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11、怪しい穴

 部屋の真ん中に黒い穴のようなものが浮いている。直径50センチ位の穴。

屍戦士の登場でかなりホラー度数が上がってしまったのと関係あるのか?

穴からお化けが出てきたら嫌だなあ…


「よいしょっ」と言う声と共に赤い髪の男が顔を出す。

「あぁ~ちょっと上すぎたか。少し下げよう。あともっと端か」

赤い髪の男が顔を引っ込めると黒い穴が下にさがり、部屋のすみに寄っていく。

ベッドの奥の端まで移動して止まった。

「?」私寝ぼけてるのかな?今のはお化けではなさそうだったが、ちょっと現実離れした光景だった。

目をこすってみるが穴はある。

そしてその穴から屈んで赤い髪の男が出てきた。

このひょろっとした姿は、フェルだ!


 久しぶりに見たフェルは前より顔色は良さそうで、痩せてはいるが健康そうに見えた。


「こんばんは~リリア。レディの部屋にこんな夜中にゴメンね~」

この"何か残念な感じ"は間違いなくフェルだった。


「ゴメンねフェル!私遊びに行くって約束したのに全然行けなくて…」

思わず言い訳から入ってしまった。でも彼が元気そうで本当に良かった。


「うん、いいよ~。だってロイくんに邪魔されてたでしょ~?ボクねぇリリアが来てからずーと覗いてたよ~だからね~リリア専用の通路を作ってあげる事にしたの~。」


「覗いてた?…ロ、ロイくん?…私専用の通路??」

気になる言葉が多すぎるよ


「この穴ね~ボクの部屋に繋がってるよぉ。これでいつでも会えるね~」

嬉しそうにフェルが話す。


でも私は慌てていた。こんな穴ばれたら超ヤバいと思う。

「こんなことして怒られない?」


「う~ん、たぶんバレないよ~。ボクと君にしか反応しないし~」


「え?そんな都合のいいことが?どうやって?」


するとフェルは得意そうに

「この前リリアがうちに来たとき髪の毛落として行ったの~それを使ったんだよぉ。ちょっと時間かかっちゃったけどねぇ~もともとこの王宮の防犯結界を作ったのボクだからロイくんは気づけないと思うよ~。防犯結界はねぇ外から転位魔法で侵入されないようになのぉロイくんいろいろいじったみたいだけどやっぱボク天才だし~転位できないから結界の穴を探して侵入通路つなげちゃったよぉ」


何を言ってるかよくわからないけれど、おそらく私に反応する穴の通路ってことよね?

髪の毛認証?それとも生体認証ってこと?

それからさっきから出てくるロイくんてロイドの事だよね?

それに王宮の防犯結界って…フェルってやっぱり勇者のパーティだけの事はある。凄い人なんだ!


 ゴメンね残念な感じとか思っちゃて。


「ボクね~アレスの帰りをずーっと待ってるんだよ。でもあまりに帰りが遅くて~ちょっといろいろイヤになってたんだよ~。そしたらリリアが来てくれてボクと会えない間もボクの事忘れないでいてくれて~ボクに会おうとしてくれてたでしょ~?ちゃんと見てたよ~嬉しかったんだ~。だからもう一度頑張っちゃおうと思ってぇ本当に~リリアのおかげだよ~」


ちゃんと見てたよ~って?どこで?かなり怖いよ。ストーカー的な怖さ。

そしてまた出た。"アレス" 誰だよ。


「さあ、リリア~この穴を通ってみて~ボクの家に招待するよぉ」


ご、ゴクリっ…

この怪しい穴ホントに大丈夫なの?

「………………。」

警戒して固まっていると…


「気に入ってもらえなかった…………」

ポロッ…

フェルの瞳から大粒の涙が!


このパターンは!?

私は急いでフォローする。

「あぁ違うの嬉しくて胸いっぱいだっただけなの。フェルの家にお呼ばれ嬉しいなぁ」


泣き顔だったフェルの顔がパアッと明るくなり…


「気に入ってもらえて良かった~さあ、行こうね~」


子供のようにはしゃぐフェルを見たらもう断れない。

私は意を決して黒い穴に飛び込んだ!







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