181、仲間になりたいサクラコ
翌日、気がつけば私はベッドで寝かされ、屍戦士のアレスはいなくなっていた。
アレスの身体をフェルが回収に来たのだろうか?
最近フェルと話せてない。後で行ってみよう。
足元にチビリルがいた。
そう言えばチビリルがアレスを呼んでくれたんだ。
一応役立ったチビリルにお礼も言わなければ……
ロイドがサクラコを連れて本宮に行き、今回の処罰が決まった。
サクラコは1ヶ月の無給、つまりタダ働きだが、ここがほぼ魔王城なのにお給料が出るのがすごい、無給は嫌だがそんなもんで済んで良かった。
ロイドもケガもなく帰ってきてマルタがホッとしていたが、本宮で屍戦士の調整の仕事を一週間するらしい。(時間外勤務?)
そして私には口頭注意と言う名目だが特になにも無しだ。
まともな処罰で良かった。
本宮から帰ってきたサクラコがウォルター様の笑顔の中の恐ろしさを語った。
笑顔なのに凄い圧だったと……
うんうん、ウォルター様の魔力圧は凄まじいんだよね……
でも笑顔で圧をかけてくるってある意味ロイドと似ている? さすが育ての親!?
とりあえず良かった。
あとはサクラコがいかに綺麗に辞められるかだ。
今回の事で私はちょっとサクラコの事がわからなくなった。
サクラコは出ていく約束をした筈だがすんなりいくのか?
「本当にウォルター様に見られると蛇に睨まれた蛙の気分なのです!」
サクラコがまだ語っていた。
「そんなに怖かったなら早く辞めて出ていくといいよ」
冷たい感じだが退職を勧めた。
だってサクラコには帰るところがあるんだし。
「姫様、私を追い出したいですか?」
「追い出したいって言うか、サクラコには一度誘拐されちゃったし……早く国に帰るのがサクラコの為でもあるよ」
「……でも……」
サクラコがモジモジしている。
「国に戻って婚活すればいいよ。サクラコはかわいいからきっとすぐに良い人見つかるって。」
「私、ここに戻る前にじいやに誓ったのです。必ずロイド様を連れて帰るって!」
サクラコの言葉と拳に力が入る。
「そんなにロイドがいいの?」
「え、? イヤ、別に、そ、そそ、そんな……ことは……」
サクラコがドモリ始めた。
どうやら照れている?
そうか、そんなにロイドがいいんだ。……どこが?
「サクラコ、よく考えて見なよ。ロイドは顔はキレイかもしれないけど性格キツイしヤバいよ。その上女の子に何故かモテるでしょ? きっと苦労するよ!」
「顔だけではありません、ちゃんとお優しいです!」
まあ、恋は盲目って言うからね~
「サクラコ……だってロイドにはマルタがいるよ~」
「大丈夫です。マルタさんとは仲良くやっていけそうです」
第二夫人と言っていた位だから気にしないのか……
でもマルタはヤキモチやきでは? きっと嫌がるよ。
あんなに美人でスタイルもスゴいのに何故か自分に自信が無さそうなマルタ。
それは姉姫三姉妹の仕業かもしれない。
「甘いな~サクラコ? マルタだけの訳無いじゃん! マルタが第一夫人だとしたら、第二はエリザかもよ? 第三夫人はシーラとレイラが同一で、つまりサクラコはなれたとしても第五夫人だよ? だからやめときなって!」
「第五夫人!?」
これにはサクラコも驚いた!
「そんな事になっていたんですね! 昨日からシーラさんもレイラさんも冷たいし、エリザさんにも避けられています!」
そうだったの? 大変ね。
「だからサクラコ、国に帰りなよ」
「第五夫人だったら週一回は通ってもらえますよね?」
は? かよう……?
「週三は正妻のマルタさんだとしても、週一回は確実に来てくれるということです!」
「な、何の話?」
「例えばです。土日はマルタさんで月曜エリザさん火曜がシーラさんで水曜は正妻なのでマルタさんを間に入れ木曜はレイラさんそして金曜は私サクラコです。キレイに収まりました!」
私の妄想で言ったことで、なにやらロイドのシフトが作られてしまった。
この妄想がロイドの耳に入ったら私は危険かもしれない……
「何のシフトですか?」
マルタがモップをかけながらやって来た。
マルタに知られるのもまずい!!
「な、なんでもないよ」
「もう、私は仲間外れですか? 昨日も二人で外に出かけるなんて、今度から私にもちゃんと言ってくださいね。仲間外れは寂しいです!」
「う、うん。そうだね~あははっ」
私が誤魔化そうとすると……
「私こそ、マルタさんの仲間にしてもらいたいです! よろしくお願いします!!」
サクラコが凄い勢いでマルタに迫った!
マルタは意味がわからず気圧されていた。
何の仲間だよ!!
この数日後、私がサクラコに変なことを吹き込んだと言うことで、ロイドにめっちゃ怒られました。




