13、ワクワクお出かけ準備
それからの毎日は楽しかった。
王都に来たかったのだって街に行きたかったからなのに、全く街に行けていないんだから嘘でも連れて行ってくれると言われたら、嬉しくてしょうがない。
勿論、フェルは嘘を言った訳ではなく何か用意をしているようだ。
夜中に毎日抜け道を通ってフェルのところに遊びにいく。寝る前の限られた時間だが今の私の1番の息抜きで楽しみだった。
フェルが忙しそうに何かしている時は、私は黙って本を読んだりお茶をのんだりするけれど、大概フェルは私と遊びたがる。部屋にある魔法の道具を見せてくれたり。魔法のボードゲームで遊んだり、フェルの部屋は宝箱のようだ。いろんな物がでてきて面白い。
たまによくわからないフェルの友達のアレスくんの話を聞かされるが、そんな話より勇者のパーティーにいた時の話を聞きたい。
夜中充実しすぎて昼間眠い。よく居眠りをしてしまうので具合が悪いのかとマルタに心配されてしまった。
これは夜遊びなのだろうか?10歳にして非行に走っていると…?
いえいえ私は本当は27歳の大人だからいいの。たぶん。と自分に言い訳をする。
そして遂に"街に行っちゃう計画"が実行された。
その日は朝から具合が悪いことにして部屋に引きこもる。夜眠れないのを理由にして寝ていれば治ると主張した。
マルタは色々やってくれようとしていたが、本当に大丈夫だからと断り、ひとりにしてもらった。
一応『大丈夫。ひとりにして。寝かせて。』としゃべる人形をフェルに用意してもらったが、部屋に入られたらすぐにばれてしまうだろう。
もしばれたらロイドにどんなひどい目に合わされるか…考えただけで恐ろしい……。
私がその事をフェルに訴えると…
「あははっ大丈夫だよ~あのねぇロイくんはホントはとっても良い子だよ~。あの子は健気でね~マルタちゃんのために一生懸命なのさ~。」
とか言ってきた。
は?"良い子"?"健気"?フェルはいったい何処のロイくんの話をしているのか?
ロイくんとロイドは別人のようです。
でも出来るだけのことはやった。あとは見つかるかは運だね。
さあ、出発!
「あ、これ着てくれる?」と何かフェルから手渡される。
ピンクのモフモフした生地の洋服のようだ。
この生地に見覚えがある、フェルの部屋に行った時フェルが急いで隠していたものだ。
「あとのお楽しみだよ~」と言っていた。
広げてみるとウサギっぽい着ぐるみだった。
「………。フェルさん?これは?」
なにこれ?王都で着ぐるみ流行ってる的な…?
「お揃いだよ~」フェルはいつの間にか着替えてちょっと犬っぽいのを着ていた。
えーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?その格好で行くのーーーーーー!!!!




