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プロローグ


 フラスコの中の小人、ホムンクルス。

 偶然だが、まさか生き物を作ってしまうとは思わなかった。

 倫理団体から抗議文とか届いたらどうしよう。


 ……何も言わないけど、意識とかある。聞こえてる?


 ……返事なし、創造物が親に逆らうとは身の程知らずな。

 なんて冗談だけど、育児放棄してグレて反逆されて真理に到達されても困るから適当に俺のことでも話そうか。


 俺は魔法が使える。

 手から火を出せたり、ジュースをシャキシャキに凍らせたり、部屋の温度を快適にできたり。

 機械でおーけーと侮るなよ、本気だしたら地形を変えるくらい余裕余裕。

 でも俺の知らない魔術結社とか暗部みたいな組織が出てきて賠償請求されたら怖いからやらない。


 魔法は気付いたら使えていた。

 別段親がファンタジーな職業の人でもなければ、小さい頃に山の神様に力をもらったみたいなイベントもない。

 なりきりごっこで「メラ」と某有名RPGの魔法を家で唱えてみたのだ。

 

 家がメラゾーマした。


 ローンの残った家が全焼。

 瞬間移動的な魔法で俺は無事だったが、いつも優しく笑顔な父が虚無感に満ちた顔でマイホーム(故)を見上げ、壊れたようにケタケタと泣きながら笑い始めたあの時の様子が幼心に恐怖感を与えた。

 そんなこともあって今でもあまり魔法を積極的に使おうと思えない。

 大いなる力には大いなる責任があるらしいので責任を持って封印している。

 でも使うときは使う。人間だもの。


 まあ要約すると俺は現代に一人だけの魔法使いで高校生。


 ……魔法使い、女なら魔女って短く分かりやすく言えるけど男の場合は何て言えばスタイリッシュなんだろう? 

 そっちはどう、何かいい案ある?


 もっと面白い話ししろって?

 帰宅部でゲーオタでアニオタで漫画オタに何を期待してるんだ。でも引き篭もりって魔法使いっぽくない?


 でもそうだな。高校生活ももうすぐ二年目。

 このままだと大学でぼっち、社会に出ては窓際、死因は孤独死。腐敗臭でやっと死んでることに気付いてもらうけど、葬式では泣いてくれるような友人がいないなんてことに……。


 ああ、なんか鼻の奥がツーンてしてきた。


 うん。今からでも間に合うって? ありがとう。ちょっと頑張って聞ける話ができるくらいに生きてみるよ。

 

 


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