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176、本物の勇者

 アレス? アレス?

本物なの!?

でも間違えようのない整った美しい顔立ち。


 私のアレスで間違い無い!

このカッコよさはアレスだーー!!


 そして背には勇者の剣エルシオンがアレス仕様の形で背負われている。

カッコよすぎる!! 本物の勇者だ!! これが正しい勇者のあり方ですよ!!

もうこれが勇者じゃーーーーっとか叫びたい!!


 アレスと勇者の剣のセットは月の光のせいなのか透明感のある輝きに包まれていた。


「あ、アレス様……?」


戦鎚の男が声を漏らす。

そして手に持っていた戦鎚を落とした。

ゴスッ 戦鎚が地面に沈む。

危なっ!!


 忍者達の半分にも動揺が走っていた。


口々にアレスの名が呼ばれ、跪く者もいる。


「ど、どうした皆のもの!? バルク殿まで!」

ジンノスケが叫ぶ。


すると戦鎚の男も膝をつく。


「どうされた? バルク殿?」


「……ジンノスケ殿、こちらは勇者アレス様だ」

戦鎚の男がそう言って兜を脱ぐ。


兜を脱いだその男の顔は……


おじいちゃん!?

戦鎚の男はうちのおじいちゃんだ!!


「何をいっているのですか? 勇者アレスは30年以上前に殺された筈です。それにこの者がそうだとしても若すぎます。本人の訳がない」


ジンノスケがおじいちゃんに言った。


「分からん。しかし間違えようがない。この方はアレス様だ」


 忍者達の一部が黒い頭巾を取る。ジャパネオの人では無かった。おそらくエターナルの人だ。涙を流す者もいる。


 若い忍者やジャパネオの忍者が動揺していた。


呪縛の魔方陣で動けぬ者も何とか顔をあげようとしている。


「バルク、久しぶりだね。あと、俺を覚えていてくれた人もいるようで嬉しい」

アレスが喋った。


「偽物だ!!」

ジンノスケが叫ぶ!


「偽物では無い! アレス様だ!! アレス様への無礼はこのバルクが許さん!! 勇者の剣を見ろ、あの聖なる輝きは勇者のもので間違いない!」

おじいちゃんが叫ぶ。


 アレスを知らない者達から見れば偽物と思うのだろう。


 しかしアレスからは何か他の者にない力の輝きが出ている。

勇者のオーラのようなものだろうか? 

確かにこれが勇者でなくて何だよ? って言うくらいの迫力と不思議な輝きがある。神聖な物を見たような気分だ。


 みんな呆気にとられたようにアレスを見つめていた。

一部の人は拝んでいる。


 これが本気の勇者モードのアレス?

何だか遠い人に見えてしまう。


「どういうことだ!? ロイド!」

おじいちゃんがロイドに向かって叫ぶ。


「私より本人(勇者)に聞いてください」


ロイドが服の埃を払いながら言った。


そしてロイドは私のところへ来た。


「チビリルよくやった。偉かったぞ」

 先ずはチビリルが誉められた。チビリルが頭を撫でられている。


は? チビリル何かしたっけ?

へそ天で寝てただけだよ?


「何ですか姫様? そのふてくされた顔は? 大好きなアレスの一時帰還ですよ。嬉しいでしょう? 向こうのお話が終わったら姫様もお話出来ますよ」


そう言って私のほっぺを引っ張った。ひどい!


「どう言うこと? アレスの一時帰還? 帰って来たんじゃなくてまた行っちゃうって事?」


「姫様が誘拐されるのが分かって、チビリルがアレスを呼んだのです」


 そう言えば連絡用にチビリルを置いて行くって言ってた気がする。


チビリルのヤツ、ずっとロイドにくっついてるから分からなかった。


「姫様に囮になってもらうので危険がないようにチビリルは姫様についてきたのです」


え、囮? 酷くね?

チビリルも微妙。

寝ていただけだよね? なにもしてないよね?


「囮と言っても危険は無いと思ってましたよ。姫様を狙う者達を炙り出し、もう手を出さないようにしてもらう事が目的です。もう無駄な殺し合いで恨まれるのはゴメンですから……まあ、姫様が無事で何よりです」


「ロイドも無事で良かったけど……どうしてシーラとレイラを置いてきたの?」


「今回は私がサクラコを逃がした失態としてひとりで追うことにしたのです。まあ、本当はアレスを見られたくなかったからですが……姫様が私の心配をしてくれるとは驚きですね。優しい子に育ちました」

ロイドがニンマリ笑う。


「別に心配してないよ! シーラとレイラには知られたくなかったの? やっぱり不味いことがある?……」


「彼女達は充分私に忠実ですが、余計な事を知ると言うことは彼女達の危険も増えるのです。巻き込みたくは無いですね」


それで連れて来なかったのね。


「あの戦鎚を持ったのがうちのおじいちゃんだと思わなかった。ビックリした」


 本当はロイドがあの戦鎚に潰されたらどうしようと思って怖かった。

あれがおじいちゃんだと思ってなかったし……

おじいちゃんも何で黙ってるかな!! 私に話かけろや!!


「フフフ……バルク様、怖いですね。私相当嫌われてますよ」


 そう言って私とチビリルを抱えた。


そして座り込むサクラコに向かう。


「サクラコ、あなたには失望しました。あなたなら魔族にならなくても立派な戦闘メイドになれたのに……残念です」


「違います、ロイド様。私はただ、姫様とロイド様に安全なジャパネオに来ていただきたかっただけです!」


「サクラコ、国に帰りなさい。私にとっては安全な場所など存在しません。私はこの国を離れるつもりもありません」


「嫌です! ロイド様が残るのなら私も残ります。国に帰りません!」


「最初に会ったときに私に忠誠を尽くせるかと質問し、あなたはそれを受けましたが、あなたの今の()()は違います。私に()()は必要ありません」


 そう言ってロイドはサクラコに背を向けた。


サクラコが泣き崩れた。


 あれ? どう言うこと?

 もしかして分かりずらかったけど、サクラコってロイドの事が好きだった?

いつから?


 いろいろ理由を付けていたけどロイドを連れて行きたかっただけなのか……


 それにしてもいつの間に……? サクラコってそう言う事に興味が無いように見えたのに……。

 もしや本人の自覚なしか?


ロイドの天然モテっぷり恐るべし!




挿絵下げました(>人<;)すみません。

なんかゴツい…

ちょっと絵柄変わってきたのとか頭身変わってきたのか…

描き直させてくれという気持ちです。

いつか描き直します。

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