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secret GARDEN- Klotho -  作者: 蜜熊
QUEST4:Over The Rainbow(オズの魔法使い)
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Phase8-2

「ここが正念場ってヤツやもんな。そうや」


「役は?」


「占い師」


「占い師?もしかしてこいつに主導権をやれって言ってるの?」


「ガキは黙ってろ」


「な、なんだよ!」


「2人結果を見たはずだ。教えろ」


「……初日はあんた。次の日はそこのちびっこ」


「結果は」


「どっちとも『村人』」


特殊能力を持つと言ってもカテゴリー的には『村人』として扱われる。


(これでカードが場に2枚)


(内1枚は……ブラフ(偽物))


すでに死んでしまったライオンが何の役だったのか一応聞いてみたが、答えは結局『村人』と言われただけだ。

霊媒師の能力を持ってしても役持ちでも『村人』としてしかわからない今、この場に残っているの役持ちが1人しかいないのは間違いない。


だが、その役持ちが『占い師』か『霊媒師』かは誰もわからない。


(國鷹が『占い師』か……)


よりによって1番の要を、1番厄介な奴がやっているとは思いたくなかったが、占いで調べた奴が初日発言力の高かった俺と、次の日発言をまとめていたリヒャルトとこいつの内、こいつを調べようとしているのは確かに理に適っている。


同じようにゆずる役のNPCが初日に処刑した女を『人狼』と言い、ライオンを『村人』と言ったのも理に適っている。

2人の内どちらかが嘘をついているのは明らかになったから、この内どちらかが人狼または多重人格者を担っているのはほぼ間違いないだろう。


ドロシー  人狼 ×


かかし   ??? × おそらく村人


ブリキ   ???


ライオン  ??? × 村人(おそらくなんらかの役持ち)


ゆずる   霊媒師?人狼?多重人格者?


斗真    村人(ただし多重人格者である可能性あり)


周     ???


國鷹    占い師?人狼?多重人格者?


リヒャルト ??? ×


俺     騎士


×は処刑または人狼により捕食済み


発言内容を振り返ってみても、女と國鷹の2人が何か大きく外れたような発言をした様子はない。


特に怪しい動きをした感じもなかった。


(となると……)


人狼は2人まで絞れた。次は別の角度から攻めていくしかない。

それぞれの役持ちが名乗り出たおかげで、他の奴らもどちらかがはずれ(人狼)であるのを感づいただろう。


そのどちらか、正しい方を処刑出来なければ負ける。


カミングアウトしなければ場の流れによっては次の日に持ち込める可能性も出ていたが、全てのカードが公開された今ではそれが通用しない。


俺が人狼の立場であるならば、この昼で確実に『正しい役持ち』を殺して他の奴らより真相に近い疑いがある俺を夜の内に殺すだろう。


決着はやはりこの昼の処刑で全て決まる。


「おい、ガキ。こいつらに共通の質問しろ」


「はぁ?いきなりなんだよ」


「お前なら察しがついてんだろ?いいからやれ」


俺のふりにやれやれ、といらないリアクションをしながらも2人を見渡す。

1人は心細そうにしながら、もう1人は相変わらず何が楽しいのかわからない笑みを浮かべながら次に出てくるだろう言葉を待ち構えていた。


「じゃあ……怪しいと思った相手とその訳を」


「國鷹さんが……理由はその……」


「おれはちゃうよ。おれは……ちびっこかと思うたんやけどなー。3日目に大層な仮説を展開しとったわりに何のヒントにもならんかったし。ミスリードってやつ?」


「うるさい!ライオンのやつがめちゃくちゃ黒だったんだから仕方ないだろ」


「話し合い終了。村人達は裁判により1名を処刑してください」


「投票だが」


「こいつから最初にやってくれ」


指名したヤツは驚きと、困惑が混じった顔をしていた。


「オレは……」


そう言い淀んだヤツの顔を見て、集まったカードが1つの役を形成していくのを感じる。


後はこいつの一言だけ取れれば、その役は完成する。


「こいつだと思う。だってどう考えたってあやしいし……」


指差した先にいた人物は、ここが山場であることの危機感すら楽しんでいるように見える。

いや、実際こいつがNPCではなく“本物”だったとしても、きっと同じようなリアクションをするだろう。


「おれはちゃう言うてるやろ」


「そうだ。こいつは“本物”だ」


「どういうことですか?」


俺の隣に座って事の成り行きを見ていた優男が、わずかに欺瞞ぎまんの表情を表したが、それを視線の先でちらりと受け止めて口を開く。


「まず時系列を戻して、2日に誰も死ななかったよな。あれは俺が“守った”からだ。つまり、『騎士』である俺が的を絞ったように、意図せずに最初の段階で仲間の人狼を処刑された『もう1人の人狼』は、それをカムフラージュするために本物の役持ちを殺す必要があった。処刑出来たらそれに成りすますことだって出来る。

けれどそれを俺によって阻止され、余計自分の身が危うくなった」


「次の日意見が割れて投票が難しかった時、ライオンのヤツは前日処刑された女が『人狼』であったと話の流れで出てきた時に同調する他、目立った発言をしなかった。

それで『人狼』も『多重人格者』もライオンが『役持ち』だと確信した」 


処刑されたやつが何の役持ちだったかはっきりと断言出来ないが、発言からしておそらく“あの役”だ。


その役は前日死んだものが『村人』か『人狼』である以外はわからない。だから混乱させられたあの会話の場では自分が確実に知っている“ドロシーが人狼であった”という情報以外、特に発言出来なかった。


もしくは、これ以上目立った発言をして自分に疑惑の目が向かないようにとでも考えたのかもしれない。


あの場で自分が霊媒師だとカミングアウトしてもよかっただろうが、だからと言って夜に的になるのはわかりきっていることだし、薄々2日目の夜に守られたのをわかっていたんだろう。


弱虫という設定らしく、自分が犠牲になって他の奴の役に立つという選択肢より、沈黙を守ることであわよくば自分が的にならないようにと思っていたのかもしれない。


「君の発言だとつまり」


「そうだ」


そこで俺がはっきりと疑いの気持ちを持って指名しているのがわかったのか、小さい顔から零れ落ちそうな瞳は、潤いをたたえながら見開かれた。






「この女が2人目の人狼だ」


「ゆずるが!?」


俺の推理にするどく噛みつく小柄な男は、ちらりと視線を向けた瞬間きつく眉間に皺を寄せた。


(俺がその後言う言葉もわかってるようじゃねぇか)


NPCにしてはなかなかよく出来てる。


「で、そこのうるさく吠えているやつが『多重人格者』だ。3日目に掻き回していたのも、ライオンが『役持ち』だとわかったからだ。人狼が誰かまではわからなかった……が」


視線で反論を遮って推理を展開する必要はない。


「今日のこの女の発言で察しがついたんだろ?だからこいつ以外に投票するしかなかった。他の奴に投票する理由を考える時間を俺が与えなかったからな」


平静を装っているようだが、表情豊かなヤツがとっさにとれる違和感がある表情を見分けることほど簡単な仕草はなかった。


「俺はこの女に投票する」


反論は?と促す必要はなくなっていた。

処刑が終わり、辺りに狼の遠吠えが聞こえてくるとともに視界が暗くなっていく。



「……恐ろしい夜が明け、朝がやってきました。今回の犠牲者は―――」


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