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カイコ  作者:
44/52

全否定

「それで?」

表情乏しく疲れた声でピピンが問う。


「ユーリの容量は計り知れん、、、もう、頃合いなのではないか?」


「、、でなければ、ユーリ様に毎日血を飲ませるとでも?」


人からハッキリ言われると、まるで良識を欠く異常性癖者の行為の様だ、、ユーリの好きな果汁に混ぜ、風呂上がりに飲ませようとまで具体的に考えたのは黙っておこう。


「血はなりません、グレンさま」



以降ピピンの説教は略する。







「ねぇ、グレン、それで?」


あれから続いている最高の時間、風呂上がり、上気した頬でユーリが問う。手には紅い果汁入りのグラス、、ああ、そこに、、いや、考えるな。


「今日は森の妖精のこと、教えてくれるんでしょ?」


ああ、そうだった。


「何処にいるの?やっぱり森の妖精なんだから森に住んでるの?可愛いらしいんだろうね、会ってみたいなぁ。」


確かに可愛い。


「絵姿とかは無いの?グレンは会ったことあるんでしょ?よく森に行くもんね?」


手招きすると嬉しそうに寄ってくる、身悶えするほど可愛い。


「ねぇ、グレン」


囲いこんだ腕の中、もぞりと動いて私を見上げる。


しっ


「そこに」


私が指差す窓に映っているのはユーリと私の姿。


しばし沈黙し、、


「わたし、、、妖精だったの?」


冴えない声で呟く。


「じゃあ、カイコっていうのは?」


「ユーリ、お前は唐突に森に現れた」


抱き上げ、ソファに移動する。


「この様な、黒く輝く瞳と髪で」


怪訝な顔が初々しく朱く染まる。


「森へ至る記憶は無く、それを辿らせる一切の所持品もない」


俯いてしまった顔をすくい上げて続ける。


「言い伝えにはあったが、蚕を母にもつ私でさえ、こうして目にしても信じ難い。」


恥じらう瞳が愛しくてたまらない。


「野生の蚕。森の妖精、それがお前だ、ユーリ」


口づけ、唾液を与える。

早く早く私の魔力で満たされてくれ、ユーリ。






ユーリを寝かしつけた後、私は素晴らしい思いつきをピピンに語るべく執務室へ戻る。


扉をあけ、書類にむかっている姿に、もどかしく話しかける。


「おい!」




「いけません」


顔を上げずに即答された。



「何がだ?」


低く問うと、奴はこちらを睨めつけ、平然と言い放つ。





「精液もダメだと言っているんです!」






以降ピピンの説教は略する。




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