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102、マルタの過去

 ロイドが行ってしまった後、


そのまま私の部屋に残ったマルタは小さく泣いていた。

サクラコはどうしていいのかわからないようで、マルタの横に立っていた。


私は腹の虫が治まらなかった。


 とりあえず、ヴァリアルにアレスの事はバレていないのだろう。

それは良しとするが、ロイドのマルタに対する態度が許せなかった。


男女間の事は人それぞれだから、他人がどうこう言うのはダメかもしれない。

お節介かもしれない、


でもマルタが悲しむのは嫌だよーーーーーーー!


地団駄を踏む。


「姫様は先程から何を暴れてますか?」

サクラコが聞いてきた。


「何って……だってロイドがマルタに冷たいから……」


「そうですか? 結婚していない女子が身籠るのはよくありません。当然の注意です」


注意? 注意だったっけ?


 そう言えばサクラコは二人の事どれだけ知ってるのかな?

双子って知ってる?

バカップルって知ってる?


「リリア様……怒らないで……仕方ないんです。私が軽率でした」


軽率? そうだった?


「私が18になってすぐに、陛下が私を寵妃にと言う話がありました」

マルタが弱々しく話始めた。


「ちょうき?」


「愛妾、愛人のことです」


はあ!? あのおっさん変態か! いくつ違うんだよ! 私のお母さんも愛人だったか?!!

とんでもね~王様ってとんでもね~!

王様だから愛人がいっぱいいてもいいのか!? 許せん!!

しかもこのかわいいマルタを!?


「前からそう言う話はあったそうで、ロイドが断ってくれていたようです。寵妃になれば必ず不幸になるとロイドは怒っていました。でも遂に断りきれなくなって……どうしようもなくなったロイドは陛下に提案したのです」


「提案?」


「ルカレリア王族の血族のスキルである魔眼の発現はロイドだけでした。でも発現しなくても私の血にもその流れはあるはずなので、その……」

言いづらそうだ。


「マルタさんもロイド様もルカレリアの出身でしたか。お二人ともお美しいですね。ルカレリア人の特徴でしょうか」

サクラコが口を挟む。


「そうなんです。私達はルカレリアの生き残りで……ですからその……私達が子供を儲ければその血はより濃くなり魔眼の力の強い子供が出来るだろうと……自分達の子供を陛下に差し出すと……そう提案したそうです」


ん? それはつまり?


「それはマルタさんの寵妃を断りロイド様がマルタさんを(めと)る。と言うことですね?」

サクラコがまた口を挟む。コイバナを聞くようなキラキラ感が目に宿っていた。

マルタが頷く。


 私はよくわからずちょっと固まっていた。

マルタの話は続く。


「その提案が通らなければ二人で逃げようと言ってくれたんです。私は……私は嬉しかった。ロイドが私を選んでくれた瞬間です。仲の良かったロゼッタ様よりも私を……。私はそれだけで幸せです。その提案がどんな恐ろしい事なのかわかってなかったのかもしれません。でも本当に幸せだと思った。だからロイドを巻き込んではいけないと……」


マルタの瞳から大粒の涙がこぼれた。


「結局ロイドの提案は通らず、逃げるにしても、逃げ切れる筈がないのです。ロイドが酷い目に合うのは嫌だった。だから私は寵妃のお話を受けたのです」


すごいショックだ。マルタにそんなことがあったなんて……私の頭はまだこの話を処理しきれない。


「そして寵妃となる日に命を絶つつもりでした」


更にショックな事を聞いてしまった!

サクラコも私もあまりの事に固まってしまった。

酷い、酷すぎる……。


「ところが……王妃様がお怒りになり……私は王妃様に……恨まれてしまいました」


悪いのは陛下、ヴァリアルでしょう。


「それで私は……王妃様の手により、ある病気になりました。治療法の無い病気です。

この病気になったお陰で陛下の私への興味が無くなりました。寵妃の話もなくなったのです。

それだけは王妃様に感謝したいところですが、その病気にずっと苦しめられて……それは今も続いています。そしてずっとロイドも一緒に病気と戦ってくれています。

ロイドはずっと私に優しいけれどきっと色々な後悔があるはず。

陛下にした提案は自分の子供を犠牲にすると言う考えです。

その提案は通らなかったけれど、もし本当に子供が産まれたら子供は陛下に取りあげられる可能性があります。

だからもう一生子供は儲けないと言われてました。なのにさっき私は彼の気持ちも考えずに赤ちゃんが欲しいと軽率な事を……」


あれぇ?


今、頭パニックだけど……


ロイドそんなに悪くないかもしれない?


サクラコも目を閉じて何か考えている。


マルタとロイドにそんな過去があったとは……

あまりの事にマルタになんと言えばいいのか?

私の脳内はクラクラしている。


酷い、酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い!!


ヴァリアル!お前の話聞くたびに酷い奴だと実感する!


もうすごい嫌悪感だ!


魔王は倒さなければならない!


ね、アレス!!









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