表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
secret GARDEN- Klotho -  作者: 蜜熊
QUEST3: fairytale book (御伽草子:酒呑童子)
94/226

Phase5-2

「怖い思いをさせてしまってすまないね。『信長』も助けようとはしたんだが、『メアリー』の言う通り女性には少し…気後れするところがあってね」


信長と呼ばれた焦茶色の髪の毛の、かなり体系が恵まれた男性は、そのブロンドの男性にうながされるように1歩前に出ると、きまずそうに視線を泳がせた後、その体からは想像出来ない位小さな声で「すまなかった」と言う。


「あ…いえ…助かりました」


どういう結果であれ助けてもらえたのは事実だし、遅い早いはともかくその気持ちが申し訳なくて、ぺこりと頭を下げると、小さな声で何かをささやかれるような声がした。


((Anmutige japanische Frau…っ))


(?なんて言っているんだろ…)


顔をあげるが、真っ赤になった顔から声が漏れ出てくることはなかった。


「じゃあ僕達はクエストにいってくるけど、お前は『ナポレオン』と一緒にここにいるんだね」


「うむ。『MUD HUNTER』どもに我が物顔をされるのは辛抱堪らん。ここで成敗してくる」


(え…)


「あの…」


「どうかした?」


私の言葉にメアリーと呼ばれた女性が振り返り、不思議そうな顔をしている。


「あの…國た…じゃなくて、『MUD HUNTER』の方達なら東響駅にいますよ…?」


「何!?それは本当かい?」


女性の隣にいた男性が、綺麗な薄いブルーの瞳をぱちくりさせた。それを同時に聞いていた信長と言われている大柄の男性がぶるぶる震えだす。


「ええ…」


私がそう答えると、まさに鬼のような形相で怒号に近い声を張り上げるけど、さっきと同じように私の耳ではそれが何を言っているのか聞き取ることが出来ない。


「行くぞ!!あのFuchsフックス《キツネ野郎》!!ぶっ殺してやる!」


歯ぎしりが何かがこすりきれそうな勢いでやっとそれだけ聞きとると、興奮した声の主が大股で改札を通り過ぎていく。

それを慌てた様子で2人が追いかけ、途中で何かを忘れたかのように大柄の男性が大股で戻ってくると、人ごみの中にいた小さな男性が隙間から引きずり出された。


「行くぞ『ナポレオン』!」


ナポレオンと呼ばれた小柄の男性は、その怒号のような呼びかけを気にすることなく、丈が合ってないぶかぶかのどこかの軍服で顔をこするとむにゃむにゃと言い出す。


信長さんがその勢いのまま尺があまってたるんでいる制服の首根っこを掴むと、肩にひょいっと担ぎ上げ、また大股で歩きだすけど、担がれた男性はその肩の上でも器用にバランスを取ってまたうつらうつらと船をこぎ出している。


(なんだか…すごいな…)


意図せずしてすごい人に出会ってしまった。そして何とか同じフィールドに立つことも回避出来たようだ。


(あの3人…)


正しくはもう1人いたから4人になるんだろうけど、その全員がおそらくすごく強い。

國鷹さんや虎さんも初めて会った時から何か隠しているとは思ったけど、それに近いものをあの人達からも感じた。


(特にあのダークブロンドの人は、何だか雰囲気が違ったな)


物腰が柔らかいからとか、気迫に満ち溢れていうからとか、そんな理由で強さは図れないのは最初からわかっている。

だから感じた。あの人の強さはきっと、國鷹さん達のような強さとはまた違った強さがあるんだろうと。


(正親さんは『信長』さんは危ないって言っていたけど…)


確かにあの人も強いと思う。だからここでクエストが一緒にならなくて本当によかった。


「…あれ…」


そこで思考と視線を戻してみると、少し前まで見えていたはずの制服姿がその場から消えていた。


「君が『ゆずる』さん?」


右側から聞いたことがある声が聞こえてそちらを振り向くと、すぐ至近距離から薄い氷のような2つの瞳が私を見据えていた。


「違う?」


中性的な少し高いテノールの、どこか感情をそぎ落としたような声が、まっすぐ私を射抜く。

その声に縫いとめられてしまったかのように、何とか動く口を動かし「そうです」と答えると、右腕をやんわりと掴まれる。


「もうすぐ開始だから。こっち」


人ごみが多い中央地点から多少人がまばらになっている改札の西側に移動すると、するりと腕が離される。


「時間がないから簡潔に。はじめまして、あまねです。よろしく」


「あ…、皆守…ゆ…ずるです」


「皆守さん、武器は?」


「え…あ…えっと…」


まさか二言目で言葉が詰まるとは思っていなかったけど、冷静に考えればそれを聞かれること位簡単に想像は出来たはずだ。


(どうしよう…あ)


(そうだ、ここで私が丸腰だってわかればイベント解消とかになるかもしれない)


そう考え付いて口を開こうとすると、短く制止された。


「失礼」


短くそう言われ、左手にはめられていたグローブを胸位の高さまで持ち上げた。


「解錠」


すぐに短い電子音が聞こえ、濃紺のグローブに画面が映し出される。


「……なるほど」


映し出された画面を見て何かを納得したのか、短くそう言うと画面が消される。


画面から私へと移された視線からは、やっぱり何もわからなかった。


「あの…私…」


「補助系なのはわかりました。敵はこちらで引き受けますので、支援頼みます」


「…え…?」


軽く会釈されるのにつられるように、疑問でいっぱいになりながらも頭を下げると、会話はそこで打ち切られてしまった。


(え?え??)


これ以上会話は無用。な雰囲気を出して改札口を見つめる周さんにかける言葉が見つからない。


(どういうこと?)


さっき彼は私の解錠結果の何かを見て自分と一緒に戦えると判断したようだったけど、あのプラスチックバットすらない今の私にまともに戦える武器もなければ、まともに扱えるスキルだってない。


と、考えたところでそういえば手に入れたはいいもののそれから1回も使ったこともなければ、2人に解錠を依頼したこともないカードが1枚、手元にコード化されていたことに思い当たる。


おそるおそるそのコードを辞書で調べてみるが、初心者用と言われていた私のものではやっぱり『???』という表示で終わる。


(どうしよう…わからない…)


涼しい顔をしている彼の隣で、嫌な汗をかきながらどうにかして事情を知ろうとしている顔が1つ。


もはやここで断るなんて選択肢はおそらく無理に近いだろうと、諦めに近い確信はあった。あったからなんとか自分が助かりそうな手がかりを探そうとしているが、肝心の調べられるツールが何もない。


心細くて泣きそうになっていると、電子音が1つ。


開くとはそこにあったのは、國鷹さんからの新着メールだった。



『信長 キ\(゜ロ\)(/ロ゜)/ター!!やばい、テンションめっちゃ↑↑』



(國鷹さんのそういうところ…本当にすごいな)


私だった絶対喜べないどころか逃げ出しそうだ。


(あ…)


ふと思いついて慌ててメールを返す。送った後初めて國鷹さんからのメールを待ち望む自分がいたが、そんな不謹慎なことを思っている場合ではない。


望んだメールは割と早く返ってきた。


PLAYER: 國鷹


TITTLE:お望みの品物(笑)


----------------------------------



ゆずるちゃんからメール早くくださいなんてめっちゃ期待してもたww


解錠結果送るよ~(*^。^*)ゆずるちゃんの剣装備期待ww




ITEM:救国の英雄(永久使用)


ANALYSIS RESULT:Skill card


彼はかつて英雄と呼ばれていた。彼はただ隣にいる己の女神のために、女神が守りたいと願う国を救った。

対象者の能力値を上昇させる。使用者のOSは対象者のESに、SAはHに依存して上昇する。



SKILL LENEL:9


入手条件あり


Log in:07:05:PM

 -message from SG





「ただいまよりイベントを開場いたします」





LIMITED EVENT:天下五剣を手に入れろ START


PARTY:2/2 FULL


MISSION:宝刀を手に入れろ


EVENT1:童子切安綱


TIME:00:00:00/ 30:34:48(0/ 1)


SPEED: ANDANTE



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ