第0章:『secret GARDEN』とは
数年前から一度は噂を聞いたことがあるだろう。『願いを叶えるアプリケーション』の噂を・・・
【和訳】
secret GARDEN (シークレット・ガーデン):造語・ゲームタイトル
【概要】
巷で有名になっている近年まれにみるデキのオンライン型ゲームアプリ
近年のスマートフォンの普及に伴い、配信開始から口伝に参加者が増えていたが、4年前から爆発的に人気となり、DL数は4年連続全世界でNO.1のアプリケーション。
スマートフォンだけでなく、通常の携帯・PHSでもダウンロード対応可能。
プレイヤー自身がストーリーやクエストを自由選択し、最終目的である『最後の扉』を開ける鍵を探すという自由度が高いゲームスタイル。
配信やイベントが多く、飽きさせない工夫と、不具合に対し即時に対応する運営側の対応力も高い。
なお、配信から今までクリア者はゼロ。
グラフィックと臨場感、通信料が無料という数々の点で他のゲームやアプリとは一線を超えるものとして、年齢や国境を超えてユーザーが多い。
(20××年度 総DL数7億超え)
【補足】
日本語・英語をはじめとする外国語数十か国にも対応し、プレイ中では自動翻訳機能付
secret GARDEN をプレイするにあたって
このゲームは多くのプレイヤーに興奮と感動、そして日常では決して味わうことの出来ない『非日常』を与えてくれる。
しかし勘違いしてはいけない。このゲームは同時にとてつもない危険を伴っていることを。
ここでは現在公開されている公式“唯一”ともとれるいくつかの注意書きについて調査結果とともに記載しておく。
!CAUTION!
プレイヤーはプレイ前に必ず契約書のページをよく読み、サインした上でプレイ画面に進んでください
一度プレイが始まりますと、二度と契約書のページには飛べませんのでご注意ください
契約書のページはいかなる方法でもコピー・転載・保存は不可となります
なお、プレイ後の契約違反について当サイトは一切の責任を負いません
ご注意ください
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これは誰でも一度は目にしただろう。しかし、契約の際に提示されるページを見る機会、それも1度きりだ。
試しに攻略班として名乗りを上げてくれた全くの新規ユーザーとともにこのページを閲覧してみたが、どういう訳か我々既存プレイヤーにはその画面を見ることが出来ない。
扉のようなマークが画面に表示されるだけである。
新規ユーザーの彼には膨大な文字の羅列が見えているようだが、我々には全く見えない仕組みになっているようだ。それがどういうからくりがあるのか、解明は出来ていない。
試しに画面に向けて写真や動画をとってみたが同様の現象が起こり、せめて書き留めようと試みたもの、そのあまりにも膨大な量に、彼の時間制限が怪しまれたため断念せざるを得なかった。
途中まで書き留めた文字も、次の日には不気味なほどに居眠り中に書いたような文字になっている。
@ATTENTION@
このゲームはプレイによっては人体に影響を及ぼす可能性があります
現実世界で時間に制限のある場所、または人体に危険を及ぼす可能性がある場所でのプレイでは、クエスト受注・ストーリー選択は出来ません。
長時間プレイを希望の方は必ず身の安全が図れる場所でプレイしてください
なお、当サイトへの問い合わせは一切受け付けていてません。
みなさまの手で世界を作り楽しんでください。
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プレイによっては‥まさにこれは今社会的問題になっている謎の奇病『SBS(sleeping beauty symdrome)眠り姫症候群』を暗に示唆している一文と取れる。
これはおそらくだが、ゲーム内で死亡したプレイヤーは、全てSBSの発症者とも言い変えることが出来る。また、プレイ中に何らかの原因で携帯を故意に破壊・紛失、または72時間のログイン期限を守らなかった場合も、この病気を発症させる危険があるとされている。
サイトへの問い合わせ云々とあるがそもそもネット上にサイトが存在せず、またリクエストを受け付けるような窓口も存在していないため、運営側とは一切のアクセスが出来ない状態が続いている。
しかし、運営側を通してメールを送る機能があることから、一応の受け皿的なものは存在している模様。
新規ユーザーがコードを入力した際に届けられるキットについても、中身に改善がされていること、劣悪なプレイヤーに対しては勧告されていること、不具合に即座に対応することからも、手立ては不明であるが、監視機能はかなりの高水準で備わっているようだ。
ちなみに長時間プレイとして自宅もしくは宿泊施設でのプレイ可能は実験済みだ。ところによっては図書館等の一定の閉鎖空間でも出来るのではないかとされている。時間がある方はぜひ試してみて欲しい。
HOW TO KEY
・一度スタートボタンを押すとタイムが動き出します。3日以内にログインし、かつ鍵を手に入れ帰還してください
・スタートボタンを押した後いかなる操作をしてもタイムを止めることは出来ません
・セッティング画面にてキャラメイクをしている時間もタイムは減少します
・フィールドによっては現実時間とタイムラグがある場所があります。パスに記載されている“期限”内にお戻りください
・1回のログインで手に入る鍵は1つです
・鍵を手に入れ、クエスト内・フィールド内・ストーリー内にある帰還の扉からのみ帰還してください
・鍵がない場合、還ることは出来ません
・第三者への鍵の譲渡・使用は出来ません
・鍵はクエストクリア・ストーリークリア・討伐クリア等一定の条件で各人に1つ出現します
・“期限”を過ぎてしまうと鍵は出現しなくなり、還ることが出来なくなります
・第三者のパスを不正に使用した場合、発覚次第処分いたします
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この『鍵』つまり、我々がこのゲームをプレイするために必ず使う『携帯』・『PHS』等の類がこのゲームでは大きな役割を果たすことになる。
ゲーム内では『ハンドリング』と呼ばれる携帯電話等をゲーム内で装着出来るアイテムに変換することで、より快適にプレイ出来るようになっている。
なお、ハンドリングについてはビギナーズパックに必ず含まれている他にもアイテム屋等で比較的安価に入手可能。ただし、一度選択すると、変更は出来ないようだ。
どういうわけかこれも、個人の特性に合わせて様々な形状に変化しているため、変更を希望する声はない。同じハンドリングを購入しても、形状が異なることは実証済み。
一度アプリを起動すると時間が経過するのは現実世界での時間に則しているが、ゲーム内で経過する左側の数字については、クエストの際に表示される時間スピードが影響を受ける。
(※後述 用語説明にて詳細記載)
キャラメイクと呼ばれる、いわゆるメール送受信、チームチャットの閲覧・発言、装備品の確認、ゲーム内オークションへの参加等も、現実世界では操作可能であるが、アプリを開始する必要があり、同様に時間の経過がある。
1回のログインで受けられるクエストは時間内であればいくつでも可能
ただし、得られる鍵は1つ。1番最初にクリアしたクエストに限られている。
帰還の扉は様々な出現箇所があり、クエスト内であることもあれば、移動してきた交通手段から還る等様々である。当然、鍵がなければ出現もせず、開くことも出来ない。
それはクエストにより決められているようで、扉の場所を選ぶことは出来ない。
引き続き体力のある限り遊びたいプレイヤーは、クリアした扉から一度戻ってから再度ログインし、クエストを遊ぶことが出来る。
その場合時間カウントが元に戻り、鍵も入手しなければ戻れなくなる。
今のところ現実へ帰る方法はこの『帰還の扉』をくぐらなければいけないようだ。
※“期限”について
これは残念ながら攻略班と所縁のある人物が、72時間という時間内にクリアすることが出来ず、扉を失ってしまったという悲劇があって得られた情報である。
扉と鍵を失ってしまってもどうやら『1週間』は生きており、その間コンタクトをとることは可能。
取り残されるのはそのクエストの中のようで、乱入や同行は一切出来なくなる。
(時間経過とともに精神的にも不安定になるからだろうか、だんだんと言動がおかしくなり、7日経過した後にはメールをはじめとする連絡ツールでの連絡が取れなくなった。
今彼はどこで何をしているのか。知る由はない)