4話目
お久しぶりですー。私情であまり書けなかったので、急いで書きました。楽しんでくだされば幸いです。
朝日が空を照らし始め、明るくなり始めた青空に呼応するかの様に小鳥達がさえずり空へと飛び立った。
太陽の斜光が街を覆う外壁を通り越し、宿屋の部屋に一直線に入り込む。
「…んぅ…」
朝日が瞼を打って、俺はうなり声とともに目を覚ました。薄く瞼を開けて、結構な眩しさに朝日に手を差し伸べて影を作る。それからしばらくぼおっと天井を眺めて、毛布の温もりと眠りの余韻を噛み締める様に味わう。
「んー…」
ぼやけた頭に鞭打って、俺はゆっくりとした動作で上半身を起こし上げた。
「朝…かぁ…ふぁぁ…」
大きく口を開けて伸びをする。背骨からぼきぼきと大分穏やかじゃない音が聞こえたが、とりあえずスルー。
窓から空を見上げ、暫くして身体を腕で支えて窓から顔だけ覗かせる。
建物の全てがレンガで出来た、中世ヨーロッパの街並みが視界一杯に広がる。昨日の様に雨模様ではなく、雲も散り散りの晴天に近い青空に、周りを白く染める朝日が目にしみた。
そんなファンタジーな風景を目の前にして、俺は端的にこう言った。
「どこだここ」
寝ぼけ眼をごしごし擦って、俺はそんな折角の絶景から視線を外した。先ほどの言葉はただ何と無しに口に出ただけで、すぐに忘れる。
「…そうだ、シャワー…シャワー浴びたい」
そんな事を言いながらベッドから四つん這いで這い出ようとして、俺は二の腕に感じるとある違和感に首を傾げた。
むにん、むにん。と、何やら柔らかくてとても暖かいものが腕に当たるのだ。
「んー…?…んっ?」
俺は俺の身体を見下ろして、そしてすぐに寝ぼけた目を大きく見開いた。
胸が。とても大きな胸が、もの凄い自己主張をしていた。覚醒しきっていない脳をがつんっとぶん殴られたような気がして、すぐに目が冴える。
「お、おおおっぱい!?何で!?何故にホワイっ!?」
そこで俺は声も背丈も何もかもが違う事、そしてマイサンが家出していることにやっと気が付き、絶句して固まった。
ちゅん、ちゅん。外で小鳥達が風に遊びながら、中良さそうにさえずった。
「……………はっ」
暫くして、俺は我を取り戻した。
「そういや、俺、昨日から訳分からん状態だったんだ…かんっぜんに忘れてた…」
思い出すと同時にやってくる脱力感。俺は項垂れながら再度窓に視線をやった。
都会に住んでいては絶対に見られないであろう幻想的な風景を再確認して、俺はやっと現状を再度理解した。
「はぁー…寝起きが悪いのも、流石にここまでくると問題あるな」
がりがりと頭を掻いて、ふさふさすべすべした長い髪に手が触れて妙な気持ちになる。まだこの見た目に慣れていない俺にとっては、この長い髪の毛は違和感の塊でしかないのだ。昨日は無我夢中だったのかあまり気にならなかったのだが、こうして一晩ぐっすり眠って心身共にリフレッシュした俺にとって、ここにきて違和感が浮き彫りになってしまった感じである。
「…柔らけぇ…一体何がつまってるんだ」
自分の胸を軽く持ち上げる。そのずっしりとした質量と柔らかさに暖かさに、空笑いしか出ない。男の時だったら手を挙げながら笑顔で『胸に詰まってるのは夢です!!!』と即答したかもしれないが、こうして自分で体験してみると、これはただの脂肪、ただの重りだ。何が夢だ何がロマンだ。こんなもの、邪魔なだけじゃないか。
伸びをして背骨がぼきぼき鳴ったのは、きっと胸が重すぎて腰にダメージがきてしまったからに違いない。おそろしきかな巨乳の定め。
そんな風に、他の女の人が聞いていたら殺されていたであろう愚痴を心の中で呟きつつ、俺は立ち上がってドアを開けた。
ぐちぐち言っていても仕方が無いし、時間ももったいない。行動あるのみである。
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とりあえず朝食を取りながら、これからの計画を整理しようと思う。
冒険者としてこれから生きて行くのだから、装備、必需品なんかについても考えなければ行けなくなるが、一番考慮すべきなのはやはりこの世界がゲーム『俺が異世界で最強チート!?ハーレム王道まっしぐら〜』、略して俺ハーの世界だということだろう。
俺ハーの主人公は超絶倫系鈍感系主人公で、ある日いきなり異世界に来たというのにたくましく美少女を誘惑、片っ端から食っていって、ついでに世界も救っちゃった、というのが大まかなあらすじである。主人公は根っからのフラグメーカーでありトラブルメーカー、さらに巻き込まれ体質という、主人公の要素を全て詰め込んだかのような困った性格をなさっている。そんな主人公の周りではエロい事以外に危険な事、妙な事がひっきりなしで起こっている。
そう、その、主人公の巻き込まれ体質が問題なのだ。
主人公は、街に行けば問題を起こし、それを解決し、道中でも問題に巻き込まれ、それを解決し、寝ていれば問題が起きて、それを解決し、という風に、常日頃から問題ばかりの日常を過ごしているのだ。主人公がいる所に問題あり。主人公の近くでは必ず何人か死んでいて、それを解決するのは必ず主人公なのだ。もはやコ◯ンや金田◯少年の域に達している。
俺が昨日から厄介になっているゲインは、物語中で2回、主人公が訪れる事になっている。
まず一回目は1章で、主人公が初めて訪れる異世界の街としてゲインが登場する。主人公はゲインでチュートリアル的な冒険を終えて、実力を周りに見せしめて、美少女達を全員かっさらっていって、それから2章に突入した筈だ。そして今現在では2章目は既に終わっていて、主人公はゲインの街にいない事になっている。
その次にゲインが登場するのは4章目。確か主人公がちょっとした用事でゲインにまた尋ねてくる筈だ。そして、それと同じくして、ゲインに『魔的災害』が起こる事になっているのだ。
『魔的災害』とは、魔物の大群が発生し、街や村を蹂躙することである。最低の規模で街一つが3日も経たないうちに壊滅し、最大の規模で国一つが消滅する。古来よりこの世界では『魔的災害』が何の前触れも無く突如として起こり、人間の文明に大きな打撃を与えるのだ。時には文明力を一気に後退させる程強力なものもあったので、『魔的災害』はこの世界の住人に取って、一番注意すべき超大型の大災害なのだ。
その『魔的災害』が、主人公が来た瞬間にゲインを襲うのだ。もはや主人公が犯人だと決めつけても文句言われないレベルであるが、ここでは何も言わないでおこう。
街の人達や美少女達と連携して協力して、主人公はどうにかこの『魔的災害』を退け、それから街を上げた大パーティーの後、主人公と美少女達で大乱◯パーティーが行われる事になっているのだが。
そこで、俺は主人公が来る前にゲインを離れようと考えている。
当たり前だ。『魔的災害』が起こったら、確か冒険者は否応無しに前線に突っ込まれることになっている。所謂強制依頼と言うもので、もし断れば最悪の場合冒険者としての免許を免除されることさえあるらしい。
だが、今の俺はただ胸がでかいだけの女である。持っているのは知識だけで剣も魔法もまだ扱えないし、そもそも戦いなんて純日本人であるこの俺に勤まる筈がない。そりゃ金稼ぎの為ならちょくちょく戦わなければ行けなくなる場面もあるだろうが、『魔的災害』については規模が規模だ。出てくる魔物も最低が中級レベルの魔物、行けば死ぬ可能性が高いだろう。
そんな事が起こるんだって言う事を知っていて、自分から顔を突っ込むなんてこと、俺がするだろうか。いや、しない(反語)。
俺だけが知っていて、それで逃げ出すなんて何だか罪悪感を感じるが、だからといって見知らぬ人達の為に命をかけろと言われても無理だろう。それに主人公が来て被害も最小限に抑えられるのだから、俺1人抜けたってどうにかなる。きっと。
そう言う訳で、主人公が来る直前、つまり1章が終わってから4章が始まる、つまり2年後。それまでに金を貯めて、最低限の実力をつけてから旅の支度を終えて、次の街に移らなければいけないのだ。
その為にもまず依頼を消化していって、金を貯めなければ。
俺は朝食を宿屋で食べ終えて、それからギルドへと向かった。する事を決めたなら、後は実行するのみである。
…ちなみに、昨日の宿屋の青年は今日もチラッチラ絶好調の様子だった。胸だけでなく尻まで見られた時は流石に注意したが、その時の慌てっぷりにちょっと罪悪感を感じたのは俺が甘い所為だろうか。わざわざ思春期真っ盛りの青年の初心な心を突つくなんて、何て罪な事をしてしまったのだろうか。まあ、だからといって視姦されるのは御免だが。
ギルド内で酔いつぶれてぶっ倒れている冒険者を跨いで避けて依頼板まで行き、適当な依頼を見繕う。討伐系は到底無理なので、採取系に限定してリストアップして行く。
ちなみに、依頼は重複して受ける事が可能である。その代わり失敗した時のペナルティーが大きくなるが、効率的に稼ぎたいし、時間もあるので今日は複数受けてみる事にする。
「おはようございます」
「よ、おはよ…う」
シータさんが昨日と同じ場所で同じ笑顔でにこやかに迎えてくれて、手を差し出してきた。俺は少し迷って、内心首を傾げながらその手を渋々握った。
「今日もお綺麗(な手)ですね、リツさん…♪」
「あ、ありがとう…?」
妖しい微笑みを浮かべてさわさわとねちっこく触ってくるので、俺は早々に手を離して、依頼の紙をカウンターに差し出す。手を離した瞬間のシータさんの表情が餌のお預けを食らった犬の表情にとても良く似ていたがそれは俺の気のせいである。きっとそうである。
「依頼を受けたいんだけど」
「かしこまりました」
すぐに表情を営業スマイルに改めるシータさん。
「えっと、『薬草摘み』に、『緑茸採集』、それと『青茸採集』一つ、計3つの依頼ですね。依頼の重複は失敗した時のペナルティーが大きくなりますが、よろしいですか?」
「ああ。問題は無い」
ちなみに、薬草、緑茸、青茸は全て回復アイテムだ。薬草はHP、緑茸はMP、青茸は状態異常を、それぞれわずかながらに回復する効果があり、他の素材アイテムと調合することによって回復ポーション、MPポーション、リカバーポーションにすることが出来、効果を増大させる事が出来る。冒険者にとってあって当たり前のものだが、無くなったらとても困るもの、それが薬草、緑茸、青茸の三つのアイテムである。アイテム屋が日頃から大量生産、大量供給しているので、冒険ギルドの低級依頼として多く張り出されている。その中で報酬が良かったものを選んだのが、俺が受けた3つの依頼だ。
さて、後は依頼を遂行するだけだ。ここで俺は一つ出来心で、シータさんに尋ねた。
「そうだ。袋貰えないか?」
「袋、ですか?そりゃ御座いますけど、どうしてでしょうか?」
「昨日、俺素手で薬草持ってきたんだが、結構手にちくちくして痛くてさ」
「なん…ですって!?」
俺の笑いと共に言った言葉に、シータさんは形の良い目をまん丸くして、心底焦った感じで頷いた。
「了解しましたすぐにお持ち致します。あ、手は無事ですか?切ったりしてませんか?」
「い、いや。そこまではないけど」
シータさんに手を握られて心配そうに尋ねられて、俺は視線を泳がせながら頷いた。
シータさん、あんた美少女なんだからもう少し距離感を保って欲しい。俺は花も恥じらう童貞なのだから、そういうのはちょっと…あ、今は処女なのか。
いや、身体は女だからといって、それに甘えていい訳にはならない。心は漢なのだから、相手にも失礼だ。そういう所はちゃんと距離を持ってだな…。
そんな風に距離を測る俺に対して、シータさんはとても真剣な表情を向けて、手を強く握りしめた。
「そうですか…いいですか、リツさん。良く聞いてください。手は冒険者として一番重要な部位なのです。手が無ければ武器も持てないしアイテムも使えませんし、そもそも冒険者として登録する事すら不可能になってしまうのです」
「そうなのか?」
「ええ。欠損部位があったらそれだけハンデになってしまいますから。途中で魔物にやられてしまった場合も相当の実力が無いと残れませんし、冒険者に初めてなる方であっては尚更です。冒険ギルドとしても死人を沢山出してしまっては信用に関わりますしね」
つまり、魔物に攻撃されて足や手が不自由になってしまった場合、冒険者としての命も断たれてしまうという訳だ。身体が資本である冒険者としては当たり前なのだろうが、何とも世知辛いことである。
「勿論そうなった場合、元冒険者の方にはそれ相応の保障をさせていただくことになっていますが…とにかく、リツさん!手は!手だけは!大事になさってください!ね!リツさん!ね!」
「わ、わ、分かった。分かったから…」
もの凄い勢いで整った顔が迫ってきて、俺は赤面しつつ頷くしかなかった。
「ふふっ。それでしたら良いのです。あ、少々お待ちを。すぐに袋をお持ち致します」
シータさんはにこやかに微笑んで、カウンターを離れる。最後まで未練がましく俺の手をにぎにぎした後だったが。
「…手が好きなのかなぁ…」
そろそろどう言い繕ってもそう考えざるを得ない感じになってきた。シータさんって、もしかして重度の手フェチなのかそうなのか。
俺が1人悶々としていると、シータさんが大きめの袋を手にしてカウンターに戻ってくる。
「安物で破れやすいですが、採取したアイテムを入れるには充分だと思います。これでよろしいでしょうか?」
「ああ、うん。ありがとう」
内心恐々としつつ袋を受け取って礼を言う。
「いえいえ。(手の為なら)良いんですよ、これくらい」
うふふと微笑むシータさんの瞳の奥に、欲望の二文字が妖しく光るのを俺は確かに見た。
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「うしっ。いくか!」
俺は街の門から一歩出て、意気込んで歩き出した。
今日は昨日集めた薬草以外に、緑茸、青茸の2つのアイテムを採集して納品しなければならない。緑茸はMP回復効果、青茸は状態異常回復の効果が、それぞれ微量にある。薬草もそうだが、他のアイテムと『調合』を行う事で回復ポーション、MP回復ポーション、リカバーポーションにする事が出来、より効果を引き出すことが出来る。そのまま使っても効果は出るが慰みにもならないのでもっぱらアイテム屋が買い占めてポーションの材料にしている。冒険者に取ってポーションはあって当たり前だが無くてはとても困るものだ。ポーションは冒険者の生命線、ポーションの有る無しで戦いの結果が変わるとも言われている(ゲーム内での知識)のだそうだ。そんなポーションの材料であるこの3つのアイテムの採集依頼は依頼板に大量に貼付けられている。
もちろんこの二つのアイテムの分布図も頭の中に全てインストール済みである。どちらも昨日訪れた低級のダンジョン、ルコの森で採集可能である。多分木の根っことか調べたら普通に出てくるんじゃないだろうか。
ただ、昨日の様に隠し部屋に群生している訳ではないので、ルコの森のフィールド内を歩き回って採取して行かなければ行けないのだ。問題はそこにある。
そもそも薬草や緑茸、青茸など、ファンタジーな力を持ったアイテムがどうして生成されたり発生したりするのか。それは、空気中や地中に含まれる魔力などに関係がある。
魔力と言う不思議なエネルギー、その本質は『変換』である。ルコの森の様に、とある一定の地域をダンジョンへと変質させたり、魔法の様に魔力を炎や電気などの他のエネルギーの変換する、ということが出来るのは、そもそも魔力がそのような性質を持っているからに他ならないのだ。そんな魔力の性質は日常生活でも沢山使われている。魔法も勿論そうだが、アイテムを『調合』する時も少なからず魔力を消費してアイテムを変質させたりするし、魔力を身体に込めて『力』に変換させる事で力持ちにもなれる。様々な使用用途が存在するのだ。
そしてその魔力の性質は、自然界でも様々な現象を引き起こしたりしている。最も代表的な例が『ダンジョン』である。ダンジョンはいくつか例外が存在するが、その殆どが魔力が溜まって空間そのものを変質させてしまった存在であるのだ。ただ、ダンジョンを作り出すのに一体どれだけの魔力が必要となるのか。通常の上級魔法に使用する魔力量を何倍にしてもまだ足りない程だというのだから、まあ俺にはまだ実感は湧かないが、とにかくすごい量の魔力が必要なのだろう。
だが、ダンジョンはあくまでとても大規模な例である。
小さな例で言えば、生物を進化させる事、が挙げられるだろう。
その地域にずっと生きてきた動植物が、その地域の魔力を長年吸い続けて進化した。そう言った、魔力によって進化した植物達の一部が今回の依頼で必要な薬草、緑茸、青茸の3種類なのだ。勿論他にも沢山アイテムはあるが、この世界で日常的に沢山使われていて、目にする機会が多いのは断然この3種類だろう。魔力による進化や突然変異は、薬草達などの様に、人間達に多大な恩恵を授けてくれてきたのだ。
ただ、問題は、その進化の結果が必ず良い方向に繋がる訳ではない、ということで。
この世界に蔓延っている魔物達。これらも、アイテム同様、魔力によって進化、もしくは突然変異した存在なのである。
空気中や地中に存在する魔力の質や量が多ければ多い程レアなアイテムが生成されやすくなるが、その分出現する魔物達も比例的に強力になっていくのだ。ダンジョンはそのアイテムと魔物の比例関係の延長線上の存在だろう。実際、上級のダンジョンの程出てくるアイテムはレアだが、魔物も非常に強力だ。
そう、良いアイテムが存在する所に魔物あり。魔物いる所に良いアイテムあり。これがこの世界の常識なのである。
逆に魔力が全く存在しない地域では、アイテムも無ければ魔物も存在しない、かなり平和な地域になる。ゲームで言う所の『安全地帯』や『セーフポイント』と呼ばれるところである。まあ、例外も勿論あるが。
そして、ルコの森は低級と言えど立派なダンジョン。薬草や緑茸、青茸が存在するという事は勿論魔物も存在すると言う事になる訳だが。
もし魔物に襲われたとして、俺に一体何が出来るというのだろうか。
そもそも武器もない、魔法も使えない俺が、どうやって魔物と渡り合えというのだろうか。今までインドア派を貫いてきた俺の足で、魔物達から何分間逃げ回る事が出来るだろうか。多分1分も経たないだろうね死ぬね俺。
そんな訳で、俺は魔物に『見敵必殺』な状況なのである。
昨日はすぐに入ってすぐに魔物も見つけ辛い隠し部屋に入れたので運良く魔物には遭遇しなかったが、今日は中にいる時間が長い分エンカウント率も高い筈だ。気を引き締めて行こう。
「頑張るぞ、俺!えいえいおー!…ナンダコレ」
気力を高める為に掲げた右手も、可愛らしい声に完全に根本的な所から霧散されてしまったのだった。
誤字脱字のご指摘、その他のご感想、心から、心からお待ち申し上げております(ちらっ、ちらっ)。
書いていたら長くなりそうだったので、中途半端な所で投稿するはめに…どうかご容赦ください。