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secret GARDEN- Klotho -  作者: 蜜熊
QUEST3: fairytale book (御伽草子:酒呑童子)
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SAVE4

業務日誌 


○月☆日


図書館業務異常なし。


あれから夕弦ちゃんがこなくなってちょっとさびしい。

お勧めの本も喜んでくれたから、あれから結構色んなお勧め出来そうな本探したのにな。


加奈ちゃんは逆にうれしそうだった。


どうやらお目当ての図書館の王子様に声をかけられたからみたいだ。


探している本を聞いてきただけなのに彼女も大概単純だと思う。

僕も似たようなものだけど。


彼が探していた内1冊は今夕弦ちゃんが借りている本だというもの不思議な一致だ。



確かに2人とも美形だからお似合い…いやいや、何考えてるんだ僕!


Phase4

Loading4


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------------------------


溜息を1つ。それにつられるように相手も溜息を1つ吐いた。


ただし相手が吐いているのは紫色や緑色のいかにも毒々しい霧状の溜息。

溜息じゃなくて攻撃とも言うのかもしれない。


相手が人型だったら気味の悪いものだったと思うけど、幸い相手が人位の大きさのキノコで、気持ち悪い霧を吐く以外は特に変な攻撃をしてこないのが救いだ。


時折触れるとなんだかねばねばするのは気にしちゃいけないのかもしれない。


「ゆずる!後ろ!」


斗真くんに言われて後ろを振り返ると、中でも一際ぶよぶよして白っぽいキノコがいる。


他のキノコと見た目も大きさも違うから、きっとこれが『ボス』なんだろう。


案の定私が持っていたおもちゃのプラスチック製のバットでは、軽い音はしてもダメージは与えているような手ごたえは全くない。


「お前が装備できそうな武器ってこれ位か…?」


急ごしらえで見繕ってもらったプラスチック製のバットは確かに非力な私でも扱うことは出来ても、ダメージは素手よりマシ。な程度しか期待できない。


そのせいか、さっきから倒しているのは斗真くんと正親さんの2人と言ってもいい位だ。


「討伐クエストの『キノコ行進』を3人でやる」


そう言いだしたのは斗真くんだった。


そのクエスト名にどこかで聞いたことがあるような気がして首をかしげていると、正親さんが斗真くんの思惑を理解したのかうなずく。


「3人でやるけど経験値が均等にもらえるし、敵の特殊攻撃はこいつには効かない。…考えてるなお前」


「当たり前」


キノコ行進はレベルが30台の人向けで私にとっては背伸びの域に入る。


ありがたいことに3人PTでやることが出来るクエストで、それだけクエストの難易度はそのレベルにしては高い部類に入るらしいけど、それを含めても2人にとっては楽勝のレベル帯になるようで、私1人がお荷物になっていても何ら問題はないようだ。


唯一の問題とされていた、“敵がとにかく状態異常攻撃をしてくる”ことについては、私の宝の持ち腐れの内の1つとされている女神の吐息の指輪の効力で全て効かないことから、斗真くんが選んでくれたらしい。


そこまで特性を掴んでクエストを選んでくれただけあって、確かに倒せど倒せどやってくる敵の群れでも、誰1人大きなダメージを受けることなく終盤までやってこれた。


(やっぱり斗真くんはすごいな)


感心しながら、少しでも相手の体力を減らそうとぽこぽこと情けない音を立てて比較的小さめのキノコを叩いているけど、やっぱりあまり効いている気がしない。


効いている気はしないくせに、両腕はぷるぷると震えてきているか ら、明日は絶対筋肉痛で確定になりそうだ。


「大丈夫か?」


肩で息をしていた私の隣にいつの間にか正親さんが立っている。


細身で背が高く、普段からあまり活発的な動きを見たことがないせいか、筋肉質ともスポーツマンとも見えないけど、それはそのゆったりとした服装のせいだというのが薄々感じとれるようになった。


本人は力という力を入れて攻撃しているようには見せていないが、それが出来るだけ無駄な力を使わず最小限の動きで力を入れているのを知ったのは、目が慣れてきたのか、一緒にいる機会が増えてきたおかげで、正親さんを少しだけ知ることが出来たせいなのかもしれない。


現にふらつく私を支えてくれる両腕は、細くもかなり引き締まっている。


「はい…」


「無理にやらないでいい。自分に向かってくる敵だけ叩いてろ」


「は…はい」


なるべく邪魔にならないように、大きなキノコから離れるようにしていると、いつの間にか数が数える位しかいなくなっているのに気が付く。


斗真くんが無駄な数撃ちせずに的確に狙って減らしているからだろう。

本人は自分が非力で、だから銃を使っていると言っていたけど、あの命中精度だったら、むしろ中遠距離の方が向いていると思うのは私だけだろうか。


(…いいな…)


自分が得意なものを理解して、それを使いこなしてこのゲームに立ち向かっている。その2人の姿は私が欲しがっても手に入らないものそのものに見えて、思わず憧れを抱かずにはいられなくなる。


ボスと思われる白い巨大なキノコが音を立てて倒れた時、平然と立っている2人の姿を見て、それとは対照的にしゃがみこんでいる自分の姿が情けないと改めて感じさせられた気がした。


「追加情報が出た。今回は『辞めた』方がいい」


報酬の大量のキノコを換金所で替えたお金で、いつものように喫茶店で真っ先に注文したコーヒーをすすりながら、まだ注文が届いていない私達にそう告げる。


その言葉は短く端的だったけど、短かったからこそ的確にそれが危険だと思わせる響きが強調されていた。


「理由は?」


同じく短く斗真くんが応える。


「2つ、1つは今回のイベントが『討伐』であること。2つ、報酬が『天下五剣』であること」


「!」


その2つのキーワードに反応した斗真くんが、不機嫌そうな顔をした。


討伐は敵も多いし、戦うことがメインだから当然私には不向きなものなのはわかる。

ただ、その報酬は聞いたことがない。


斗真くんは正親さんが言ってくれた剣というものに心当たりがあるようで、不思議そうな顔をしていた私にわかりやすく説明してくれる。


どうやら現存する国宝と呼ばれる剣のようで、この世界でも噂によるとかなり高い攻撃力と切れ味があるらしい。

全く想像はつかないけれど。


「確かに…」


「『MUD HUNTER』のメンバーも出るって話だ。仲が悪い『guardian』のやつらが出てきてもおかしくねぇ」


その1つが國鷹さんのチームの名前であるのは言われてすぐにわかったけど、もう1つの名前はどこかで聞いたような気はしても、すぐにピンとこなかった。

けれどその名前は初心者の私でも記憶の端にひっかかる位有名なものであるのは間違いないようで、正解と言わんばかりに斗真くんがさらにぎょっとしている。


「げっ。その話本当ならマジでやばい」


「國鷹さん達のチームの人で出る人いるって言ってたよ」


「……」


「……」


「……?」


「…ゆずる。それどこで知った」


「え?國鷹さんからメール来た…けど」


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