを膨らませ、むくれているところもかわいらしい。
マルタ、ホントに男心を掴みそうな表情や仕草。マルタは天然の悪女なのかもしれない?
私が男だったらもうハートは射ぬかれていただろう。
この双子は何かフェロモンを撒き散らしているに違いない。
「マルタは仲間外れじゃないよ! だって皆、マルタとお揃いの下着買ってたもん」
私がフォローしてみた。
「下着?」
「あ、ロイドは初耳? スゴく可愛いくて透けてるの。まだ届いてないもんね」
マルタとサクラコが真っ赤になった。
あれ? 私デリカシーなかった?
「ごめん。届いてからのお楽しみだったね」
子供だから許される範囲で言い訳を……でもお楽しみは意味深だったか!?
ちょっとしまったと思った。
私のこういうところはアレスがいたら大爆笑だったろう。
私のほっぺが掴まれた。
「姫様はもう12歳ですからそろそろ自覚を。女性は下着の話を人前でしません」
「女性扱いするならほっぺを掴むのはやめて」
伸びそうだよ。
「姫様はまだまだ子供のようです。悪いことをしたらお尻をぶたれるくらいの子供です」
く、この世界にはセクハラもパワハラもないか。
「下品だと嫌われますよ」
最後のはアレスにってことらしい。
うきーーーーーーーーー!! くやしい!!




