112、人のラブシーンについていけんよ
これは怒られそうだ……と覚悟をした。
「姫様、マルタを運んでいただきありがとうございます」
意外な事をロイドが言った。
あれ? 怒られない?
そのままマルタをお姫様抱っこする。
「落ち着いたようですが部屋でマルタを休ませて来ます」
このまま仲直りできるだろうか……?
浮気疑惑が消えない限りマルタは不安だろうし……
「ロイド、マルタは昨日ロイドが浮気したと思ってるよ」
お節介だが、誤解を早く解かないとだ。
ロイドにはアレスを視てもらう事になるし、特訓? もするなら、その度に誤解をしているとややこしくなる。
ありもしない誤解でマルタが苦しむのは良くない。
「浮気?」
ロイドが意外そうな顔をした。
見たことない顔だ。面白い。ぷぷっ
マルタはお姫様抱っこをされたままロイドと視線を合わせないように下を見ている。
「昨日、疲れてマルタに"なにもしないで"寝ちゃったの……?」
「マルタ……姫様にそんなことを……?」
ロイドの表情が崩れた。う……面白すぎる。
これはやめられない!!
「昨日2時間も帰って来なかったのは浮気してたせいなのかなって?」
更に次の"口撃"に移ろうと思ったその時、何か悪寒のようなものを感じた。
ロイドの顔が冷たい表情に一変した。
「なるほど、それで今朝からマルタが私と口をきいてくれなかった訳ですか。
おかしいですね。私の身の潔白は姫様が良く知っていた筈ですが……」
うわっヤバい、そりゃそうだけど!
ロイドが言わないものを私が言えないでしょ?
私の部屋に夜中2時間も居ましたって言うのも絶体変だし。
え? 私のせいになっちゃうの? それは私がかわいそうでは?
私はもう冷や汗だらだらだ。
「昨日、姫様の屍戦士の調子が悪かったので診ていたんですよね? 姫様のワガママで! どうしてマルタに言われた時に私を庇わないんですか? 姫様は酷いですよ!」
おお、そう言う言い方すればいいのか~。
いや私ってロイドさんみたいに、そんなに上手く嘘つけないんで……ああ、でも全く嘘でもないか……。
「ロイ……浮気してない……?」
マルタが小さく言った。
ロイドのジャケットの襟を小さく掴んでる仕草がかわいらしい。
「してないよ。君だけを愛してるから」
ゴフッ
すごい! さらっと言った。しかも"愛してる"だよ!?
スゲーな! 見てる方がテレるよ!
西洋っぽい異世界だからか? 私の感覚と違う!
私の感覚が日本過ぎるのか!?
でも私もアレスにだったら言われたいです。
アレスにしがみついた。
アレスの声ってどんなかな?
聞きたい~。
その後仲直りした二人はお姫様抱っこのままラブラブで階段を降りて行った。
うん、まあ平和になって良かったね。
マルタも嬉しそうだったし、良かった良かった。
結局、三階と四階は冒険出来なかったけれど
三階の廊下は怖そうだった。
四階は怖そう以上にヤバい空気が溢れてる。
マルタの反応を見ても良いことは無さそう。ビビりの私は無理に行きませんよ。
きっと普通の人は行っては行けない場所だ。
お化けが出そうだから、アレスが壊したところ、塞いどいてほしい。




