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151、ユズコって誰だ!!

「アレス、ボクの事わかる?」

フェルが恐る恐る聞く。


「わかるって、フェルが無事で良かったって言ってるよ」

チビリルが通訳した。


フェルはポロポロ泣き出した。


「アレス……長かった……長かったよ。君が絶対に帰って来るって信じていたんだ。でも、ボクのせいで君の魂を閉じ込めてしまって……今も不自由なままで……本当にごめんね」


「えっとね……気にするなって、フェルのドジには慣れてるって……でもちょと怒ってるよ」


「アレス~」

フェルがますます泣き出した。


え、10年以上も苦しめられてるんでしょ?

ちょっと怒ってるくらいなの?

魂に触れたときめっちゃ苦しんでましたよ? いいの?

心の広い人だな。


「ああ、うん、わかった。あのね、それより"ユズコ"と話したいって」

チビリルがアレスの話を聞いて要望を言ってきた。


ユズコ……?


私もフェルもロイドも「?」となる。


「ユズコとは?」

ロイドが言った。


「チビリル、もう一度聞いてみて」

フェルがチビリルに頼む。


「ユズコはいつも一緒にいる女の子だって言ってる」


え? いつも一緒? 私ですか? ユズコではなくて、リリアですが……?


「誰かと間違えてる?」

チビリルに聞いてもらう。


「ううん。間違えてないって。いつも一緒にいてくれているユズコにお礼を言いたいって……」


いつも一緒のリリアですけど……?


「記憶の混乱でしょうか? 師匠、30年前にユズコと言う人は?」


「いないよ、そんな人……アレス……なに言ってるの? 誰と勘違いしてるの?」


「あ、ずれた! 今日はもう無理みたいだよ。」

チビリルがアレスを見ながら言う。


え? これだけ?

もっと大事な事を話さなければだったのでは?


『ジルニトラに会いに行くには?』とか聞くべきだったのでは?


それが"ユズコ"で終わっちゃうとは……


なんだよユズコ!!


でも……ユズコって、ユズコって、……


私のアイテムボックスの名前じゃない!?


正確にはアイテムボックスに書かれていた名前?


「勇者には思い人がいましたね。その人の名前では?」

ロイドがもっともらしいことを言ってきた。


 そうかもしれないけど、そう言う事言うのやめてほしい。

アレスに好きな人がいたって考えるだけで私の心がヤバくなるから……


「思い人? そんな人いるわけないよ~。そんな人いたら親友のボクが知らないはずないし~」


なんだかフェルが壊れ気味に言う。

私よりも動揺している人がいた。


 前にアイテムボックスの出し方教えてくれたのはフェルだし……

ここはフェルにアイテムボックスの相談をしたかったが今のフェルは混乱してそうだ。


「どうしました?」

ロイドが何か感ずいたか……


「姫様は何か言いたげでですね? 遠慮なく仰ってください」


「別にロイドに何か言いたいわけじゃ……」


「パパ、あのね、リリアは何かユズコについて知ってるよ!」

チビリルがしっぽをフリフリで言いつける。


「知ってる訳じゃないもん! ちょっとチビリル!! 勝手に私の心を覗いたの? 勝手に覗くのはダメだよ! ロイド、パパならちゃんと躾をして……」


 言いかけたものの、よく考えたらこのお父さん事態が人の頭を覗く人だった。

ロイドとチビリルに人権は通用しない。


「どうしました? 姫様」

笑顔で言われてもね……。


覗かれるくらいなら自分で言うわ!


「えっと……前にフェルにアイテムボックスの出し方を教えて貰ったの。だけど何も入れる事が出来ないから、そのままほっといたんだけど……この前見たらボックスに書いてあったの……」


「書いてあったとは?」


「"ユズコの思い出"って書いてあるの……相変わらず開ける事は出来ないけど……」


「「は?」」


ロイドとフェルがハモった。


フェルが真面目な顔になる。今ので戻ってきたか……


「リリア、アイテムボックス出してみて……ロイくん見てくれる? ボクにも覗かせて」


私はアイテムボックスを出す。


 やっぱりボックスには『ユズコの思い出』とある。


「ロイくん見える?」


「人のアイテムボックスなんて普通見ませんからね」


ロイドが目を細め眉間にシワを寄せる。

瞳の色がいつもより微妙に濃くなり私の手元を見始める。


最近、"隠密"している人も見えるようになったのなら、本人しか見えない筈のアイテムボックスも見えそうだけど……?


「ああ、はい見えました。師匠も見てください」


フェルがロイドの肩に手を置き、私のボックスを探す。


「うわースゴいね、見えた~ロイくん、スゴいね。君の視界素晴らしいよ!! その眼ひとつちょうだい!!」


フェるが子供の様にはしゃいだ声をあげた。


「師匠のそういうところが嫌いです」


そう言いながら私のアイテムボックスを二人でジロジロ見る。

なんか嫌だな。

男性二人(一応フェルも)に見つめられてなんだか恥ずかしい気がしてきた。


「はい、おしまいです」

ロイドがフェルの手を払った。


「あ、ごめんね~疲れた?」


「慣れないものを見たから疲れましたよ。それに見ても無駄のようですね」

辛そうに目頭を抑えロイドが言った。


「無駄?」

せっかく見せてあげたのに……。


「そうだね~。なんか書いてあるけど見たこと無い文字だね。あの文字がユズコの思い出って書いてある部分? リリアには読めるって不思議だね」



見たこと無い字?

ああ、日本語なのか……

それじゃ二人には読めない。

私がなんで読めるのかも説明しずらいのでその件はしらばっくれよう。


「じゃあ何もわからない?」


「そうだね。リリアはなぜそんな物を持っているかもわからないんでしょ? それにその見たことない模様を字だと認識してるようだし……不思議としか言えないなあ」


「そっか……」

結局何もわからないのか……


「でも中に何か小さな物が入っているのはわかりました。姫様に心を当たりは無いですね?」


小さな物が入ってる?

そんな事わかったんだ。


「ないです」


二人に確認されたが結局私は何も知らないし、分からなかった。

返って謎が深まった気がする。













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