表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/295

152、ユズコ、ユズコって鬱陶しいわ!!

 その後アレスの意識が繋がらないまま数日が過ぎた。


 ジルニトラに会いにすぐにでも行きたかったがアレスの魔包衣の在庫が無いので、大量に作っておくことになった。


いざという時に無いと困りますから……


だからしばらくは一緒にいられるね、アレス。


 でもアレスが言っていたという。"いつも一緒にいるユズコ"?


いつも一緒にいるのは私なんだけどな~?


なんか嫌だわ。


ユズコか……。


 あの時々見る夢に出てきた、私が黒長子と名付けた女の子を思い浮かべた。


やっぱり……あいつか?



 今アレスと一緒にいるのは私なのに! どうして?


いつも一緒にいるユズコにお礼を言いたい……?


その"ユズコ"のところが"リリア"だったらどんなに良かったか……

なんだか悲しい……


ああ、何でなの? アレスにとって私って視界にも入りませんか?


ダメだよ。この不健康な思想は!


 私はアレスにしがみつき、ぎゅうっとした。


するとぎゅうっと返された。


え? ホントに?

これは意識があってやってるの?


う、うれしい。このままこうしていたい。


 でもそうはいかないよね。アレスにもし意識があるならチビリルに通訳してもらわないと……


ちょ、ちょっとチビリル!?


こう言う時にチビリルがいない!


役に立たんな!


 これ数日ぶりにアレスの意識が来たんじゃないの?


これを逃すと次いつよ!?


「チビリル~チビリル~来て~!!」


叫んで呼んでみた。

チビリルを呼んだが間に合わないかも……?


「アレス、ちょっと待ってね。チビリルが来るまでいてね」

焦る私。

コンコン、ノックがした。


「リリア様~チビリルですよ」


マルタがチビリルを連れてきてくれた。

私の叫びが聞こえたらしい。

チビリルはまたマルタの胸の上に乗っている。

どんだけ気に入ってるの!? このエロ犬!


ホントにチビリルはあのフェンリルさんの分身なのか、不思議だ。


「チビリル! アレスを見て」


チビリルがジャンプしてアレスのところに来た。


「何か言ってたら教えて!」


くうん……


あれ? 犬っぽくしてる?


《ユズコが抱き締めてくれて嬉しいって、ユズコに触られるとそこから温かくなるって言ってるよ》


ええーーーーー?

やっぱり抱き締めてくれたのは意識はあったからだった。

でも彼が抱き締めたと思ってる相手は私に向けたモノではないようだ。

ひどい~!


「私はユズコじゃない、リリアだって言って!」


《うん……聞こえてるって……でも君はユズコだって言ってる》


そんなあ、アレスの勘違いだよ!


「私はリリアだからユズコと一緒にしないでって言って!」


《ユズコが嫌がるならリリアって呼ぶって》


うわーーーーーーーーー!! 何も解決せん!!

ユズコ、ユズコってーーーーー!!

ユズコめ!!


あ、そうだ! アイテムボックス!!


「これを、これ見て! 何か知ってるか聞いてみてチビリル!!」


私はアイテムボックスを出しアレスに見せる。


《ごめん、見えないって》


がーーーーん!!

あ、そうか、見える人(ロイド)の方がおかしいんだっけ。


《時間切れだよ》


チビリルがシッポをパタパタとして言った。


その様子をマルタが黙って見ていた。


は! 私、独り言の危ない奴に見えてる!?


急に恥ずかしくなった。


「リリア様は……」


イタイ子ですね? と言われる!? ……キャーーーーーーー!!


「リリア様はチビリルとお話出来る様ですね。ロイドも時々この子と話してるみたいな時があるんですよ。羨ましいです」


あ、羨ましいの?


マルタはチビリルに頬擦りをした。

「こんなかわいい子とお喋りしてみたいです」


チビリルのシッポがこれでもかとブンブンになる。かなり嬉しそうだ。

チビリル、マルタにかわいがられて良かったね。


 マルタの前では話さないようにロイドに言われたのを守っているのか……

偉い子だな。

マルタの前くらい良いと思うけどダメなの?


「あのですね……リリア様。今日はこの後、ある方がロイドに会いに来ます」


 突然マルタが言いづらそうに話始めた。


 お客様ってこと? 珍しい!

と言うか初めて?


 私がここに来て初の来訪者ですか。


「それでですね……ロイドがリリア様は部屋から絶対に出ないように伝えろと……」


「え? どういう意味?」

私はお客様に見せられない子?

お行儀悪いですか?


「更に私とチビリル、それからカズクンもリリア様の部屋から出るなと……なるべく大人しくしているようにと言っておりました……」


あら、結構複数で隠されます……私だけでは無かった。


「お客様って誰が来るの?」


「お客様と言うか……現場査察?」


現場査察とは?


「ロイドからの指示はリリア様はご病気と言うことで部屋で寝ています。私は看病でリリア様の部屋に待機。チビリルは仔犬らしくしつつ部屋で待機。そしてカズクンも屍戦士らしくしつつ部屋で待機、と言うことです」


マルタが言われた事を思い出しながら言いきった。


チビリルは仔犬らしく? カズクンは屍戦士らしく? って聞いても不思議に思いませんか……。

いいのよ。それがマルタだもん。


「二階に行かせるつもりはないと言っていたので、おとなしく待っていれば大丈夫です。一階は今皆で準備してます」


今、一階(した)は大変なことになってるんですね?


でも査察って何だろう?








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ