全否定
「それで?」
表情乏しく疲れた声でピピンが問う。
「ユーリの容量は計り知れん、、、もう、頃合いなのではないか?」
「、、でなければ、ユーリ様に毎日血を飲ませるとでも?」
人からハッキリ言われると、まるで良識を欠く異常性癖者の行為の様だ、、ユーリの好きな果汁に混ぜ、風呂上がりに飲ませようとまで具体的に考えたのは黙っておこう。
「血はなりません、グレンさま」
以降ピピンの説教は略する。
「ねぇ、グレン、それで?」
あれから続いている最高の時間、風呂上がり、上気した頬でユーリが問う。手には紅い果汁入りのグラス、、ああ、そこに、、いや、考えるな。
「今日は森の妖精のこと、教えてくれるんでしょ?」
ああ、そうだった。
「何処にいるの?やっぱり森の妖精なんだから森に住んでるの?可愛いらしいんだろうね、会ってみたいなぁ。」
確かに可愛い。
「絵姿とかは無いの?グレンは会ったことあるんでしょ?よく森に行くもんね?」
手招きすると嬉しそうに寄ってくる、身悶えするほど可愛い。
「ねぇ、グレン」
囲いこんだ腕の中、もぞりと動いて私を見上げる。
しっ
「そこに」
私が指差す窓に映っているのはユーリと私の姿。
しばし沈黙し、、
「わたし、、、妖精だったの?」
冴えない声で呟く。
「じゃあ、カイコっていうのは?」
「ユーリ、お前は唐突に森に現れた」
抱き上げ、ソファに移動する。
「この様な、黒く輝く瞳と髪で」
怪訝な顔が初々しく朱く染まる。
「森へ至る記憶は無く、それを辿らせる一切の所持品もない」
俯いてしまった顔をすくい上げて続ける。
「言い伝えにはあったが、蚕を母にもつ私でさえ、こうして目にしても信じ難い。」
恥じらう瞳が愛しくてたまらない。
「野生の蚕。森の妖精、それがお前だ、ユーリ」
口づけ、唾液を与える。
早く早く私の魔力で満たされてくれ、ユーリ。
ユーリを寝かしつけた後、私は素晴らしい思いつきをピピンに語るべく執務室へ戻る。
扉をあけ、書類にむかっている姿に、もどかしく話しかける。
「おい!」
「いけません」
顔を上げずに即答された。
「何がだ?」
低く問うと、奴はこちらを睨めつけ、平然と言い放つ。
「精液もダメだと言っているんです!」
以降ピピンの説教は略する。




