145、チビリル発見!
一階は細かい部屋に別れている。ほとんどがメイドさんの部屋だ。
使われている部屋より使ってない部屋がいっぱいだよね?
ガチャガチャ…
鍵が閉まっている。
立っている屍戦士を押し退けドアノブを握る。
以前だったら考えられない私の行動。
慣れって怖いわ。
どうせ、ロイドとマルタはイチャイチャしてるだろうから、二人の部屋には行かない。
だってお邪魔でしょ?
チビリルもロイドを見たら逃げるでだろうし。
反対側の厨房に行ってみよう。
まだ行ったことがなかった。
厨房に近づくと何か聞こえてきた。
「キャッ、いや、ああん!」
あれ? 何だろう。
「ダメ、あ、あ、くすぐったい、あ~」
マルタの声だ。なにやらエロ系の声?
これは……
「ロイドの奴、場所を変えてイチャついてるのか……?」
厨房でエロいことはやめてもらいたい。
「私が何ですか?」
ロイドが後ろに立っていた。
うわっ
ビックリした。サクラコに続いて、また驚かされた!
あれ? どうしてロイドがここに?
「マルタと一緒じゃないの?」
「サクラコが庭へ行くのが見えたので……サクラコに聞きました。犬が逃げたそうですね。まったく何をやっているのか……」
「そうなの、チビリルを探して!」
すると厨房から
「きゃあ、ダメ、もうベトベトになっちゃう!」
と言う声が……これはあれか!
ロイドが厨房の扉を開けた。
マルタにくっつくチビリルがいた。
これは王道でしたね。マルタにじゃれるチビリルでした。
「ロイド、リリア様、このワンコがずっとじゃれて舐めてくるんです。あ、あ、ベタベタ~」
チビリルはマルタの胸の上にガッツリ乗っかってべろべろしていた。
あ、チビリル、それをやると怖いお兄さんに怒られるよ。
ロイドはチビリルを捕まえた。
また首部分を掴んで吊るす。
チビリルはマルタから離れたくないらしくマルタの服を掴んでいる。
「あ、服が破けちゃう。ダメ。」
マルタも引っ張られる。
「お前、何してるんだ?」
ロイドが冷静にチビリルに言った。
「あ、バロールの末裔! お前やだ! 怖い!!」
チビリルが慌てた。
「お前がじゃれているその娘も同じくその末裔だぞ?」
「ええ? やっと優しそうな娘を見つけたのに!」
チビリルがマルタを離した。
「おまえの匂いはするけど、この娘は違うぞ! 違う魔物の匂いだ!!」
魔物の匂い?
「むぐっ」
ロイドがチビリルの口をちまっと塞いだ。
「ロイ、手荒なことしないで!」
マルタが叫んだ。
「そうだよ、その子はまだ赤ちゃんだよ!(マルタの胸にくっついてたのは)もう許してあげて!」
私も叫んだ。
「何の騒ぎですか?」
騒ぎを聞き付けたのかエリザが現れた。
相変わらず無表情で冷たそうなエリザ。
「ああ、エリザ、何でもないよ。姫様が犬を欲しがっていたので用意したんだが逃げてしまって、今見つけたところだ。何も問題ない」
ロイドが、チビリルの口を押さえながら答えた。
「そうでしたか。犬を用意するとは聞いてませんでしたが……珍しい色の犬ですね」
「珍しい? これが? 何処にでもいる犬だろう」
「……そうですね。何処にでもいる犬です」
「さあ、姫様。犬を連れてお部屋に戻りましょう。もう逃がしてはダメですよ」
良かった。これでやっとアレスの事が聞ける。




