SAVE7: Scarecrow②
Phase7
- side Dorothy -
「トト?どこなの?」
慌てて子犬の名前を呼ぶけど、ふわふわの毛並みの持ち主は見当たらない。
一体何がどうなっているだろう?話の展開についていけずに戸惑うしか出来ない。
(オズの魔法使いと話の内容が違うし)
ただのクエストとストーリークエストを区別しているからなのかわからないけど、ストーリークエストと名打っていないものはゲーム側が何かしらのアレンジが加わっている。そのせいか、途中の話の流れががらりと変わっているものがほとんどなのかもしれない。
ジャンヌのときは途中でストーリーとは異なったものも混じっていたけど基本的には同じだった。
酒呑童子のときは期間限定クエストだったからその法則を当てはめていいのかわからないけど、大筋では間違っていなかった気がする。
だけど今回はそのどちらとも当てはまらない。
物語だと竜巻で飛ばされた先にたどり着いたオズの国ではトトが一緒だったし、その内善い魔女グリンダと出会って、それから3人の仲間と出会う。
そういう話の流れだったハズなのに。
「トトすらはぐれちゃって……どうしよう」
竜巻で飛ばされたまでは話の流れ通りだったから、びっくりはしたけどそれ程動揺もしなかった。
到着した不思議の場所がおそらくオズの国なのもわかったけど、気が付いたらトトがいない。
そしてとりあえず歩いて探してみたはいいものの、魔女に出会う気配もない。
勿論3人の仲間とも、配役を決め合った3人とも出会える様子もない。
(どうしよう)
次にやるべき指針がなくなってしまい、すっかり途方に暮れる。
とぼとぼと歩く足取りもだんだんと重たくなり、気持ちが心細くなっていく。
- 敵影 ヲ 確認 シマシタ -
「!?」
私が見つけるよりも早くパスが何らかの危険を察知する。その場で止まりきょろきょろと辺りを見回すけど、それらしき影は見つからない。
- 魔女 ノ 呪イ ガ 発動 シ スキルコード ガ 封印サレマシタ -
「え!?」
(スキルが……)
使えるスキルなんて限られているけど、それすら使えなくなってしまうとなると、ますますどうしていいかわからない。
木の葉を揺らす音だけが聞こえる森の中、目の前に見えるはずの道すらも、薄い霧が立ち込めているかのように薄暗く見え始めた。
スカートの裾をきゅっと握りしめながら、震える左手を見つめる。
「か、開錠……っ」
私の声に呼応して、パスが淡く光り出した。
Loading7
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「ここまで来たことは誉めてやろう。“脳なしのかかし”よ」
(誰が脳なしだ。誰が)
さすがに口に出すのはまずいと思ったので、目だけでそう訴えるも、相手はオレの睨みなどまるで意に介さないと言ったように上機嫌に笑った。
「ドロシーが欲しがっているものを私は確かに持っている。ほら、ここに」
懐からすっと出されたのは何かの液体の小瓶だった。記憶を呼び起こして、この物語に必要な液体、つまり魔女を倒すのに必要だと言われていた“魔法の水”がヒットする。
「ただし、ただではやれないな」
ひょいっと手品のように手元から消して見せると、目の前の怪しい魔術師のような恰好をした男はいししと笑って見せる。
それがさらにオレのイライラをあげているのに気付いて欲しい。
「何やればいいんだよ」
ぶっきらぼうに答えると、驚く仕草。そのピエロみたいなオーバーリアクションを早く黙らせてやりたい。
「私は残念ながら魔法が使えない」
(それは知ってる)
話では最後の方、ネタバレとして出されたけど、元々この国でちゃんとした魔法を使えるのは魔女だけだ。
この魔法使いっぽい恰好をしているヤツは、やっぱり魔法使いっぽいただの人というのがこの話のオチとも考えられる設定だ。
「だが君にはない“思考”を持ち合わせていてね。そう、君が欲しがっている“脳みそ”をね」
「もったいぶらなくていいからさっさと出してよ」
(さっさと解いてさっさと合流してやる)
目の前のピエロとのんびり手品について話している暇はない。
杭の最後の1つはおそらくこいつの謎を解けば終わるものだろうし、それが終わればドロシーと合流出来る。
「ふむ、なかなかに威勢がいいな。ではこれを」
マントを翻した城の奥には鍵穴付きの1枚の扉。手元には1枚の真っ赤な手紙が渡された。
「鍵は縁のある場所にそれぞれ隠されている。チャンスは1回。見事鍵を見つけ、私に君の知恵を見せてくれ」
そういうとくるりと翻し、上機嫌で鼻歌を歌い始める。
(終始腹立つおっさんだなこいつ)
でも現実世界に1人くらいこんなうざいやついるよな。そう頭の片隅でつっこみを入れながら手紙を開くと、そこには物騒な内容が書かれていた。
今日5人の母たちはころされた
おなじなまえを持つ子供たちは
1人だけ残して後はころされた
のこされた子供たちは順にならべられ
番号でよばれるようになった
にじの彼方にいける子供はしあわせになれる
それを信じて子供たちは旅立ったが
たどりつけたのは1人だけだった
その子供のなまえはなんだっただろうか




