蛋
「見つかったのですね?」
「はい、、」
この国で、私は、教会に保護され、半年で見習いとして城に上がることになった。
教会を立つ日、世話をしてくれたシスターは、生きる目的が無くても焦る必要は無い、だけど、夢や希望を探すのを諦めてはいけない、それは人生を素晴らしい物にしてくれるものだからと云ってくれた。
「素晴らしいでしょう?」
「はい!」
私は初めて、シスターに心から笑うことが出来た気がする。
「さようなら。」
「はい、、、」
「いつでも、訪ねてきてね?」
「はい、、」
「フェイ、、」
「ありがとう、ございました。」
「よーし、これできっちり俺のモンだな!」
「はぁ、、」
「なんか腹が減ったな!」
「はぃ、、」
「おい、ここで待ってろ!なんか美味いもん食わせてやっからよ」
「はい」
小さく溜息がでそうなのを、伸びをして、深呼吸に変える。
シスターの言葉を思いだす。
「ゆっくり。一つづつ。」
「よオ。」
まだ、始まったばかりなんだから。
OOOOOO
「ねぇ、イザベルさん。タマゴって、知ってる?」
「タマゴ、ですか?」
「うん。コウムがね。フェイのこと、俺ので、タマゴだって。」
アレ、何て言ってたっけ?
「フェイがタマゴ、ですか?それは蛋のことですね」
ふむふむ?
「フェイもカイコの仲間なの?」
「蛋はカイコとは少し違いますね。魔力の湧く量に対して容量が大きいので、ユーリ様の様に溢れだすことはありません。」
「じゃあ、魔法使いになれるんだ?」
「ええ」
いいなぁ。
「フェイは、魔法使いの修行をするの?」
そんな様なものですね、とイザベルさんは微笑んだ。
OOOOOO
「お、フェイ!待たせたなっ」
「お前、なんだよ」
男は低い声でうなるように云った。
「俺か?まぁ、こいつの主人、だな」
「なっ、フェイッ!本当か!?」
嘘ではないので、頷いておく。
どこからそんな度胸が湧くのか、私は凄く冷静だ。
コウム様の人型の違和感のせいかも知れない。
大怪我で動けない筈の男は、元気に怒りで震えている。
「ま、そういうこった。
俺たちはさっき教会で手続きも済ませてきたとこだ。
ずっとついて来てたんだから、わかってんだろ?」
男の顔色がかわり、汗がみえる。
「往来で野暮は無しだ、二兎を追う者一兎も得ずだ、な?」
ニカアとコウム様が笑い、男の肩を叩く。
男はなおも何か言おうとして、だが周りの視線に押しだされるように去って行った。
「兄ちゃん、あの男はここらで有名なクズだ!やってやったな!」
「そうよ、お嬢ちゃん、あんな顔だけの男に騙されなくて良かったじゃない!」
「これは祝いだ、とっときな!」
「幸せにね!」
まだ、始まったばかり。




