囮
「それは、、上手くいきましたね、、」
人型のコウムを前に、私は戸惑いを隠せない。
「ああ、これで、上手くいけば証言がとれる。
良くやったな、コウム」
さすがはギルフォード様、泰然としてらっしゃる。
「どうやって、あの男を炙りだしたんです?」
「フェイを囮にしたんだよ。
カイコが手にはいんねぇ場合は、タマゴを連れていこうと。
あの男は抜け目のねぇやつだったからよ、そう最初から算段してたみたいだな。」
フェイを連れて街へ行くと、やはり見張りがついていたのか、早々に接触してきた。そこで尾行薬をつけたらしい。
「それで、フェイは何故脅されていたのですか?」
「ああ、あの事件で使用人扉を開けたのはフェイだ。」
その可能性は覚悟していたが、、
「、、どうしてそれを」
「城の内館に他に異国人はいねぇ。この国の人間がカイコを失うような真似をするかい?」
「確かに。でも何故フェイが異国人だと?」
「あの男は、異国人専門だ。
汚れ仕事をさせても知人の少ない異国人なら片付けやすいってんだろ?」
「ああ、今回の様に異国人はただ物を運んだり、暗号を伝えるだけと、罪と知らないことも多い。」
ギルフォード様の言葉は重い。
保護し、受けいれても、生活の基盤が安定するまでには時間がかかる。
何より、本人達の生きる意欲がなければ、手助けは意味をなさない。
「あいつは攫われた時に仲間を殺されている。そのショックからまだ立ち直れねぇんだ、見逃してやってくれねぇか?」
それが言いたかったのだろう、勢いよく言い切ったコウム。
この部屋にいて、黙ったままのグレン様に視線が集まる。
「罪をなかったことには、出来ない。」
なッ!という、コウムの反論を目で抑えて、グレン様は続ける。
「あの男の罪が明らかになれば、誰が扉を開けたかは皆の知るところとなる。
疑われ、何故償わないのかと責められ、下手をすれば命の危険もあるだろう。」
「そうですね、、
では、解雇、今回の囮としての協力、教会の保護剥奪でいかがでしょう?」
グレン様は苦笑いして、コウムはニカりと笑う。
ギルフォード様も、根回しのいいことだと頷いた。
これでも機構のハゲを押さえることは出来ないが、異国人達が犯罪と切り離されれば住民達との溝も浅くなるだろう。
「それで、これから何処へ行くんだ?
あてはあるのか?」
「ねぇな。だが、人の世話にはなんねぇよ。」
「近くにきたら、顔をみせろ」
グレン様。
OOOOOO
「コウム。気をつけてね。あんまりフェイに無理ゆっちゃダメだよ。」
旅立ちの朝
「おう!
フェイに子供が出来たら、見せにくるぜ!」
エ?といった表情で盛大に固まったユーリ様。
無理もない、ユーリ様は人型のコウムを知らないのだから。
頭の中で獣姦が繰り広げられる前に訂正を入れよう。
「だ、だれの?」
「俺のに決まってんだろ?」
手遅れか、少し黙れコウム!
「ユーリ様!
後で詳しく説明致します!(グレン様が)」
ユーリ様はなおも困惑顔でフェイを見たが、フェイは穏やかに微笑むだけで何も言わない。
ただ、フェイの微笑が、皆の気持ちを納得させる。
彼女は歩きだしたのだ。




