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secret GARDEN- Klotho -  作者: 蜜熊
QUEST3: fairytale book (御伽草子:酒呑童子)
109/226

SAVE10

「終わったか」


煙草を適当なところでもみ消すと、肺から紫煙をくゆらせる。


誰が童子切を手に入れようとそれはどうでもいい。


魔剣でない限りこの剣と肩を並べられるもの等ないのだから。


「思ったよりは…楽しめたか」


誰に言うでもなく独りごちる。といってもおそらく『観られている』んだから独り言にはならないか。


(なあ、楽しかったか?)


観れたかどうかはわからないが、なかなか面白いヤツもいたんだぜ?

最初PTだとかクズみたいなレベルなくせにウザいことを言いながら、ちょこまか鬱陶しくついてきた男を始末した後は時間ぎりぎりまで遊べたし、ぎりぎりまで色んなヤツで遊んでいた。


特に序盤近くで遭った男女のペア、あれは今思えば上玉だったな。


もっとも現時点では障害にもならないが、伸びしろという点ではダントツだった。


(特にあの女)


自分ではおそらく制御出来てないし、認識もしていないんだろうが、相当強力なシンボルを隠し持っている。


まさかあんなクズレベルの奴から“アラート”のアラームが鳴らされるなんてな。

あのまま発動されていたらどうなっていたか、それも面白そうだが。


(もしかしたら『箱舟』タイプのシンボルかもしれねぇな)


これだからこのゲームは面白くて仕方ねぇ。


「だからお前らも目をつけてるんだろぉ?」


(なあ、そうだろ?)



QUEST RESULT



LIMITED EVENT:天下五剣を手に入れろ


PARTY:2/2 FULL


MISSION:宝刀を手に入れろ CLEARED


EVENT1:童子切安綱


TIME:07:58:48/ 30:34:48(1/ 1)



GET:EVENT WEAPON 



SECRET:HOSHIKABUTO×1(ONLY EVENT)






Phase10

Loading10


--------------------------------------


------------------------


「ゆずる!」


呼ばれたことに気が付いて目線だけをそこに向けると不機嫌そうな、でも心配そうに揺れる意志の強い瞳が私をじっと見ていた。


溜息を吐くようにしながら相手の名前を呼ぶけれど、それ以上体を動かしたり言葉を続けたりすることは難しいようで、せめて心配させまいと口角をあげてみたけれど、それもうまくいかない。


「分不相応なことし過ぎだ」


大げさな溜息とともに吐き出されたセリフを1つ言って、斗真くんの隣にいた正親さんが背負われていた私の体を無造作に受け取ると、ふらつく周さんのかわりに私を背負ってくれた。


その周さんの腰元にはちゃんと今回の景品でもある童子切の刀があるのを見てほっとする。


(よかった…夢じゃなくて)


最後の方はあまり覚えていない。見たと思っていたシーンもどこか自分の目の前で起こったことだとは実感も湧かなくて、周さんがとどめを刺したシーンもどこか、映画のワンシーンのような気がしてならない。


「運よく生きて帰ってこれたからよかったが、いつ死んでもおかしくない状況だったのわかってたのか?」


「…ごめ…さ…」


申し訳ない気持ちは確かにあるのに、それ以上に体が受け止めきれない疲労と倦怠感で悲鳴を上げている。


さっきまで背負われていた背中とはまた違う、広くて暖かい背中に安心しているのか、張りつめていた緊張感をときほぐすときに生まれる、異様な眠気に抗うのが難しくなってきている。


斗真くんと正親さん、それと周さんが何かを話している声は聞こえているハズなのに、目は開けていられない位眠い。

その心地よい3人の声色に導かれるように、まぶたがどんどん重たくなっていく。


まどろみに落ちていくその直前、聞いた訛りのある男の人の声が1つだけ聞こえた。


「楽しませてくれてありがとう、ゆずるちゃん」


その声はとてもうれしそうで、そしてとても不気味な響きを帯びていた。


- viewpoint change -


「説明してもらおうか」


そう言って目の前の意思が強そうな少年が睨んでいる。


正直平時よりも力を使った自覚があったので長居はしたくなかったし、この少年に説明する必要性も特にない。


ないが、今までのやりとりを聞いている限り彼女の仲間か友人かその類だろう。その彼女が彼らを差し置いてこのクエストの誘いを承諾したのかは何かしらの理由はあるのかもしれないし、それに対して疑問を抱いたとしても不思議はない。


「そろそろおれは帰るわ。向こうも終わったみたいやし。お疲れさん」


1人だけ纏う空気が全く異なる男は軽薄な笑みを浮かべると手を軽くふり、少年の隣に立っていたもう1人の男が背負っている彼女の元へ行くと、耳元で何かを囁く。


それにメガネをかけていた男が不愉快そうな顔をしていたが、それとは対象的な笑みを崩さずに立ち去る。


(あれがMUD HUNTERの“國鷹”か)


情報のほとんどはロックがかけられていたが、知っているヤツが見たら顔を見ただけでわかる位有名な奴。


PKをしていれば必ず名前を聞く狂人達の集まりのチーム、いつか根絶やしにしてやりたいとは思っていたが、あれがそのチームの中枢にいる本物の狂人か。

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