パンチ
野生のカイコ。
また
すぐそばにある暖かい存在に手を伸ばす。
「どうした」
上手く言葉にならないので、代わりに毛並みをゆっくり撫でる。
「ヒトって、なんなんだろ?」
「、、、」
「わたし、、」
「違うだろ」
茶色い毛玉が動き、くるりんと回った。
まさかのパンチ頭?、、、ピーター、あなた、いったい、、
目が覚めた。
なんで目が覚めたんだろ?
グレンがいない!
なんだか身体が自由に動くと思った。
トイレかな?
そう思ったら、私も行きたくなった。
私はトイレは自分の部屋のを使っている。なんと私用に台がとりつけてあって、足がぶらぶらしなくて具合がいいのだ。便座も子供用カバーみたいになってるからはまる心配がなくて安全だし。
もちろん手洗いも、小物いれや棚タオルかけまで私仕様になっている。
至れり尽くせりだ。
鏡に映った自分に、もう、違和感は余り感じない。
時々、きゅんとさみしい様な、なんだかそんな気持ちもするけど、それも小さく、間遠になってる。
「ヒト、、かぁ。」
拭った手を見下ろす。
でも、、ピアス事件の時は、赤い血がでた。
ヒト、、
モヤモヤする。
あの果汁を貰いに行こう。
誰もいなかったら、こっそり拝借して明日謝ろう。
私はなんだか凄い冒険を始めたような、高揚感で足を踏み出した。
廊下は灯りをボンヤリモードに切り替えてあるから真っ暗じゃないし、でも物陰からお化けがでてきて、うなじにふぅうっと息を吹きかけられそうな気配がムード満点だ。
う、やっぱりちょっと怖いな。
この世界にもお化けって、いるのかな。
っと言う間に、厨房に到着。
灯りがついてるし、物音もするから、果汁は簡単に手に入りそう。
お腹空いた、より、喉が渇いた、は恥ずかしくないよね。
ちゃんと服も着てきたし。
よし!
「全くありがたいもんだわねぇ」
「ああ、ユーリ様がいらっしゃる限り、もう水汲みをしなくていいんだから!」
「農家も楽になってるらしいわ」
「しかも、伝説の森の妖精よ」
「グレンさま、、どうやって捕まえたのかしら?」
「捕まえるだなんて、あんた失礼だよ!」
「そうよ、カイコは天から与えられるものなんだから!」
「捕まえたっていうのは、ユーリ様のハートをよ!」
「!!!」
「、、し、しつれいよ、、」
「なによ!あんた達はそう思わないの?」
「、、、」
「ユーリ様は、何と言っても森の妖精よ!加えて神秘的なあのお姿っ。引く手数多なのよ!」
「、、!」
「ああ、私も一度でもあの御髪に触れてみたいわ。」
「オイ!出来たぞ!ホラ!あったかいウチに持って行ってやれ。つまむんじゃねえぞ」
彼女達は口々に返事をして声が離れて行った。
夜番の人へ夜食を持っていくんだね。
でもなんだか出鼻を挫かれた。
髪くらい、いつでも触ってもらっても、いいんだけどな。
出直そう。
そっと後じさりする、今聞いたことは忘れよう。絶対グレンには聞かせられない、ショック受けちゃう。彼女達、きっと夜番でテンション上がってるんだ。ちょっとお酒も入ってるとか、ね!
いい匂い。
なんだかお腹が空いた気もするなぁ。
料理
手料理、、
コレだ!!
背中流すのは、なんだか自分がいろいろと流されたけど、これはいける!
何かケーキを作って差入れしよう。




