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secret GARDEN- Klotho -  作者: 蜜熊
QUEST4:Over The Rainbow(オズの魔法使い)
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Phase8-1

Loading8


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(ちっ……見つからねぇな……)


人狼を1人始末出来たのはよかったが、その代償はやはり大きかった。


弱虫ライオンという設定だったから、最悪の展開も覚悟していたが、さすがに自分が処刑されるとわかっていて人をかばえる勇気もなかったのが不幸中の幸いだったか。


その夜騎士のスキルで当然そのライオンを“かばった”おかげで犠牲者は出ずに済んだが、それでも疑惑の晴れないヤツは2回目の投票で処刑された。


スキルで『同じヤツは連続でかばえない』と注意書きがあったので、当然の犠牲と言えばそれまでだが、それでまた新しい展開が期待出来ればと迎えた3日目。


その日は大した情報も得られずに処刑で1人、夜に1人殺された。


さすがにゆっくり構えすぎたかと思ったが、2日連続で目立つことは避けたかった。


(あいつが『占い師』だったか……?)


占い師か霊媒師であったのはおそらく間違いないと思うが、それも結局わからずじまい。


目星をつけていた特殊能力者がやられてしまい数が減った今、このあたりで賭けに出る必要が出てくる。


(残っているのは俺、ブリキ、ゆずる、ガキ、優男に國鷹か)



最悪なパターンを考える。


人狼が2匹以上残っていて多重人格者が残っている場合、その場合数が3:3になっていてすでにゲームオーバーになるためそれはない。


次に人狼が2匹、多重人格者が処分されている場合、その場合今日2匹の内1匹を確実にやらなければ負ける。


人狼が1匹、多重人格者が残っていてもそれは同様だ。

確かな事は言えないが、3日目の話の流れを見ている限りおそらく多重人格者は残っている。


投票も誰かに偏ることなくばらけたのも、残りの人狼にスポットが当たらないように混乱させるようリードさせた感が否めない。


(となると、人狼1、多重人格者が1か……)


この日でおそらく全てが決まる。

この1日で狙われるのは間違いなく俺だ。


霊媒師と占い師どちらかまたはどちらもがすでにいなくて数も減っている状態から発言の影響力を考えると、初日に的確な指摘をした俺を的にするのが筋だろう。


俺がいなくなれば2:2で相手の勝ちになる。


役持ちのヤツは騎士がいるかもわからない状態で自分の役職を公開するのは自殺行為に等しいからか、このままいけばもしかしたら名乗り出ないかもしれない。


騎士以外のヤツは身を守る術がないし、万が一俺をつるし上げようと積極的に発言することで、人狼と逆に疑いをかけられると考えて夜まで待って始末するとしても、騎士自体は自身の身を守ることが出来ない。


昼につるし上げられるにせよ、夜寝首をかかれるにせよ、この話し合いで読み切れなければ負けは確定する。


「村人達は集会所に集まり、話し合いを始めました。制限時間は10分です」


「だいぶ数が減ったなぁ」


あくまで終始笑みを崩さない男は、本物そっくりの思考でメイキングされているのが腹立だしい程だ。


(もっとましなヤツを寄越せよ……)


よりによって腹の探り合いのこのゲームに、腹の中身が全く見えないヤツを作るなんて相当性質が悪い。


(……ぁー…面倒くせぇ)


頭をがしがしと無遠慮にかくと、誰が次に口を開こうか場の空気に気後れしている奴らの顔を見る。


(3日目はゆっくりし過ぎたが……)


だが3日目と今日のこの場の流れから“ある程度の”人物の立ち位置はなんとなく想像することが出来た。


「おい、ガキ」


「なんだよ」


「ずいぶん悠長だな。後1日で全滅するってのに。いつもならもっとうるさく喚いて(わめいて)ないか?」


「うるさくって何だよ。オレだって考えてるっつの」


機嫌が悪そうな顔をしながら低く唸るが、その視線を無視する。


「おい、そこの女」


「はい?」


考えをまとめる上ではNPCだろうと与えられた役の名前を呼ぶのはかまわないが、それをNPC自体に言うような気味の悪い真似をする気はない。


案の定ただの固有名詞ですら呼ばれなかったヤツは、しかし俺の態度を気にすることなく反応する。


「お前2日目に言ったよな。あのライオンが『役持ち』か?って。それはお前も『役持ち』だったから出てきた質問なんじゃねぇのか?」


「……」


わずかにはっとする仕草、それは本物よりずっとわかりにくくてわずかな反応だったが、俺の質問が間違っていなかったと確信させるのには十分なモノだった。


「この1日が重要になる。そろそろ役を公開させないと全滅になる。答えろ。お前『役持ち』か?」


出口を潰すことで沈黙による回答を拒否すると、女の口がこわごわと開く。


「そ……そうです」


「役は?」


「えと……霊媒師です」


「あの女はどうだった」


「人狼でした」


(……)


場に1枚カードが出された。


「……おい」


ゆずる役のNPCの発言をこの場に伏せて、短く初日と同じように、ある男に声をかける。


「ん?」


「お前、『役持ち』だな?」


「……なんで?」


「いいから質問に答えろ。お前は『役持ち』だな」


俺の断定的な言い方に大げさに肩をすくめる。

NPCとは言えゲームでは公平に出来ているため、俺だけ絶対的に不利に働くようなことはない。逆を言えば有利に働くことも同様にないが。


この場合この日が正念場というのは村人側にとっても人狼側にとっても当てはまることで、公平性を考えるならばここで嘘をつく必要はない。


初日にさりげなく言ったセリフ。


『出来るんなら守ってもらいたいもんやなぁ。おれ、善良村人やし?』


数で優位に立っていた時、主に村人は人狼を探すために犠牲になるような行動をとるのが望ましい。


騎士がいるかもわからない俺の発言に村人であるなら守ってもらう必要はない。


疑われないためにも村人であるなら、『自分は村人だから殺されてもかまわない』と答えてもおかしくない。


ただし、後半絶対的な発言力がある『役持ち』か、『人狼』であるなら話は別。発言によって牽制させることはある程度効果的だ。


あのときは断定的な表現ではなかったが、取り様によってはかすかに役持ちであるようなことを匂わせたヤツを、話の流れで人狼と疑われていない場面で殺害すると、そいつに票を入れたヤツが当然疑われることになり、それだけ人狼特定に優位に働く。


もしかしたら人狼側もそう考えて最後までカモフラージュのためにこいつを残していたかったのかもしれない。


俺も役持ちか人狼か、結局保留にしたままでいたが、こいつが何らかの『役持ち』であるのはその発言と、次の日出来る限り積極的な発言をしなかったことから絞ることが出来た。


どちらにしてもつるしあげるとしたら、今以外にタイミングはない。


その予想通り、いつものらくらとかわす男はうれしそうに目を細めた。

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