美形は小さい頃から美形
友達って大事ですよね。
公園デビュー。それは初めて子育てをするママたちが交遊関係を育むためのコミュニケーションの一つである。
尚、これに失敗すると自分の子供の友達にも関わってくることがあるため絶対に失敗出来ないかなり重要なイベントである。
そして、それは我が家も例外ではなく。
オレの此方の世界での母親の公園デビューの結果は、
「あら、加賀見さん!こんにちは!!」
「もー、聞いてよ家の主人が--」
やんややんや。十数人のお母様がたが集まっておばちゃん特有の会話を繰り広げていた。
かなりのコミュ力の高さである。
凄く羨ましい。まぁ、でもこれのお陰で今の友人に会えたんだけど。
「・・あ、えっと・・」
「遊ぼっ!!リョーくん!!」
須藤 瀬利と夜行 希沙。どちらもゲーム関係者でゲームの中では主人公の幼馴染みで攻略対象キャラとサポートキャラである二人だ。
しっかしなぁ・・、まさか須藤瀬利と夜光希沙の幼少期がこんなに可愛いとは思わなかったわ。
夜光希沙はどこにでもいそうな感じの女子高生としてゲームでは扱われていたが、全然そんなことはない。まだ、幼少期しか見てないから何とも言えないが、成長すればますます綺麗になるだろう。
なにより、須藤瀬利。ゲームでは王子様みたいな扱いをされていたが、この頃からその片鱗はあったらしい。
金髪がかった茶髪は凄くフワフワしてて、たれ目ぎみの瞳も同じ男とは思えないくらいに大きい。人見知りからか、会ってからもう三年も経っているのにオレの顔色を伺いながらオドオドとなんとか話そうと頑張っているその姿は小動物・・てか健気すぎて思わずキュンと・・・ってならないからなっ!?オレのキュンポイントはいつだって前世の妹と華限定ですぅ!!
・・・多分。
「ねぇねぇっリョーくん、せっちゃん!
今日はね!希沙おままごとやりたいの。
希沙がお母さん役でせっちゃんがお父さん役で、リョーくんが赤ちゃん役ねっ!」
オレの目の前で天真爛漫を全身で体現してるかのようなこの女の子は幼少児バージョンの夜行希沙。
茶髪の小さめのツインテールに活発な性格が表れているのかくりくりっとした瞳でまさに女の子といった姿だ。
瀬利とは違い明るく人懐っこい性格をしているため、このメンバーのなかで一番よく喋り、場を賑わせてくれる。
「いやー、オレがお父さん役じゃない?
ほら、一番男らしいし。」
そして、大人げないオレ。
「えー、リョーくんカッコよくないからやだー」
率直な意見ですねっそれはっ!
素直なのはいいことだけれどこの子には歯に衣着せる言い方を教える必要があるな。
すると、ずっと黙っていた瀬利が話に入ってきた。
「・・ぁ、ぁのっ・・ぼ、ぼく赤ちゃん役でいいよ・・?」
・・うわぁぁ・・・
ふざけて言っただけなのにこんなに良心たっぷりで返されるとちょっと・・。
まぁ、このノリはもうちょい成長して心に邪がないと分からないかもなぁ・・。
しかし、オレの心は隅田川の如く綺麗に澄んでいるけどな!!
心の中でドヤ顔しているオレを現実に戻してくれたのは義弟だった。
くいくいっ
「・・にぃ、にぃ」
「ん?どうした夕崎。」
「・・誰?」
そう言って指さしたのは幼馴染みズ。
俺が彼らを紹介している間、夕崎はずっとオレが着ているパーカーの裾を握っていた。その間何故か、瀬利がずっと此方を、というか夕崎の方を見ていたが何だったんだろうか?
そんなこんなで、オレはこの幼馴染み達と幼少時代を過ごしたのであった。
ジジッ
《---須藤瀬利ルート作動、尚プログラムにウイルスが侵入した模様、--》
次回は番外編です!