香(コリ) コウム視点
「どうした?」
あ、とか、いえ、、とか言いながら俯き加減で歩くフェイの様子がおかしい。
さっきから近づくと、すっと離れてしまう。
疲れたのか、そろそろ休むか。
「少しいくと泉がある、もう少し歩けるか?無理をさせたな。」
そんな、、とか、下をむいたままぼそぼそ何か言っているが、大丈夫なのか?
「おい、フェイ、ちゃんと顔を見せろ」
くいと顎を掴んで顔を上げさせる。
「熱が?」
プルプル震えて嫌がるのを覗きこむと、顔が真っ赤で、目が潤んでいる、重症だ。
なんで黙ってるんだ。
フェイを抱き上げて、やはり何か抵抗をみせていたが、熱があるなら意思は尊重されない、すぐに黙った。
最初からこうすれば良かった、きっと足も痛んでるに違いない。
泉に足を浸してこいというと嫌だという。
無理に脱がそうとすると泣いて抵抗する。
靴だぞ、オイ、、
なんなんだ、どうしたんだ、訳がわからない。
とりあえず、薬草でも採って来よう、どうも俺が原因で泣いている様だし。
イヤそんな筈はない、だけど、じゃあなんで泣いてんだ?
なんだか戻りづらいぞ、俺は悪くない、たぶん、いや、俺が悪いのか?
ウロウロしてたらコリの花が香った。
香りがいいから、遠くからでもすぐわかる、よしこれで機嫌を直すかも知れない。
コリを摘むと、今度は急いで戻りたくなった、早く喜ぶ顔が見たい。
「フェイ!」
声をかけると、悲鳴と水音が応えた。
泉に落ちたのか?
「フェイっ」
「こっ、こないで下さいっ」
は?
なんでこいつ真っ裸?
「フェイ!」
強く呼んで、手を伸ばす、早く上がらないと冷えて熱が上がる。
だが興奮して何か叫びながら後退りしたフェイは見事にコケた、助け起こすと水を飲んだのかむせている。
俺の上衣をかけて背中をさすってしばらく、落ちついた様だ。
「、、何か、いい香りがします」
「ああ、コリを摘んできた、、」
さっきの騒ぎで足元に落としたコリを拾って渡す。
「ほら」
コリを差し出すと、落ちついてた顔色がまた真っ赤になって、みるみる涙が溢れてきた
「お、おい、どう、、」
嗚咽混じりにフェイは礼をいい、やっと顔を上げて微笑み、俺はその微笑みに、さっきまでのイラつきや焦りがどうでも良くなった。




