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185、仕立て屋さん

 仕立て屋さんが来た。


 さすがに今日は外の人が来るので屍戦士はもちろん、外の屍兵達も仮面を着けさせられている感じだ。でもちょっと不気味。


 二年前、私が王宮に入る前にお洋服を大量に用意してくれていたが、私が大きくなりお洋服の入れ替えをする。


 最初のお洋服達は、私が来る前に揃えられたのでだいたいのサイズで作られていたが、別に違和感なく着ていたし気にしなかった。


 子供にオーダーメイドは勿体ないよ。


 私の成長は遅いけど普通子供の成長って速いでしょ?

もうぐんぐん延びちゃうから大きく作っておけば? と思ってしまう。


 仕立て屋のモリシャス夫人は50代くらいの女性でお弟子さんを連れて現れた。

 昔から王都にある老舗のお店らしいが最近顧客が減り、お店をたたむか考えていたところ今回の大口注文がきたらしい。


「三人の姫様や、王妃様がいらした頃はよくこちらに参っておりましたが、最近は貴族様からのお呼びもなくなり、本当に寂しくなってしまいました。久しぶりに呼んでいただき腕がなりますわ」


 モリシャス夫人はご機嫌だった。


 そうか、魔物や屍ばかりになると経済回らなくなるよね。

子供の服をオーダーメイドで、しかも大量に作ると聞いた時には勿体ないと思ったけど、経済を回すためには遠慮は要らないのかもしれない。


 身体の採寸をしてから、布地がいっぱい運び込まれた。


 色とりどりの生地が沢山。


 どれも美しい布で目移りしてしまう。


とりあえず私用に10着と言うことで、デザインの相談もした。


 パーティーや何かに行くわけでは無いので出来るだけシンプルな動きやすいモノを……と私が言うと、マルタがどうしてもフリフリにしたいと主張してきた。こういう時のマルタの主張はハッキリしている。


「だって姫様はせっかくかわいらしいのですから、かわいいお洋服の方がいいです。今は修理中の"カズクン"もきっと喜びますよ」


 マルタには、突然いなくなった私の屍戦士は、調子が悪いので修理(?)に出したと言ってある。

 長い修理だ。もう戻ってきて欲しい。


「屍戦士はそんな事わかりませんけどね」

サクラコがポツリと言ったあと……


「でもカズクンは特別ですよねぇ」

と私にニヤニヤ笑いかけてきた。

サクラコがちょっと不気味。


サクラコは"カズクン"がアレスだと知っているのだ。


 今のはどういう意味だろう? 私のことからかいたかっただけ?

それともロイドをやめてアレスを狙ってないよね?

 アレスはカッコいいから他の女の子に狙われないかと油断できない!

それだけは許さんよ! 絶対にやめてね!


 サクラコの真意がつかめないままだが、いつのまにか部屋にはエリザとシーラ、レイラもいた。


 みんな生地やリボンやレースを見に来たのだ。

やっぱり女の人だからみんなおしゃれしたいし布を見たいのだろう。


「どうせなら皆にも何か作ってあげて。私10着も要らないし……」


「いけません姫様。このような高級な品は私達使用人には分不相応です」

エリザがピシャリと言った。


 やっぱりこの中では一番の古株らしいエリザの一言は効くらしく、一瞬、嬉しそうになった全員が布地やレースを見るのを止めて姿勢を正した。


 そうか、この布地って高級なのか。

私にはよく分からなかったよ。


「別にどこかに着ていく訳では無いから、もっと安く作れる布地でいいです。浮いたお金で皆の分を作って」


と改めて提案した。


「いけません!」

エリザも譲らない。


 まあ、私のお金ではないのであまり強く言えないか……


するとモリシャス夫人が

「では次回来る時はお嬢さん達にも手の出るお品を一緒にお持ちしますね。私の弟子達の縫製でしたらお安く出せますよ」


おお、さすが商売人。


四人の女子がわっと嬉しそうになる。


 街にもろくに行けない後宮、少し位の楽しみがあってもいいよね?



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