Phase7
「暗号か……」
おそらくこの暗号を解いてあの扉に合う鍵を探せというのが主旨なんだろうが、決して狭いとも言えないこの城の中でヒントと一緒に鍵を探すのはかなり大変そうだ。
「ん?」
玉座ともとれる大ぶりの椅子のところに、何かきらりと光るものを見つけて近づいてみると、1本の銀色の鍵が置かれていた。
「『C』……Claris……」
(これが子供の名前ってやつか?)
暗号を片手に他の部屋をうろうろしてみると、ところどころに鍵が置かれている。ある鍵は鍋の中、ある鍵はチラシが留められているピンと一緒に、ある鍵はベッドの上。
いくつか鍵を探し出していく内に1つの法則性がわかる。
(縁の場所……確かにな)
例えばベッドの上に置かれていた鍵は『B』、名前は『Ben』、BedにBのベンの鍵。
今までに見付けた鍵は全て英語に直すとその鍵のアルファベッドから始まるものと同じで、名前もその頭文字から始まる人の名前が彫られているのを見る限り、同じような法則でこの城のあちこちに隠されているんだろう。
同じアルファベッドの鍵を今のところ見つけられないから、もしかしたらAからZの26本で最大かもしれない。
(ってそれ全部探すのかよ……)
時間をかければ見つかるのかもしれないけど、折角いいペースでクリアーしてきたのに、ここで長時間鍵を探すようなことをしていたらあっという間に時間が経ってしまう。
もっと効率的にいくためには、鍵探しよりも暗号を解いてある程度の目星を付ける方が絶対に早い。
鍵を探す労力を切り替えて目の前の手紙に向ける。平仮名と漢字が入り混じった暗号には一見アナグラムも、怪文らしき法則性も見つからない。
(となると、純粋に内容からの暗号か)
5人の母たち
おなじなまえの子供たちはころされた
番号でよばれるようになった
(何か元の文章があるはずだ)
「~~~♪」
「うるさいなおっさん!人が考え事してるんだからその下手くそな鼻歌やめろよ!!」
「お、いいのか?本当にやめちゃうけどいいんだな?」
「だからやめろって言ってるだろ!しつこい位確認……」
(待てよ)
さっきからうるさい位繰り返されていた鼻歌。その内容は下手であることは間違いないけど、なぜかその歌が何だかわかる。
(だってそれは……)
(この世界とは切っても切れないもの。オレの時もそうだった)
こいつが何度も確認するのには理由があった。何度も繰り返し歌っていたのには理由があった。
「『Over The Rainbow』!」
暗号の中にも隠されていた『にじの彼方』、それは暗に暗号というだけではなくそもそもの暗号自体を指していたんだ。
「その通り、この曲はOver The Rainbow、虹の彼方に だ。やっぱり続きを所望かね?」
「やっぱりいい。黙っとけ」
「……」
この暗号が示している元の1文がそれだと仮定して、それがタイトルか歌詞かリズムかを考える。
辿り着けたのが1人という数の少なさから歌詞全部を網羅してその1つを限定させるのには無理がある。
リズムの場合4拍子と単調なリズムを暗号化出来るかというと問題がある気がするし、ここは無難にタイトルに的を絞ってもいいだろう。
5人の母たちに子供たちと言われて母音と子音がこれに当てはまる。
これを英語のタイトルで法則性に当てはめるとOver The Rainbowから母音と重複する子音を外すとv t h n b w、日本語のタイトルで当てはめるとNijino Kanataniから外してj k tになる。
(これを番号化して)
一瞬元素記号かとも思ったが、当てはまらないものが含まれるのでおそらく普通にアルファベッド順に直してみる。
v t h n b w で22・20・8・14・2・22、j k tで10・11・20。
(ここまでは一応筋が通る)
ここから1つに絞らないといけない。
(後使えそうなのは)
にじの彼方にいける子供はしあわせになれる
それを信じて子供たちは旅立ったが
たどりつけたのは1人だけだった
(この9文字の中で被っているのは『T』だけど)
なんだかしっくりこない。それに何かを見落としている気がする。
「虹の彼方に行ける子供か……」
それなら単純に考えてドロシーなんだろうけど、ドアにひっかかっていた『D』の鍵に書かれていた名前はドロシーではなくDollyだった。
(虹の彼方ね……)
バカバカしい。虹なんて赤から紫までの光のスペクトルが並んだ、円弧状の光じゃないか。
彼方もくそもあったもんじゃない。
屈折が変われば消えてしまう大気光学現象の1つで、日本では7色とか言われているけど、その定義も国によってそもそも違うし、アメリカなんか6色・・・
「あった……」
1つだけ、虹の彼方にたどりつけたものが。
手元に集まった鍵のアルファベッドを見返してみたが、目的のものは集まっていない。
城のあちこちを探し見ると、目的のものは城の厨房手前にある壁、メニュー表や今後の予定を書かれた掲示板に、いくつかの鍵と一緒にご丁寧にひっかけてある。
その中でも頭1つ大きい鍵をその束から外し、くるりとひっくり返すと、他の鍵と同じように人の名前らしきアルファベッドが彫られている。
「『N』atalie……か」
14番目のアルファベッドで、唯一“7色”の虹の彼方(倍数)になっているモノ。
迷うことなくその鍵を扉に差すと、ゆっくりとその鍵を回す。
「君はすでに欲しいものを元々それぞれ持っているのだよ、ただ無いものは……」
振り返った先にいた男は優しい顔をして、被っていた帽子をとり、ゆっくりと一礼して見せた。
光に飲み込まれる前、無機質な音声ガイダンスに紛れるようにして、下手くそな鼻歌が聞こえてきた気がした。
- ミッション ヲ クリア シマシタ -
- アイテム 『魔法の水』 ヲ 共通コード化 シマシタ -
QUEST:オズの魔法使い PLAY NOW
PARTY:4/4 FULL
MISSION SIDE1: Scarecrow CLEARED
MISSION SIDE2: Tin NOT CLEARED
MISSION SIDE3:Weakling lion NOT CLEARED
MISSION SIDE4:Dorothy NOT CLEARED
MISSION2 : NOT CLEARED
TIME:09:54:50/ 16:55:21 (0/ 1)
SPEED: ALLEGRO




