182、消えてしまったニーナ
アレスに会いに地下室へ
アレス~昨日はラブラブだったね~。起きたらいなくて寂しかったよ。
するとフェルの地下室に知らない人が!?!!
「やあ、リリア昨日は大変だったね。アレスのコアはまたはずしちゃったからアレスは屍戦士でも動けないよ」
魔導コアって電池みたいね。って違うし!
あんた、誰!?
私がその……フェルに似た知らない人をガン見する。
フェルっぽいけどフェルじゃない!
フェルはこんなに声が低くない。
フェルはもっと華奢な感じ。
フェルは何て言うか、ふにゃっっとしている。
フェルは男の娘の格好してもセーフだった。
「どうしたの? リリア」
「どうしたのじゃないよ! フェルこそどうしたの? なんか別人みたい。フェルだよね?」
「ああ……ニーナがね。消えてしまって……もういないんだ。だからかな……」
!?
「何の事でしょうか?」
「リリアに姫巫女の踊りを教えて役目を終えたらしい、あの時から徐々にニーナは消えていった。つまり今のボクが本来のフェルだよ」
ええ!?
「つ、つまり今までフェルだと思っていたのは……に、ニーナだったの?」
「そうだね。今思えばあれは二人の合体した第三の人格かな?」
なんかショック。
じゃあアレスやロイドに抱きつくフェルは? 第三の人格? それともニーナ?
それは置いといても、いきなり仲良しの友達が実は死んでました的な気分。
あのかわいいフェルがもういないなんて悲しい。
でもニーナが成仏(?)出来たなら喜んであげないとだ。
でも……う、う、悲しい。
お別れも言えないなんて……
もうあのフェルに会えないと思うと悲しすぎる。
王宮に連れて来られて不安だった時期を支えてくれた大事な友達だったのに……
こんなことならもっとあのフェルとのお茶時間を大事にするべきだった。
フェルにいろいろ聞こうと思っていたが、もうよくわからなくなったしまった。
「リリア、姫巫女の踊り、今度踊ってね」
新しいフェルに言われた。
そうは言われても……
一度踊っただけでいなくなるのはちょっと気が早いよ。
ニーナってばもっとゆっくりしていってほしかった。
せめてあと4、5回とか、普通に教えていかないかな?
新人研修がなっていませんよ!
昨日アレスが使った分、コアが消費されたから今日はいつもより頑張ってコアに魔力を込めているんだ。と説明しフェルは魔導コアに魔力を込め始めた。
魔導コアが美しく輝く。
私はアレスの棺に顔を突っ込みアレスに頬ズリをしてから自室に戻った。
何か大事なものがなくなってしまった気分だった。




