186、結束力感じました
後日、モリシャス夫人がリーズナブルな品を持ってやって来た。
今回は前回には持ってこなかった下着類の見本もある。
あとメンズ用のシャツの生地も持って来ていた。
これはマルタが前回の帰りに要望したものだ。
私は前回採寸してもらって布地も決まってしまったので今回は用事は無いのだが、布地を持ってきた場所が前回と同じ私の部屋の一部のいちばん広い部屋なので見に来たのだ。
皆嬉しそうに布地を見てレースを選んでいる。
前回厳しめのエリザもちゃんと参加していた。
今回はモリシャス夫人のお弟子さんも三人来ていてマルタ達の採寸をしていた。
こう言う時の女子はテンションがあがる。
どういう組み合わせがいいか。街で何が流行っているか等をお弟子さん達に相談していた。
この世界はあまり既製服は普及していないのか、お洋服を作るのは街でショッピングをする感覚なのだろう。
皆、ウキウキだ。
サクラコもエターナルで初のお洋服選びに大興奮だ。
だいたいお洋服のデザインや布地を決めたあと、皆の視線は何故かマルタに集中していた。
マルタは下着を選んでいた。
見本でデザインを決め、あとはレースや色を選ぶようだが真剣だ。
白とピンク、そして黒の布地をガン見し見本の下着、キャミソールの様なものに布を当てて考えている。
「黒は大人っぽいね」
暇だった私が口を出した。
マルタがそれを着けたら、もう暴力的なエロさになっちゃうよ。
見てみたい気もするけど……
「そうですね。いつも白が多いのでたまには違う色を、と思って……」
「流行りは水色ですよ。形はこれがお勧めです」
モリシャス夫人が水色の薄い布を見せてくれた。
「この色は珍しいですね」
マルタが受け取って見てみる。
そして考える。
鏡を見て合わせる。
別に下に着ているものはそんなに分かるものではないから、そこまで真剣にするのはどうかと思うが、でもこの気持ちは分からなくも無い。
好きな人にちょっとでも可愛く見せたいんだよね?
私も和くんとのデートの時は死ぬ気で服を選んだよ。前日は鏡の前で数時間。
そして何もなくても何かあった時のために上下お揃いの可愛い下着は必須でした。
恋する乙女は努力も必要なのです。
「じゃあ、これを……」
マルタが決めたようだ。
シーラ、レイラ、そしてサクラコがどんなのを選んだかさりげなく確認に来た。他の布を見るふりをしながらマルタが何を持っているかしっかりチェックしている。
皆、何してるの?
サクラコの変な行動は前からだけどシーラとレイラまで?
でもよくわからなかったらしいサクラコが言葉に出して言った。
「マルタさん、どれにしたんですか? 私お揃いで欲しいです」
お揃い? そんなに仲良しだった?
「この水色とピンクです」
「可愛いですね。私も欲しいです」シーラが言った。
「私も素敵だと思います。お揃いで欲しいです」レイラが言った。
え? 全員お揃い?
メイド服もお揃いで下着もお揃いって、どんだけ仲良し?
後ろの方にいたエリザがため息をついた。
モリシャス夫人がエリザに声をかけた。
「皆さんお揃いだそうですが、エリザさんはどうされますか?」
「皆さん考えが浅いです。マルタが選んだものがロイド様の好みだとでも思ったのでしょう?」
エリザが厳しめの口調で言った。
え? そう言うことだったの?
「たまたまです」
「偶然です」
「思いがけずです」
それぞれが言った。
「そうですか。そう言う事もありますね。では私も同じものを購入してみます。皆さんが買うのにメイド長の私が買わないのは変ですから……」
エリザが少し頬を染めて言った。
なんと全員がお揃いを購入!!?
エリザーーーーーーーーーーー!!
お前もか!?
そのあとマルタがメンズのシャツの生地を選んでいた。
「同じのを5着で、いつも破くから……」
どうやらロイドの分らしい。
「採寸はどうされますか?」
モリシャス夫人が聞いてきた。
「体型が変わっていないので以前に計ったもので良いそうです」
「そうは言っても変わっているかもしれません。計るべきです!」
シーラが言った。
「そうですね。腕回りや肩は鍛えているので太さが変わっていると思います!」
レイラが言った。
「大胸筋も計るべきです!」シーラが言う。
「服の上からだと分かりづらいです!」レイラが言う。
「直に計る事を提案します!」とシーラ。
「同意見です。直に計るべきです!」とレイラ。
え、なに? この二人、めっちゃ息が合って追い立ててくる感じで怖いぞ!
「ロイド様がシャツ脱いでくれるんですか? 私も見たいです!」
サクラコが正直に言った。
採寸で脱ぐにしても皆の前で脱ぐことは無いと思います。
でもそれを期待しているってことなの?
マルタがワケわからずおろおろし始めた。
それを見たモリシャス夫人が
「あ、結構最近お計りしていたので問題ありません。大丈夫です。では仕上がりは二週間後ですね。楽しみにお待ちください」
慌てて締めくくった。
なんだかどろどろしたものを見せられた気分だ。
最後に誰かが「チッ」と言ったのが聞こえた。
振り向くとエリザがいた!!!?




