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129、私を好きになってくれる人はいないのは悲しい

 王宮に戻り急いで自室に行く。

私は出掛けていない設定だから、部屋にいないとだ。


 部屋で着ぐるみウサギを脱いでベッドに倒れた。


 もうなにもしたくなかった。

ワガママ言ってお祭りに連れて行ってもらったけれど、行くんじゃなかったと思う。


 しばらくぼーとしているとノックがしてアレスを担いだロイドがきた。その後ろにマルタもいた。


 今はアレスを見たくなかった。


私はベッドで倒れたままだ。


 ロイドがアレスを座らせている。

明るいところで見たロイドは顔にアザがある。

結構アザがひどい。

アレスを止めていた時についたのだろう。

綺麗な顔が台無しだ。


 きっと身体もアザだらけだ。


なんか迷惑かけちゃったな~。

申し訳ない気持ちが込み上げてきた。


マルタが私の方にやってきた。


「リリア様、大丈夫ですか?」


え? 私が大丈夫かって? 私はどこにもアザは無いよ。

マルタはアザだらけのロイドを心配してあげて……


「失礼します」

マルタが私のベッドに腰掛け私に手を伸ばす。


 そして私を引き寄せ抱き締めた。

マルタの豊満な胸に沈む。


 うわー凄い弾力!

これは世の男子達の夢のような弾力ですよ!!


 でも顔沈むし、息の根を止められそうだ。

私はスライムのぷるるんの事を思い出した。

ぷるるんみたいだ……

あれ以来ぷるるんにも会っていないな。


ん? 待てよ。これ前にロイドの前でやってロイドがキレかかっていたやつだよ。


 チラッ


 ソファーに座るロイド。目をつぶってる。寝てる!?

さすがに疲れたか!

 そりゃあれだけ超人的な事やってますからね。

女の子二人を抱えて屋根に飛び乗り走り回る。

最終的にはアレスも抱えて帰って来てくれた。


お疲れ様ですね。お父さん。



「ま、マルタ……どうしたの?」

マルタの胸に埋まりながらやっと声を出す。


「リリア様、それは私が聞きたいです。どうしたんですか? 何かあったのであればこのマルタに話してください」


え? 何かあったって……私、心配されてましたか……


ああ……私ってば自分のことばかりじゃないの。ダメダメだよ。


 アレスとロイドが戦っていた時もアレスの心配ばかりして、自己中でした。マルタはロイドの心配をずっとしていたんだ。


 実際ロイドは結構ケガをしているけれど、アレスは無傷っぽい。時間が止まっているアレスの身体はアザなんて出来たりしない。心配の必要もなかった。


 街の人、勇者狩りで捕まっていた人たち、陽気な酔っぱらいのおじさん達、あの白い鎧の人とか皆無事なのか?


 サナおばさんのところは少し離れた所にあるとはいえ、ゴーレム暴れたりしたら危ない。皆、皆、無事なのか、


 私が気にするとこはアレスではなくてそっちだったのでは……?


 マルタにとって、とても大事なロイドが痛々しい感じなのに私の様子が変だと心配して来てくれたんだ。

 優しいマルタ。気遣いのできる人だ。

 私と全然違うよ。

 マルタを両思いで羨ましいとか思っていたけど、こういう娘だからだよ。

こういう娘だからロイドもマルタが好きなんだ。


 ああ、ロー○ンのマカロンが食べたい。あま○う味が良い。

何で異世界にコンビニないかな……


 前世でスイーツのやけ食いをしようとしていた私。

こんな風に慰めてくれる友達はいなかったのかな……

とすると夢に出てくる黒長子は仲良さそうなのに相談とか出来る友達ではなかったのか?


まあ、きっと本音を言える友達はいなかったんだろう。


 前世の私の全ては和くんだったから……


 和くんもダメ、アレスもダメ。


 前世でも、この世界に私を好きになってくれる人はいないと思うと泣けてくる。












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