101、その反応は何!?
とりあえずマルタは大丈夫だろう。
今は、勇者復活の話の方がマズイ……。アレスとロイドが戦うどころじゃないよ。
フェルに知らせに行かないと。
ロイドが裏切るかもしれない。
ロイドに裏切られたら、アレスが囚われてしまう。
フェルも酷い目に合うかもしれない!
マルタは大丈夫そうなので、サクラコに任せておこう。
私はアレスを連れてフェルの所に行こう。
本当は抜け道を使いたかったが、マルタ達を追い出す事も出来ないので走って行くことにした。
「マルタはここで休んでて! サクラコお願いね、アレスはついてきて」
私とアレスは扉を開け、階段に……行こうと思った。
ロイドがいた。
「急いでどうされましたか、姫様?」
いつものロイドだ。ケガはしていない。
どうなんだろう? アレスの事を喋った?
それともまだ?
私はロイドの表情を読もうと見たが……
分からない……。
いつもの冷たい表情が何を現すのかさっぱりだ。
私の部屋からマルタが飛び出して来た。
「お帰りなさい、酷いことされてない? 大丈夫?」
マルタはロイドのあちこちを心配そうに確認していく。
「何を心配していたんだ? 今日はただの会議だよ」
マルタの手を取り優しそうに答える。さっきと別人。
「だって今朝、部屋を出る時いつもと違う気がしたの! 本宮は恐ろしい所だもん、あまり行ってほしくない!」
ロイドに抱きつく。ラブラブな新婚さんみたいだね。
「お仕事だからね。心配かけてごめん。大丈夫、何も問題ない」
『何も問題ない』の部分で私の方を見た。
ごくり!
それホント?
演技じゃない?
騙して捕まえるとかじゃないよね……?
いまいち信じられずにロイドを見つめた。
「ゆ、勇者復活の噂があるの?」
勇者の話を出して質問した。
「そうらしいですね。どこからか出たヨタ話でしょう。私も末席で会議に出ましたが、信憑性のない話と判断されました」
薄ら笑いでロイドが答える。
え? それはバレてないと思っていいのでしょうか!?
帰りの馬車の中で王都に帰ったらこの話をするな、と念を押されている。
どこかで聞かれたり洩れたりしないためだろう。
その話が出来るのはフェルの地下室の中だけ。そこは安全らしい。
だから今ロイドは、はっきりとした事は言わない。
「姫様は"カズクン"と何処へ行こうとしてたんですか?」
ニヤリとしながらロイドが聞いてきた。
あ、こいつ私が焦っていたのわかって言ってるな。
相変わらず意地の悪い!
「別に何もないですよ。少し運動でもと思って走ろうかと……うふふ」
ちょっと悔しいが悔しさが表情にでないように、にっこりした。
「では、特に変わった事はないようですね」
ロイドもにっこりした。
その笑みは純粋なにっこりではない。
「はい、報告です!」
それまで黙っていたサクラコが手を挙げて言った。
「マルタさんに妊娠の疑いです!」
!!
勘違い! そのまま言わないでーーーー!!!!
ヤバい、私が最初に言ったのバレたら殺されるよ。
でもちょっと反応を見てみたい!
私の焦った顔を見て薄ら笑いをしていたロイドが今どんな顔してるのか拝ませてもらうぜ! フッフッフッ(今の私はかなりの極悪)
ーーーーー無ーーーーーーーー。
無?
そしていつもの冷たい表情。
え? それ女子、傷つくよ!
やったねハニー、おめでとう! とかあるじゃん!
嘘でも喜べよ!
「マルタ、違うね?」
マルタに対し冷たく言った。
えーーーーーーーーーーーーーーー!?
マルタの事が1番大事な人の態度ではないよ、それ!
ちょっとあんたには失望だよ!
もう少しだけましな奴かと思ったよ!
「ロイ……今回は違うと思うけど……赤ちゃんて欲しいよね」
マルタが頬を染めて言った。
かわいい嫁だ。
天使かもしれない……
「前にも言ったけど、子供は駄目だ」
そう言ってマルタの掴んでいる手をほどいた。
えーーーーーーーーーーーーーーー!?
その行動はロイドが絶対しないと思われた行動だ。
マルタが下を向いた。
なんだ。この空気は?
マルタを悲しませる奴はアレスに斬られてしまえ!
私に代わってアレスがお前を倒す!!




