166、幸せMAX?
すごく長い夢だった気がする。
目が覚めたら現実の私リリアからも涙が流れていた。
そしてアレスがベッドの脇に座り私と手を繋いでいる。
繋いでる手を眺めて私達の繋がりを嬉しく思った。
アレスの仮面を外す。
ごふっ
うわっイケメン!
さっきまで夢の中で見ていた顔だけど、現実でもいいわ~。
私はアレスの顔を見ながらドキドキしていた。
さっきまでの夢で私と和くんはラブラブだと分かったのだ。
嬉しい。幸せ!
それからアレスの頬にキスをした。
「おはよう、アレス」
和くんに聞こえているのだろうか?
私は和くんが朝晩のキスは口にしてと言っていた事を思い出した。
勝手に赤くなり、一人でキャーキャーして暴れた。
だがそれよりもキスをしてアレスを目覚めさせるミッションがあるのを思い出す。
朝晩のキスは二人きりだからまあ別にいいのよ。
でもキスして目覚めさせてフェルと話をさせるってハードル高くない?
口にキスしてまた暴走してどこかに行っちゃわない?
本当に大丈夫?
そしてやっぱりフェルの前でキスしないとなの?
僕もアレスにキスするとか言われそう?(やだな)
そして動ける時間にはきっと限りがあるよね?
うーーーーーーーーーーーーーん。
とりあえずお昼寝の時間にフェルの所に行くまでには考えておこう。
私はアレスに抱きついた。なんて幸せなんだろう。
もういろいろ薔薇色に見えてきた。
幸せ! この気持ちをどう表そう。
もう転がりながら考えちゃう!
アレス大好き! 和くん大好き!
私のアレスは私の和くんだったんだ!!
和くんと同じ世界にいられる幸せを噛み締めたい!
もう踊り出してしまうくらいルンルンだ。
こんなに幸せなのはいつ以来?
もしかしたら前世以来?
和くんと付き合える事になった時くらい嬉しい!!?
いや、もっとかも!?
私史上一番かもしれない!!
両思いってなんて幸せな事なのか!
そういえば最近栄養不足気味だった私の妖精はどうしたろう?
私は首から下げてある小瓶を服から引っ張り出す。
いつもいるのかいないのか分からない妖精の小瓶がなんと黄金に輝いていた!
なにこれ!?
雰囲気としてはこの輝きはもう栄養MAXな感じ?
もういっぱいだよーと妖精に言われているような気分だ。
それほど私と和くんの幸せパワーがスゴかったのかな?
まあそりゃそうか!
今の私は素手で熊でも倒せる勢いよ! 倒さんけど……
これも後でフェルに見せないとね……
小瓶を服の中にしまった。
しばらくすると、マルタとサクラコが来た。
「おはようございます。リリア様」
「おはようございます。姫様」
「おはよう、マルタ! サクラコ!」
私のテンションがいつもよりかなり高い。
「どうしたんですか? リリア様、随分ご機嫌ですね」
よくぞ聞いてくれました!
「そうなの。すっごい幸せ! あのね……」
言いかけて、あ、となった。
言いたいけど言えない。
言いたい! 言いたいよ!!
でも、マルタとサクラコは、私が転生者ってことも、アレスが勇者ってことも知らない。
アレスと私、両思いだったの! 嬉しい!
と言ったところで、屍相手に何言ってるの? となるだろう。
残念。特にマルタは一緒に喜んでくれそうだったのに……。
喜びを分かち合えないって辛い。




