封具
部屋に戻るのが遅くなった。
ユーリは寝入っている、彼女の眠りは深い。
出会って直ぐの頃、抱きかかえる度に目を覚ますのではないかと、壊れものを扱うように気を配っていたことを思い出す、彼女は一度たりとも目を覚ますことはなかった。
そう、一度も。
ドクッ
少しだけだ。
封具をユーリの首にあてる。
イヤだ。
これは、イヤだ。
蠱惑的なその姿に、込み上げてきたのは、表現し難い、眩暈がするほどの嫌悪感だった。
取り去った封具をもち、部屋に戻る。
落ちつこう、私は何をしていた?
ダメだ寝室に戻ろう。ユーリの側にいたい。
ユーリの寝姿は変わらず健やかで、安心し、少しだけ、残念な気もする。
ピピンの言葉が浮かぶ。
余り時間をかけると、成人前のカイコを強引に囲いこんだと嫌疑をかけられる、と。
ユーリを失うのは耐えられない。
なにものからも護りたい。
知らず抱え込んだ柔らかい身体に、長い息をふりかける。
OOOOOO
少しまどろみ、腕のなか眠るユーリをみている。
少し口を動かしたり、ピクリと瞼が震えたり、飽きることがない、一日の素晴らしい時間の一つだ。
眠っている時間は心が無防備になる為、カイコは自分で防御をはり、怖い夢をみたからといって力が暴走するわけではない。
ただ、ユーリはまだ不安定な様で、抱きかかえていると、時々押し流されそうな感を受けることがあった。
それもピアスを急いだ理由の一つではあるが、勿論第一ではない。
ユーリからの初めての口づけ、、
そうか!
私が素晴らしい考えに身震いした目の前でユーリもふるりと身を震わせる。
目を覚ました彼女に、私は打ち明けた。
「口づけが欲しい。」と。




