表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/295

16、地下室の勇者の絵 

 地下室か…ちょっとした冒険みたい。わくわく


 地下室の階段を降りようとした時、ピンクの着ぐるみが目に入る。

わ、地下室に釣られて着ぐるみの事を聞くの忘れる所だった!


「フェル!私聞くことがあるの!!」


「ど、どうしたのリリア?怒ってるぅ?」


私の勢いにビビるフェル。


「この着ぐるみ着てお店にいる時、変な声がいっぱい聴こえてきたの。あれは何!?」


「キグルミ…?…パペットの事だね。変な声っていうのは街の人の声だよ~」


「だから、いっぱい、いーっぱい聞こえたの。そのせいで私気持ち悪くなって…」


「ごめんね。パペットの集音失敗しちゃったみたいで少し暴走しちゃった。ちゃんと調整したから次はもう大丈夫だよ。」


びくびくしながらフェルが答える。

"次"も着せるつもりらしい。


「そーいう事じゃなくて!何であんな機能が付いてたの!?ってことです!街の人の声を聴いて何がしたかったの!?」


フェルは怒られてへこんでしまった犬みたいになっている。しっぽと耳があったら、きっとしっぽも耳もペチャンコにつぶれている。


「何がって…街の人達の声をリリアに聞かせたかったのもあるけど……

半月くらい前に王都に"重装のバルク"が入ったらしいから…運が良ければ見つけられるかな~って…」


ん?重装のバルク?…?


「色んな声が聴こえたら、あ~こんなところにいた~って見つかるかと思ったの。ボクのパペットは鼻がとってもいいし~臭いで見つけられるかな~って」


犬の着ぐるみにも機能つきですか…しかも見たまんまだね。

臭いで見つけるって、どんなんよ。


「バルク見つからなかったね。王都広いし~。王宮入れないからもう違う所に行っちゃったかな」


ーーもしかして!!!?


「バルクってうちのおじいちゃん…?」


「そーだよぉ。リリアに会わせてあげたかったの。王国最後の騎士団団長"重装のバルク"だよ~。昔王都を追われて出て行っちゃったの。」


おじいちゃんにそんな二つ名が!?

かっけーーー!!


 フェルってば私をおじいちゃんに会わせようとしてくれてたんだ!すごい親切心!!『何がしたかったの?』なんて強い口調で疑うような事言ってごめん。


「怒ってごめんねフェル。いや怒った訳じゃないけど…私の事考えてくれてたんだね。ありがとう。」


「い、いいんだよリリア。き、気にしてないし…」


うわー!やってしまった。フェルは涙をいっぱい溜めている。すぐにでも決壊しそうだ。

空気を変えないと!!


「あ、フェル!地下室見せてくれるんだよね?楽しみだな~フェルの宝物があるの?なんだろうね~。」

わざとらしいがこれしかない!


パァァァっーーーーーーーーーーーーーー!

フェルの顔が思いっきり晴れた。

チョロかった。


「うん。あのね~ボクの一番の宝物はアレスなの~。あとはね~焼かれちゃう前に隠した絵があるの。魔王退治に行く前に描いてもらった肖像画だよ~。それからぷるぷるの…」


「魔王退治!!!?」

思わず大きな声が出てしまった!

 魔王を倒した勇者のパーティにいたとは聞いていたけど、本人から聞くのは初めてだし、本当に勇者のパーティに入れてもらえてたんだね。仲間外れにされてないか心配だよ。


「そうだよ~あの時は皆がいて楽しかったよ~……あ、リリアと居るのもすっごい楽しいよ。」


何かをフォローしてくる。私が焼きもちでもやくと思ったのかな?


 階段を降りていく。中は真っ暗だったがフェルが進むと足元に光が灯っていく。

蛍のような淡い光がいっぱい階段の先を浮かび上がらせる。


深そうだな。少し怖い。

フェルの袖をつかむ。


「暗いから階段気をつけて~~」


そのままゆっくり進みフェルが止まる。

どうやら階段は終わり、石造りの扉の前に着いた。


扉も淡い光でボーッと浮かび上がって見える。


「この部屋の一番奥でアレスが眠っているんだ~リリアに紹介するね~」

フェルが手を翳すと扉がゆっくり開く。


え?眠ってるって、誰か住んでる?

アレスくんてフェルの妄想の友達じゃなくてちゃんと存在してたんだ。良かった。


 扉の中は驚く程広い。ちょっとした体育館くらいありそう。すぐにバスケの試合でも出来そうなくらいだった。(あ、バスケットゴールないから無理か)


目がなれてきたのか薄暗いけれど見える。

誰もいなそう?


あ、壁に絵がある。


 超イケメンのめちゃくちゃ好みの黒髪の少年。

 ガッチリとした体格の栗毛の青年。

 そして赤毛で細身の少年。

 さらに赤毛の髪の長い少女。



 これは勇者のパーティ!?女の子もいたんだ。

この赤毛の少年はきっとフェルだ。なんか3割増しでかっこよくされてるから、この絵の信憑性は薄い。


 もう一度黒髪の少年を見る…この人が勇者?この人も3割増しで描かれているのかもしれないけど、スゴい好み。好きです。絵のこの部分だけでいいから欲しいな。


「見た~?カッコいいでしょ~ボクのお気に入りだよ~」


フェルが嬉しそうに手足をバタつかせた。

気に入ってるって言ってたし…無理か…


「じゃあ次はアレスに紹介するから来て~」


そういってフェルは一番奥の大きな箱に向かった。


ん?箱?そう、大きな石で出来た箱。こういうものは前世でも見たことある"あれ"に似ている。

そう、あれはエジプトとかで"あれ"が寝ている"あれ"です!!

言葉にしたくもないツタン○ーメンとかの"あれ"ですよ。


フェル!お前乙女に何を見せる気だ!!嫌な予感しかしない。


「あの~フェル……? 聞いてなかったけどアレスさんてどなたですか?」


「何言ってるの~アレスは勇者だよ~すっごいカッコいいんだから~リリア好きになっちゃうかもよ~!!」

そう言ってフェルが棺桶に手をかけた…


ーーーちょっと待て!!!勇者って死んでるよね!?










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ