因果応報の果てに
この世で、極悪の限りを尽くした「ショーリキ」は、果たして、お釈迦様に選ばれたのだろうか?どう思います?
ここは、極楽。
蓮の花が咲き誇る池のほとりに、お釈迦様が立っている。
お釈迦様が、蓮の花をのぞき込むと、そこから、地獄が見えた。
地獄では、多数の亡者が、あがき苦しんでいた。
ショーリキは、娑婆では、極悪の限りを尽くした。
よって、地獄でも、他の亡者とともに、苦しんでいた。
ショーリキの守護神は、ゴーリキと言った。
ゴーリキは、ショーリキが、生まれた時から、ショーリキを、良い方向に導こうと、
苦心していた。
ある日、ショーリキは、あまりの苦しさに、全てをあきらめた。
全てを、その場の流れに身を任せた。
ゴーリキは、力の抜けたショーリキを見て、「チャンスだ」と思った。
ゴーリキは、ショーリキの目の前に、地獄の番人から、苦役を課せられている気の毒な老人として、
姿をあらわした。
自分の欲望をあきらめたショーリキの瞳に、老人は、哀れに映った。
ショーリキは、「ふと」老人の苦役の、身代わりになろうと思いついた。
ショーリキは、地獄の番人に、老人の苦役を、身代わりすることを、申し出た。
その時の、老人の何とも言えないうれしそうな顔を、ショーリキは、心に焼き付けた。
ショーリキは、苦しみながら、苦役に耐えた。
お釈迦様は、それを見て、ショーリキのいる場所へ、地獄から極楽に通じる扉を、おあらわしになった。
ショーリキは、何となく、それが、極楽に通じる扉だと、察して、開けようとした。
すると、後ろから亡者たちが、割込みしてきて、ショーリキより先に、扉を開けた。
ショーリキは、一瞬、腹を立てたが、「ふと」亡者たちを赦そうと、思った。
亡者たちは、どんどん、極楽への扉の中に飛び込んでゆく。
ショーリキは、亡者たちが、一通り極楽へ移ったころに、後から、扉の中に入った。
ショーリキは、忽然と、地獄から、極楽に移動したのだった。
お釈迦様は、ショーリキの良心の現れとして、亡者たちが、極楽に住むことを、お赦しになった。
勿論、ショーリキが、極楽に住むことも。
ショーリキは、思った。
「地獄の奥には、聖地がある」と。