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この世界がBLゲームだと知った日

齢5にして世界を知りました。


 あれから五年の月日が経ち、オレは5才になった。来年には小学生になる。その間、オレはこの世界について色々なことを知ることができた。

 まず、この世界は前世と殆ど変わらないこと。

まぁ、だからこそどうすることも出来ないのだ。

 (ふむ、困ったな・・・。なにか漫画やアニメみたいに分かりやすく異世界転生とか、ギャルゲーのなかに

入り込んで俺TUEEEEEEでモテモテだったりしたらまだヤル気があがんのになぁ・・・はぁ。)


 そんなある日のこと。

母と父が自分より年齢が少し下あたりであろう少年を引き連れて家にやって来た。

「涼くん、この子は今日から君の弟になる子だから、よろしく頼むねお兄ちゃん!」

 真ん中を分け目にしたストレートの白髪に、アーモンド型のアメジストの瞳は光をなくしてぼんやりとオレのことを見つめている。

 しかし、そんなことはもはやオレの目には入っていなかった。

 いや、それよりもコイツは---

 「夕崎くんって言うのよっ!夕崎くん。

 この子は涼って言って君のお兄ちゃんになる人よ。

 ほら!二人とも、挨拶挨拶っ!!

仲良くなるためには初めが肝心なんだから!」

 母親はニコニコとそう言うが、オレは今の母親の台詞の中の爆弾発言に思考が一瞬フリーズした。

 夕崎。加賀見 夕崎と加賀見 涼。

あっれれー?おっかしいぞぉーー??

なんか、どこかで聞いたことがある名前ダナァーー。

 あぁ、そうだ。あのどこで間違えたか腐ってしまった前世のオレの可愛い妹が一生懸命に教えてくれたホモォなゲームの攻略対象キャラと主人公の名前だね。

 あっは☆偶然偶然ー!涼、超ビックリー☆☆


 ・・・さて、現実逃避はこれくらいにしようか・・。

 (・・くっそ!あのとき可愛い可愛いオレの妹は何て言ってた?!たしか---



 ~回想~


 「兄貴っ兄貴っ!大変だっ!!」

 「ん?どうした妹よ。

 何か困ったことがあるのか?もしかして人間関係とか。正直に言ってみなさい。今すぐにその屑をお兄ちゃんが綺麗なお星さまに還らせてくるから。」

 「ううん、そうじゃないよ。

 というか、それ犯罪だからな?兄貴。」

 お兄ちゃんとしては今の君の姿の方が犯罪だと思うな。

 白魚のように綺麗な、ファッションモデル顔負けのスラリと伸びた足を机の上に乗せ、膝にパソコンを置き此方を振り向くさまは行儀が悪いの一言に尽きる。いくら、可愛い妹であってもそこはきちんと足を下ろすように兄であるオレがちゃんと注意すべきだ。

 そして、なによりいくら自宅だとはいえ下に何も履かないのはアウトだと思うわけですよ。いや、いくらね?オレが血の繋がった実の兄弟で実害がないとはいえ、流石にブカブカの学校指定のジャージの下から生足が覗いているのは小学四年生だろうとアウトです。むしろ小学生だからこそアウトです。

しかも机に足を置いてるせいでジャージの下からチラチラと白いショーツが覗いている様子。他人に見られたらオレの印象は一瞬でロリコン変態野郎確定だ。危ない。

 ・・・でもなぁ、着ているジャージは実はオレのやつなので彼シャツならぬ彼ジャージになっててなかなか良い光け・・ゲフンゲフン、いやいやいくらスーパーベリーキュートな格好で普段からいたら、いつかこんな無防備な姿をどこぞの狼の皮をかぶった変態どもに見られてしまうのではないだろうか。・・・なにそれ、まじソイツぶっ殺。

 まぁ、とりあえずはちゃんと注意することがさきだろう。

 「彼ジャージくそ可愛」

 (ちゃんと足を机から下ろさないとだめだろ?)

 「・・・兄貴、多分それ本音と建前が別だと思う・・」

 おおぅ、妹から軽蔑と呆れが入った目でドン引きされた・・。

 ・・何故だろう。なにか新しい扉が今、開いて----

 「いい加減にしろぉーーー!!」

  ポカッ

 あ、開いた。妹はツッコミのつもりで殴ったのだろうが、所詮は小学四年生の腕力。たかが知れている。そしてなにより妹はやや引きこもりぎり。ほかの小学生よりかなり劣った腕力の持ち主である。その結果が、ポカッ。

 もう可愛いすぎだろ。

 あぁ、今日も妹が可愛い過ぎて辛い。

 「あぁ~にぃ~きぃ~~?

 いい加減にしないと嫌いになっちゃうからな!」

 「すいませんでした。」

 秒速できちんと謝る。これ大事。きちんと謝れるのはオレの数少ない長所である。

 「まぁいっか、兄貴が変なのは何時ものことだし。

 でな、これなんだけど・・」

 「ん?どれどれ・・・。」

 すると妹はパソコンを開き、オレの方にわざわざ向けてくれた。

 そこには、二人の男が画面に映っていた。

 しかも何故か見つめあった状態で。

 妹はくりくりとした大きい目をキラキラと輝かせながら話してくれた。

 「あのなっ、あのなっ、やっと夕崎ルートをクリア出来たんだよっ!しかも、ヤンデレ無しで!!

 夕崎は幼少児にトラウマ持ってて、それを長い時間を掛けて癒してくれる主人公に段々ほだされていって心を開いていくんだけど他の攻略対象キャラが現れて主人公に猛烈なアピールをする事でようやく自分の気持ちに気づくんだよっ!

 だから大好きゲートは初めからマックスに近いんだけど、

 他のキャラ達と関わるとすぐにヤンデレに向かっちゃってバッドエンドになるからすごくファンの間でも難しいっていわれてるルートなんだけど、

 一週間寝ずに試行錯誤した結果漸く攻略することができたのっ

 えへへっ、凄いでしょ兄貴っっ」

 誉めて誉めてといわんばかりに上目遣いでキラキラと期待が入り交じった瞳で見られてお兄ちゃんの心はノックアウトされました。可愛い可愛いよオレの妹マジ天使。

 だがな、いくら可愛いくても内容が内容だけに素直に誉められない。

 いや、逆にどう反応すれば良いんだ?これ。

 やったな、面倒くさいホモォを漸く攻略出来たね?

 一週間お疲れさま。よく頑張ったね、偉い偉い?

 ・・・分からぬ。誰か答えが分かるのならば今すぐ教えてくれっ!?

 オレは妹に今何を求められている?

 しかし、頼みのぐー●るさんは今妹の手元にあるパソコンにしか入ってない!

 仕方がないので、撫でてあげることにした。

 撫でられてる間、猫みたいに目を細めているのがメチャクチャ可愛いかった。

 やっぱりオレの妹は天使ではなかろうか。


 ~回想終了~




 ---っは!いかんいかんあまりにも記憶の中の妹が天使過ぎてつい長くトリップしてしまった。 

 気が付けば、母親も心配そうに此方をうかがっている。ヤバイヤバイ。

 まぁ、とにかくだ。

この世界がゲームだと仮定して、オレが主人公で、目の前にいる新しい弟が攻略対象キャラだとするとオレのとる行動は一つだ。

 (絶対ホモォになんかさせないっ!!)

 兄弟同士のヤンデレとかマジ勘弁

まぁ、そんなわけでオレはこの日、

 「よろしくな、夕崎。」

 「・・・(コクンッ)」

 この世界がゲームだと知り、この世界に来て初めての攻略対象キャラとの邂逅を果たしたのだった。


 そして、オレはそのとき気付かなかった。

 どこかでゲームのプログラムが作動する音がしたことに。


 《---これより、王道学園・夕崎ルート・を作動します---》

 カチッ



読んでくださりありがとうございました。次回も新キャラ登場!

どうやら世界に異変が・・?!

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