エピローグが長すぎる件
ようやく書き上げたー。でも長いっす。
~~ 上原 華 視点 ~~
和くんとキスをした。最初で最後のキスだ。
私は今その余韻を浸りながらフワフワと浮いている。ここはさっきまでの無機質な真っ白い空間とは違い、どこか温かくて、優しい。
「 」
誰かが向こうで手招きをしていた。よくわからないけれど、頭がうまく働かないせいか何故だか私はソチラ側に行きたくなって、手を伸ばして───
《 そちらに行ってはダメよ。 》
優しい女性の声が聞こえた。 振り向くとそこには二人の男女。白衣を着た若い男と儚げで美しい女性が寄り添って立っていた。
「・・・?」
誰かに似ているけれど、思い出せない。
《 ・・貴方には私の家族が沢山迷惑をかけてしまったわね。・・・ごめんなさい。
お詫びというわけではないけれど、あの子達のこと、愛してくれた貴方に少しでも失った幸せを取り戻して欲しいから、》
これ、受け取って貰えないかしら。
女性がタンポポのようなフワフワした花を摘んで、優しくふーーと息を吹き掛けた。
キラキラした、綿毛のようなものが私の周りを包んで、静かに私の体に染み渡っていった。
すると、さっきよりも活力が沸いてきて徐々に頭が冴えてきたような気がした。
(・・あぁ、これ夢だったのか・・)
周りが段々ぼやけていって、彼らの姿も見えなくなってきた。
《 " "》
彼らが何かを言っていたけれど、もう何も聞こえない。
だけれど、その今にも泣きそうに笑っていた顔
が " 彼 " に少し似ていた。
(・・あぁ、もしかして " 彼ら " はあの人の────)
光が私を包み込んだ。
────ぇ、
──────っねぇっっ!
「華ねぇっ目を覚ましてっっ!!」
「・・・・・・?・・琴乃ちゃん?」
目が覚めたときに最初に見えたのは涙と鼻水で顔をぐっちゃぐちゃにした琴乃ちゃんだった。
「・・・あれ?・・ここは、」
「! 華ねぇっ!!」
起き上がると、周りには人がいっぱいいた。
「おい! 昏睡していた少女が目を覚ましたぞ!!」
「救護班! すぐに救急車に運べ!!」
「怖かっただろう、もう大丈夫だ。」
起きたばかりで、ぼんやりした頭の私を他所に周りはどんどん作業を進めていき、気がつけば担架で運ばれていた。
「華ぁぁっ生ぎでで本"当"に良がっだあああ!!」
「・・・お母さん、」
「お前が死んだらっ、お父さんたちは生きていけないんだよぉぉぉ」
「・・お父さんまで、」
両親が泣きながら私の担架にしがみついた。いつもはあまり表情が変わらなくて喧嘩しても大声を出すことがない両親が、今は子供みたいにワンワン泣きながら私を抱き締めていた。
それが私にあの世界から生きて帰ってこれたことを実感させて、
「お父さんっ、お母さんっっ ・・・
ぅぅぅごめんなさいぃぃ・・会いたかったよぉぉ うわぁぁぁぁぁぁぁんんんん」
私は人目を憚らずにワンワン泣いた。
その後、病院に運ばれて検査を受けたものの驚いたことに軽いかすり傷くらいしかなくあとは体に異常が見られなかったため数日入院しただけで済んだ。
大人たちは不思議がっていたが、私は思い当たる節がひとつあった。
(きっとあの人達が助けてくれたんだ・・)
確証はないけれど、そう確信した。
ちなみに琴乃ちゃんは、あの後かなり怒られていた。だけれど、琴乃ちゃんの精神面が正常の状態でなかった面や、実際には操られていた被害者であったため、法的に処されることはなく軽い罰と、メンタルヘルスケアを受けるために精神科に週に何度か病院に通うことになった。
琴乃ちゃんは何度も私に謝っていた。
「ごめんなさいごめんなさい、わたし全部パソコンの画面から見てて全部知った!
わたしが、わたしが馬鹿だからっ、華ねぇをっ───むぐっ」
私は無理やり華ちゃんのお口をふさいだ。その先は、違うって分かってるから。
「違うよ、琴乃ちゃん。私はあのとき望んであの世界に行ったの。
そりゃあ、最初に気絶させられたときはビックリしたけどね、琴乃ちゃんって大人っぽいけどやっぱり小学生だねぇ。私からしてみれば演技バレバレだったよ?
まぁ和くんも嘘つくの壊滅的に下手くそだから仕方ないけど、ね。」
あんな目にあったのに私の心が穏やかなのは、和くんの影響が大きいんだろう。
今の私には、誰かを恨むことはできそうになかった。
「怒ってないっていったら、嘘になる。けどね、償ってほしいってわけでもないんだ。
私はただ和くんが生きられなかったこれから先を一緒に生きてほしい。辛くても悲しくても、一緒に乗り越えていこうね。」
琴乃ちゃんは笑いながら大声で泣く、という器用なことをしていて私はちょっと笑ってしまった。
そして、全ての元凶であったあの男、日暮 彰人は───
(・・・結局、あの人の一人勝ちか。)
試合に負けて勝負に勝った、というところだろうか。
あの人は元々あの世界に行く前にも体が弱かったのか薬で延命をしていたようだったから、あの人自身の意志じゃなくても、戻ってきてもそのまま死んでしまっていたのだそうだ。
だから、あの人はあの世界に和くんと一緒に残ったままだ。
だけれど、あの人が遺していった遺書を見るとむこうでもそんなに長く生きられないらしい。
(・・まぁ、和くんの心は私のモノって分かったからいいんだけどさ、・・・なんだかなぁ。)
悔しいような、嫉妬するような。
和くんは日暮 彰人に現在の両親に託された直後に全て事情を話していたそうで、私は和くんの両親からあの人についても色々聞くことが出来た。
彼らも何故あのとき引き留めなかったのを後悔しているそうだ。
それぐらいショックな出来事にあっていた。
私はあの人を一生許すつもりはないけれど、せめて少ない余命を楽しんでもらわないと " 騙されてやった " 甲斐がないという感じだ。
「ま、でも向こうにはあの人のライバルがいっぱいいるから早々簡単には近づけないでしょ」
せいぜい、攻略対象たちに苦しめられればいいよ、
「私みたいにね♪ 同じ苦しみを味わっちゃえ!」
今の私は、どんな顔をしているだろうか。
後半へ続く!




